バス停
今日も一日が終わった。
そんな事に疲れたりはしない。
週末だと言うのに「アイツ」は連絡も寄こさない。
ようやく慣れ始めた仕事をかたづけて
アンは朗らかに笑って職場を後にします。
見慣れたはずの「学生通り」。
そこにある他愛ないバス停のベンチに
彼女は意外なほど勢いよく腰を下ろしたのでした。
向かいの歩道には4人の女の子たちが
楽しそうに話しながら歩いています。
「そんなに年はかわらないんだけどね^^;」
ほんの数年前まではアンだって
彼女たちのようにその道を歩いていたんです。
それはまるで古臭いダンスを踊るように。
もうすぐ冬が来る香りを感じながら
ちょっとわざとらしく「うーん!」と伸びをしてみます。
季節が変わりそうな予感の中で
彼女たちの背中を見つめながら
「素敵な事が始まるんだろうな。」
そんな風に思うアンでした。
・・・
「どうしてアイツはなんにも言ってこないのよっ!」
幾日かすれば色づきそうな街路樹の下で
ほんの少し「彼」の事を憎らしく思っています。
とっても素敵な笑顔で。
もうすぐバスが来る。
切妻屋根に帰ったアンはトランクと帽子をベッドの上に放り出し
不機嫌なままお風呂に向かいます。
なにやらブツブツと文句を言いながら
体を洗っているアンです。
お風呂を出た後、意を決したように
彼に電話をしました。
「あのバス停、今も変わらないよ。」
もう一度あの「学生通り」を二人で歩きたい。
ふとそんな事を「彼」につたえてみたかった。
ただそれだけなんです。
だって明日は土曜日だから