プロのカラーリストに学ぶ印象アップメイク術
それでは、ここからはより具体的なメイクテクニックやアイテム選びのポイントに目を向けていきましょう。前半でお話しした理論や診断ステップ、トレンド情報の活用法を土台に、今度は実際のメイク過程でどのように色彩を取り入れ、印象をコントロールしていくかを詳しくお伝えします。
まずはベースメイクです。肌の土台となるベースメイクは、肌トーンやパーソナルカラーが深く関わってきます。たとえば、イエベ肌の場合、ほんの少し黄味がかったファンデーションや下地を選ぶことで、肌の血色感や一体感が高まり、肌そのものがいきいきと輝くでしょうね。逆にブルベ肌なら、ほんのりピンク味や青味を感じる明るめのベースアイテムが、肌の透明感を引き出し、くすみを払ってくれるはずです。ここで大切なのは、「自分の肌トーンに合うベースカラーを選ぶ」という基礎を押さえた上で、必要に応じてコントロールカラー下地やハイライト、コンシーラーなどを使って微調整することです。
赤みが気になる箇所にはグリーン系のコントロールカラー、目の下のクマが青黒く見える場合にはオレンジ系のコンシーラーを薄く仕込むといったテクニックを積み重ねると、ファンデーションを過度に重ねなくても肌が均一で整った印象に仕上がります。時短を目指す日には全顔に統一感ある下地を一枚のせるだけで、素肌感を活かした自然なツヤ肌を叶えることもできます。大事なのは、目的やシーンに応じてベースカラーを上手に活用し、わざとらしさのない美しさを演出する視点ですね。
次に、アイメイクやチーク、リップなど、ポイントメイクでの色選びについてお話ししましょう。たとえば、ビジネスシーンで信頼感や知的な印象を与えたい場合、アイシャドウはグレイッシュなベージュや青みを含む落ち着いたカラーを選び、リップは青み寄りのローズピンクやヌードカラーで抑えると、全体に落ち着きと誠実さを感じさせるバランスが生まれやすいでしょうね。一方で、プライベートのデートやパーティーでは、血色感を与えるコーラル系や、ほんの少し黄味を帯びた明るいレッドをポイント使いして、温かみや親しみやすさ、華やかさを印象づけることができます。
チークは頬に乗せる位置や色味によって、顔立ちを若々しく見せたり、シャープに引き締めたりすることができます。パーソナルカラーに合った色を選べば、頬にのせただけでくすみが消え、「なんだか調子が良さそう」に見えるから不思議ですね。頬の高い位置に丸く入れれば可憐な印象、斜めに入れれば知的で引き締まった印象になるといわれています。肌トーンに合うチークカラーを味方につければ、ちょっと疲れた日でも即座に元気な雰囲気へ導くことができるでしょう。
リップは、メイク全体の印象を一瞬で決めるほど強い影響力を持つアイテムです。イエベ秋タイプならブラウン味のあるベージュやコーラルオレンジで大人の落ち着きを、ブルベ冬タイプなら青みのあるクリアな赤リップで存在感と洗練さをアピールできるでしょう。重要なプレゼンの前には、落ち着いたローズ系を選んで信頼感を強化したり、週末のお出かけにはジューシーなオレンジ系で元気な印象をまとったり。リップカラーはその日のあなたのテーマを明確に周囲へ伝えるメッセージカードのような役割を担います。
また、ここ数年で増えたオンラインコミュニケーションの場面でも、カラー戦略が有効です。カメラ越しでは光や画面の設定によって実際よりくすんで見えることがあるため、普段よりワントーン明るめのカラーや、発色の良いアイテムを使うのがおすすめです。オンライン会議なら、肌を明るく見せる下地や明るめのチークを足して血色アップを図り、リップで口元に適度な彩度を乗せると、画面越しでもくすまず生き生きとした印象をキープしやすいでしょうね。SNS用の写真撮影時も、光と色の関係を意識してハイライトで立体感を出したり、背景色とのコントラストを計算したりすると、あなたらしさが引き立つ一枚を残すことができるはずです。
さて、ここまでは今日・明日から実践できるメイクテクを中心にお話ししてきましたが、次はもう少し長い目で考えた「長期的なカラー戦略」に触れてみたいと思います。人の肌は、加齢やライフステージの変化に伴ってトーンや質感が変わります。若い頃は似合っていたビビッドカラーが、年齢を重ねるにつれ少し強過ぎる印象になることもあれば、逆に落ち着いたくすみカラーが年齢相応の品格を醸し出すようになることもあります。人生のイベントやキャリア変化、環境の変遷に合わせて、あなたに最適なカラーは少しずつ姿を変えていくでしょう。
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