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食べることは生きること
8月の終わり、申請していた難病認定がおりた。
認定が通ると申請日まで遡って医療費の助成が受けられる。
この時主人は63歳。厚生年金だけはもらっていたものの、医療費の助成を受けても、入院費には足りなかった。
時々、唸り声は出すものの、もう発語は無くなっていた。最後に「うん」と返事してくれたのはいつだっただろう。
こうなると「もうええわ」でも「あほんだら」でもいいから言って欲しいと思ってくるのだから、人間勝手なものだ。
口から食べる事も殆ど無くなった。
私達が行った時だけ、とろとろのプリンをほんの2さじ、3さじ食べる。
それで疲れてしまう。
あんなに食べるのが好きだったのに。
お酒と、美味しいものが大好きだった。
酒飲みのくせに甘いものも好きだった。
9月に入って、下血が続いた。
貧血になり、輸血をした方が良いというので、また承諾書にサインをした。
これをきっかけに、口から食べることが出来なくなった。
点滴だけが、主人の命を繋いでいる。
主人が入院してからも、会いに行くのはうちの家族と義母だけにしていた。
義弟が一度義母と一緒に訪れた事があるくらい。
病院が狭いのと、本人がもう分かっていない事、何よりあまりにも様変わりしてしまった状態の主人自身に会うのは、ショックが大きいだろうと思った。
つい一年前まで仕事に行っていた人とは思えないだろう。
会いたい人だけが、会いに行けばいい。