終活と遺品整理
主人は物を捨てない人だった。
壊れたパソコンの本体からモニター、キーボード。
昔凝って集めたオーディオなど。それがまた複数あるからたまらない。
広くは無い家の、一部屋と屋根裏が殆ど主人の私物で埋まっていた。
リサイクル料金がかかるようになって来た時や、大型ごみが有料化される時など、事あるごとに整理してもらえないか交渉してたのだけど、聞き入れてはくれなかった。
理由は、「今やる事ではない」
「定年退職したらゆっくりやるから、それまでおいといて」
いつもそう言われた。
片付けするにも気力・体力は必要だし、主人の私物に圧迫されたスペースのせいで普段の生活に不便を強いられていたこちらとしては
「早よしてよ」の気持ちの方が大きかった。
何年も使う事無く、ホコリをかぶったまま、でもコードも接続されて延々待機電力を使い続けるオーディオ類や、壁に取り付けられたままのスピーカーを見るたびに辟易した。
そして、結局主人には定年退職後は無かった。山のような私物は残されたまま。
病気が分かった時、何とかデジタル遺産は整理してくれたので、実際にはそれだけでもありがたかった。
唯一、Yahooのプレミアム会員だけそのままで、息子と一緒にパスワードを捜したけど。
主人の一年祭が終わる頃、それらの片付けに手を出した。
取り憑かれたみたいに片付けた。
今まで私を悩ませていた物達を、何日かかかって仕分けして、業者を呼んで持って行ってもらった。
主人は「人のもんやと思て」と言って怒るかもしれない。
でもおかげですっきりした。
自分の物も、減らしにかかっている。
残してしまうと、大変なのは子供達だから。
今、それぞれ独居で頑張ってくれている義母と実母の家には、高齢者が一人で住んでいるとは思えないくらいの荷物であふれかえっている。
これらの片付けを終えるまでは元気でおらねば、と思う反面、逃げ出したくもなる。