切妻の屋根裏より ~その4~
物を作る上で
その背景となる「世界観」を構築すると言う事が
なかなか難しいのは
ことファッションに限った話でもないんでしょう。
前回の稿でも少し触れましたが
かつてはファッションの世界では
やや、持って回った言い方をすると
「デザイナー個人の創造性に依拠した世界観」
を、表現する事でブランドを成り立たせることが
出来ていたんだろうと思います。
でもですね、今はその事がそう簡単ではなくなっているように
個人的には感じています。
「価値観の多様化」が叫ばれて久しい昨今ですが
ファッションシーンもその例外ではなく
数十年前のように「一つの流行りもの」を
大多数の人が支持するような
そんな状況にはなりにくい現状だと思うんです。
それが一つのブランドなのか
或いは一つのアイテムなのかに関わらず、です。
あらゆる価値観が概ね肯定的に認められる世の中は
なかなか結構なものだと思う反面
物を作り、そして売って行くと言う立場から考えると
その事自体は意外に厄介なものなのかもしれません。
少し前に「山登り」なんかを趣向する女性をターゲットに
その手のファッションが取り沙汰されましたが
それはファッションではなく
「山登り」と言うアクション自体に重きが置かれた
一つの流行だったのではないかと思います。
現代はファッションにおいても
「グループ化」の時代のようですね。
勿論、かなり昔からロックミュージックや
ミリタリーのようなカテゴリーのファッションはありましたが
今の世の中ではその趣向がさらに細分化され
そしてそれらが各々の世界で一定の支持層を持ち
結果として「全体的な流行」のようなものを
生みづらくなったと感じるのは私だけでしょうか。
もしその事が本当であるのなら
20年以上ファッションにかかずらわって
しかも比較的古いファッション観を持っているであろう
ワタクシにとっては
複雑な感情を抱かざるを得ない事実だったりします。
いわゆる趣味等の各カテゴリーで
その世界に沿ったデザインの衣服を提供する事は
決しておかしい事ではないと思いますが
もしも、その分野ごとの必要性のようなものに
デザインが一定以上に縛られることがあるとしたなら
それは必ずしもファッションそのものに
良い影響を与えているかどうかは
かなり疑問だと感じてしまいます。
そんな大仰な事を片方では考えつつ
ナチュラルカントリーと言う制約を与えられながらも
Kiseki.Naと言うブランドを作り始めた次第です^^
その世界観を作るために
「彼女」の登場が必要だったワケです。
その物語の本編は
多分ゆっくり進んで行くと思いますが
そのお話を背景に生まれていく「服」を
是非、一緒にお楽しみいただけると幸いです。
その過程での裏話と言いますか
苦労話と言いますか
そんな紆余曲折の様は
こちらの屋根裏日記で書いていきます。
これが、まぁ涙ぐましい努力だったりするワケですよ。
その努力の方向性が
正しい方向に向いていれば嬉しいんですけどね。
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