夕凪まで

その道に差す影はまだ短いようです。

つないだ手を少し気にしながら
アンは幸せな気分に浸ていました。

さっき観た映画はちょっとつまらなかったけど
そんな事はどうでもいいみたいです。
久しぶりに二人で歩くこと
そして
となりにいる飄々とした彼の顔が
アンの心をくすぐります。

  「もう!・・・」

夏の夕暮れの影はやっぱり短く
その切なさを少しだけ緩和するみたいです。

  「もう少ししたら
   影も長くなるんだろうな。」

つないだ左手を意識しながら
そんな事を考えていました。

真夏を少し過ぎたこの日
デートの後、もう一度海を見ようって
彼がそんな事を言ったから。

夏の終わりの日差しが
アンたちの背中から差しています。

アンはやっぱり幸せです。


海岸通りを抜けて
あの浜辺についた時

・・・

そこから先は綴れません。
ご想像にお任せしますね。

でも、やっぱりアンは幸せでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?