一年祭と三回忌
2020年初夏、主人の一年祭と父親の三回忌をするはずだった。
同じ家でもないのに、命日が一日違うだけなもんだから、法事がかぶってしまって大変だ。
一緒に出来るわけでもないのに、何でわざわざ同時期に旅立ったのか。
たいして仲良くは無かったと思うのだけど。
また再来年には五年祭と七回忌がかぶるのかと思うと、今から気が重い。
この年は、初めてのコロナ禍での夏だった。
毎日仕事に行っていたうちの家族はともかく、高齢の義母や実母はいろいろ神経質になっていて、私達が訪ねて行くのも気を遣った。
そんな事情もあって、結局一年祭も三回忌も見送った。
義母は“コロナが怖い”と“法事をちゃんとしたい”の間で揺れていたけど、最後は
「時期も時期やし仕方ない」と諦めた。
でもその後、
「やっぱり家族だけでも集まりたい」と言いだして、
義母とうちの家族と義弟の家族で集まって、一年祭の真似事をした。
田舎育ちで、習慣にうるさい義母にとっては、息子の一年祭に神職を呼ぶ事も出来ないというのが、もうとんでもなく常識外れな事だったのかも知れない。
分かるのだけど、私達には今生きてる人間の生活の方が大切で、子供らも
「お父さんも許してくれるって」と言ってくれた。
(イマドキの若者は考え方が実に合理的で、ある意味とても助かった)
それでも私達は、主人が生きている間は毎週会いに行く事が出来た。
最後の方は、手を握るためだけに毎日通った。
自分達の生活の中で、何とか出来る事はしたと思えるくらい。
今はそれが出来ない。
クロイツフェルト・ヤコブ病
今、この病気でつらい思いをしている人や、その家族の方達の事を考えると胸が詰まる。
時間が、本当に限られているのに。
毎週会っていても変わるのに。
何か、救いがありますように。
祈るしかない、この病気に対して。
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