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胃瘻をしない選択
2019年。
初めて、家でも義実家でも、主人のいないお正月を迎えた。
お正月と言っても、私の父親の喪中だったので、「おめでとう」も無かったけど。
年が明けてしばらくして、主人が入院している病院の先生から
「胃瘻についてのお話をしたい」と連絡があった。
胃瘻は、胃に直接栄養を送り込む治療で、口から食べられなくなった時、有効な治療ではある。
延命治療については、少し前に家族の希望は伝えていた。
その上で、「胃瘻をしませんか?」という再度の確認。
療養型病院の入院患者の多くは、寝たきりのまま延命治療を続けている人という印象だった。
主人のいた病院がたまたまそうだったのかも知れないけど。
入院患者で、自力歩行出来る人はわずかだった。
認知症で、最後寝たきりになった義父も胃瘻はしなかった。
それを見ていた主人も、胃瘻は望まなかった。
だから、何度医師に訊かれても断る決心はついていたけど、確認されるたびに自分が主人の命を縮めているような気分に襲われた。
正直、たとえ話も出来なくても、呼吸して体温のある時間を大切に思う気持ちと、この状態は主人にとってどうなんだろう、と思う気持ちが自分の中でぐるぐるしていた。
「ちゃんと理解してその選択をされるのであれば、分かりました。」
医師に言われた。