リセットマイライフ①図書館での日々
無事、仕事を辞め、私は赤穂に引っ越していた。長年暮らしていた京都を離れさまざまなものを精算し久しぶりに無職となり、清々しい気持ちだった。このような心境を表すための言葉として、リセマラという言葉が適しているのかもしれない。私はほとんどやったことがないがスマホゲームでリセマラ(リセットマラソン)という言葉があるらしいが、私たちの場合はリセットマイライフとでも言えるのではないだろうか!?
まぁそんなことはどうでもいいか。
「田舎の朝は早い」
とよくいうが私たちはあまり生活リズムを変えはしなかった。
8時ごろに私が先に起きて朝食の準備をし妻を起こす。
たいてい「コーヒーが入ったよ」と声をかける。
まるで仕事を引退した初老の夫婦のような光景。
私は「コーヒーいれたよ」とは言わない。
コーヒーが入ったよと言う。いちいち主体を立てるのは苦手だ。
余談だが、よく子どもの頃学校の先生に
「ガラスが割れた」のではなく「ガラスを割ったんです!」と言われたりしたことがある。それはよくある教室の風景。けどそれは嘘だ。そんなはずがあるはずがない!!誰がガラスをーー(取り乱しました。このあと言葉にならないほどの初等教育への呪詛を唱えましたが割愛します。)
話を戻して、私たちは、ほぼ毎日パンとコーヒーで朝食を済ませる。パンは大抵はパスコの山形6枚切りで、コーヒーはマキネッタというエスプレッソをガスコンロで作る家庭版エスプレッソ抽出ポットにホットミルクを合わせてカフェ・オレだ。たまにパン屋で食パンを買うが、値段も庶民的なのでパスコの山形6枚切りが大体美味しいのでそれで十分。妻は定期的に「パスコの6枚切りは飽きた」といってパスコ「スト」を起こすので、そういう場合は他のパンを買う。そしてまたパスコの6枚切りに戻る。
食事をとったあと2人で散歩にでかける。大体2時間くらい歩くことも少なくなかった。
さ散歩の間はほとんど人とすれ違わなかったし、野良猫に話しかけたり植物や海を眺めたりしているだけであっという間だった。家から海辺まででて海に隣接する公園で一休み。
散歩から帰ったあとや、散歩に行かない日は図書館に行った。
赤穂図書館はとても綺麗で蔵書も多く私たちが赤穂に決めた要因の一つでもある。bloodthirsty butchersのジャケットでお馴染みの奈良美智のオブジェが階段の壁に常設されている。私はいつもの席に座りフランス語で書かれた精神医学の本を辞書を片手に読み、まさに「コマンタレヴー」からフランス語の勉強をした。日本語でも論文を書いて、奨学金の応募の準備をした。しかしひとつだけ片隅にのしかかるのはやはり経済的な不安だった。それもそのはずで図書館のすぐ傍にハローワークがあった。ハローワークを横目にしながら私はフランス語を読んだ。
無職のアラフォー夫婦の一日は大体こんな感じだった。さて奨学金を取れなかったらどうしよう・・・
私は経済的な不安から赤穂でアルバイトを探そうと思った。
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