ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON 先行プレイレポ
先日、PlayStationのトーク番組「PLAY! PLAY! PLAY!」の特別回として、『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』SPECIAL BRIEFINGが開催された。
このイベントでは、同作の冒頭30分を先行プレイ出来る権利と合わせて、現地での観覧者募集を行っていた。参加枠は40名という中で、幸運にも当選したので、先行プレイをする機会を得た。この記事では、プレイ体験を思い出しつつ、個人的に感じた過去作との違いを記録していこうと思う。
プレイ体験会の様子
2023年8月18日、午後6時。東京某所。4日間の家族旅行の合間に、急遽予定を変更して単独行動をしていた私は、迷いながらも会場へ到着した。受付にまずあったのは、大きなバナーとそこら中に貼られたポスターだった。
まず受付で当選通知のLINEを提示する。そして、スタッフのお姉さんにPSNのIDを確認される。
「k, i, s…とか書いてあると思うんですけど…」
「ああ、このきさら…これ言っちゃって大丈夫なやつですか?」
「いや大丈夫ですよ」
本人バレを気にしてくれる、熟練の人だと思った。受付を済ませると、社員証めいた番号入りのカードを渡されて、首から提げておくように言われた。9番目の人は、さぞ嬉しかったろうと思った。
会場に入ると、コンセプトアート?デザイン?の展示や、歴代ACシリーズのCMが放映されていたりなど、ファンに刺さりそうな展示が行われていた。実際刺さった。会場内の受付で番号札を提示すると、ロゴ入りの水がもらえた。コーラル入りではないと思う。
一番目を引いたのは、大きなロゴの描かれた黒いボードだった。近くに設置されたテーブルには透明フィルムのシールと白・銀色のペンが置かれていて、今作やシリーズに対する思いを好きに書いていいとのことだった。完成したシールはスタッフの方がロゴに貼ってくれる。
何を書こう…とか考えながら、プレイ体験会場へ移動した。会場には20の試遊台が用意されていて、PS5版でのプレイだった(当然だが)。
会場に入ってまず感じたのは、異様な静かさだった。試遊台にはヘッドフォンが用意されていたため、ゲーム音声が聞こえてくることはなかったが、そういう物理的な音の有無ではなく、それ以上の緊張、静けさがあった。傭兵の流儀に従って表すなら、間違いなく”殺気”だろう。
少し待っていると、自分の番が来た。試遊時間は、ニューゲーム開始後再生されるカットシーンが終わってからの30分間である。試遊台に案内され、NEWGAMEを選択する。カットシーンが始まり、終わる。冒頭30分のプレイ映像などは結構色々な場所で公開されていたと思うので、各々で調べてほしい。
まずはチュートリアルを兼ねたミッションとなる。惑星へ降下し、ハンドラー・ウォルターに指示を受けつつ、移動・攻撃・インタラクションを戦いながら会得することになる。初期武装は、右手にライフル、左手にブレードを装備。そして右肩に4発同時発射可能なミサイルだった。
ライフルは非常にオーソドックスなもので、雑魚のMTを5~6発で撃破できる。シールド持ちに対しては無力なので、大人しくミサイルを使うか回り込むかした方がいい。
ブレードはボタン連打で2段まで連続攻撃できる。ブレードホーミングはまあまあ。踏み込み距離が短めなので、上手く接近するテクニックが必要そうだった。
ミサイルは発射ボタン長押しでマルチロックオンが可能になる。短押しならロック中の対象に向けて斉射する。リロードが割と早い(5秒かからない)上に、シールド持ちに対してもある程度有効だった。スタッガー値の蓄積も多かったので、最初のミッションではこれが主なダメージソースとなった。
しばらくMTを蹴散らしていると、最後にヘリ型のボスが登場した。これが割と強い。機銃による絶え間ない弾幕、定期的なミサイル攻撃、そして攻撃範囲の広い爆撃(ロケットのようなものを発射していた)。
基本はこの3つの攻撃を繰り返しているだけだが、初期装備のまま戦うとまあまあ手応えがある。チュートリアルで使う分を除いて2回分のリペアがあるとはいえ、1回撃破されてしまった。2回目の挑戦では、スタッガー発生時に上手くブレードを当てることで倒す事ができた。今作のキーシステムとなりそうだと強く感じた。
詳しいプレイの体感については次の章で記録する。
プレイ体験を終えて、会場内を見て回ることにした。展示が結構多くて面白かった。今作も設定資料集とか出してほしい。買うので。
トークショーが始まるまでの間、会場をうろついていたのだが、何から何までロゴが描かれていて面白かった。
そしてしばらくするとトークショーが始まった。顛末はきっとそこらのメディアが取り上げているだろうから省く。
本番前、MCの松嶋初音さんが、緊張した現場の空気を「殺気」と表現していた。彼女はおそらくACシリーズに対する造詣が深い訳では無いと思うが、そんな彼女にさえ、殺気を感じさせるような雰囲気だった。本当に。
話題になっている”渋谷の花火師”さんとは席が近かったので、放送終了後にTシャツありがとう、と声を掛けた。爽やかに「いえいえ!」と返してくれた。プレイ中、実は緊張で手も足も震えていたんだという。艦橋をぶん殴る本物のイレギュラーも緊張はする。何かとてもリアルで、印象に残っている。
Tシャツ、本当にありがとうございました。
イベント終了後は、番号札(のケース)と交換でノベルティを受け取った。
スタッフ用で”数えるほどしか無い”らしいTシャツ、ACの後ろ姿が描かれたタンブラー、ステッカー3種(試遊イベント共通2種+限定1種)、B2ポスター、パンフレット、ロゴ入りのエコバッグ(MOTTERU クルリト デイリーバッグ)が含まれていた。家宝決定。
アーマードコア7が出たときは、全部装備してイベントに行きたいと思う。
駅までは他のイベント参加者と話しながら帰った。参加者の面々は個性豊かで、男女比はおよそ男:女=8:1ぐらい。仕事帰りらしいワイシャツの若い男性、夏休み中の大学生、歴戦の猛者感漂う壮年の男性と、様々なファンに愛されているのだろうなと思った。
駅で別れるとき、この人たちと、いつか戦うことになるのだろうと思った。味方として、あるいは敵として、カバーしあい、殺し合う。そういう殺伐としたところに楽しみを見出してしまった私たちは、たぶん次の10年もずっと戦い続けるのだろう。
…AC7はもっと早めで頼みます。
先行プレイ所感
プレイできたのは冒頭30分で、具体的に言えば、チュートリアルを兼ねたミッション1つ、その後のミッション2つ、チュートリアル1つの4ミッションとなる。また、一部ではあるが、アセンブル、ショップの利用も可能であった。
プレイした体感として、基本的にはACfAに似ていると思った。自機はもちろん、敵機(特にミサイル)の機動性も高く、上下動の激しい立体的な戦闘が要求される。そんな中で正確に攻撃を当て続け、スタッガー値を溜め、必殺の一撃をぶつける…という感じで、シンプルな撃ち合いに収まらない、V系のエッセンスも感じた。
ACV, ACVDでは、基本的に上下動が少なく、無条件でその場から高く飛び上がったり、滞空し続けることには、それなりに制限があった。しかし、今作ACVIでは、ENの続く限り上昇できるし、滞空も出来る。また、ACfAにおけるオーバードブーストのように、溜め動作の後に長距離を高速で移動できる「アサルトブースト」も存在する。
また、短距離を高速で移動する「クイックブースト」も存在した。体感としてはほとんどACfAのQBと同じだが、移動距離的にはかなり短く、移動に慣性がつかないことから、V系のハイブーストに似ている感じもあった。
プレイしていると、(改良されながらも)過去作から引き継いでいるシステムが結構多いように感じた。
例えば、「スキャン」操作では、近くの敵をハイライトすることが出来るほか、インタラクト可能なものも提示される。これはV系のスキャンモードをより使いやすくしたものだと思う。
また、AC4・ACfAであったオートサイティングのように、かなり強いサイティング補正がかかっていた。非ロック時は、敵の近くまでサイトを移動させると、敵に吸着するようにロックオンサークルが移動し、敵を補足した状態になった。ACfAよりも強い補正があるように思えた。なお、ロックはおそらく2段階方式で、実際にカメラが捕らえていても、ロックオンサークルの内側で再度ロックを行う必要がある(2次ロック)。
スタッガーのシステムは、V系にあったものをよりカジュアルかつわかりやすくした感じだと思う。スタッガー状態の発生によって、V系での効果である防御力30%減より明らかに大きなダメージを与えることが出来た。例えば、最初のミッションに出てきた大型ヘリは、通常時の攻撃だとほとんどダメージを受けない(跳弾までする)。しかし、スタッガー状態ではどの攻撃でもかなりのダメージを受け、ブレード攻撃では一気に数割ほど体力を持っていく事ができた。また、自分が受けたスタッガー値は、常に画面に表示されているため、単に被弾を避けるだけでなく、回避不能な際はどの攻撃なら食らっても大丈夫か(どの攻撃ならスタッガー値が低いか)という取捨選択も必要になると思った。スタッガー状態が発生すると、自機・敵機ともに、警告音と大きく怯むようなモーションを見せるため、チャンスとして、あるいはピンチとしての演出が強調されていた。固め切りが絶対に猛威を振るうと思う。
一方で、当然ながら新システムも多く見つかった。
まず、ちゃんとチュートリアルが用意されたことに感謝したい。アセンブリ辺りからアクセス可能で、クリアすると報酬ももらえる。新システムを学ぼうと1つ目のミッション終了後に受けてみたが、未経験者に向けたチュートリアルだった。移動操作(徒歩・ブースト移動・QB・AB)、攻撃操作(腕射撃武器および腕近接武器の使用・肩武器の使用・肩ミサイルのマルチロックオン)、リペア、スキャン、そしてターゲットアシストの操作を学ぶことが出来る。チュートリアル中は専用の機体が用意されていた。1つ目のチュートリアル受講報酬は、チュートリアル内でも使用した(右手用)マシンガンだったが、初期装備のライフルに比べて継戦力が微妙だったので使っていない。MT1体倒すのにマガジンの6~7割ぐらい必要だった。絶対弾が足りなくなる。
大きな変更として、リペアキットの存在があると思う。今までのACシリーズでは、基本的に無補給での戦闘が要求されるため、ミッションの道中でダメージを受けすぎないように、あるいは弾薬を使いすぎないように、ペース配分を考えながらプレイする必要があった。だが、リペアキットの存在によって、少なくともAPについてはある程度の余裕が出来ることになった──と思いきや、そんなことはなかった。今作は、敵の攻撃力が全体的に増加しているだけでなく、自機のAPも多くなりにくいように感じる。例えば、一発で結構な削りとスタッガー値を与えてくるグレキャを載せたMTが、割と序盤から出てくる。また、ミッションでは、破壊対象の大きな砲塔から放たれる攻撃が、2割以上ガッツリ削っていく。あくまで回避行動の失敗を埋めるだけの救済措置であって、被弾前提の行動をよしとするものではないらしい。フロムらしいと思った。
また、両手・両肩武器の同時使用がおそらく可能になっている点も新しいと思った。今までは、両手武器の同時使用(いわゆるW鳥)か、右肩武器・左腕武器などの対角線となる組み合わせの同時使用(いわゆるX鳥)のどちらかだた。しかし、体験会では、右腕のライフルと右肩のミサイルを同時に使うことが出来た。そのため、おそらくは両腕・両肩の武器を同時に使うことが出来るだろうと考えられる。左肩にシールドを装備した際は、シールドを展開しながらミサイルとライフルを使うことが出来たため、両腕と両肩にガトリングを装備すれば、最強弾幕マンも実現できると思う。ネタアセンも充実しそうだと思った。
新システムであるターゲットアシストは、正直言ってあまり有効性を感じなかった。機能が有効な間は、常に機体が敵の方を向くので、おそらく射角内に目標を捕らえ続ける事ができる。ただ、攻撃中は、機能のオン・オフに関わらず、自動で敵を追従するような動きを取るので、機能の有無はそんなに関係なかったように感じた。タイマン用の機能かなと思った。
また、システムと言っていいかは微妙だが、褒めテクの驚異的な向上があった。今までのシリーズでは、プレイヤーの強さを表すのはミッションや対戦の成績が主で、直接的な褒めと言えば「イレギュラー」とか「ドミナント」とかいう言葉ぐらいだった(しかも前者に至っては蔑称のニュアンスがある)。一方今作では、ミッション中は、エースコンバットシリーズのように敵方の無線が傍受されるため、これを利用した褒めが多く見られる。「AC!?どこから来た!?」のような無線の後に、断末魔と共に蹴散らされていくMTは、引き立て役を上手くこなしている。援護を求める叫びや、味方戦力が壊滅したという悲鳴、絶対に守り抜けなんていう決戦の意志など、様々な方法でプレイヤーの強さを強調する。これはACシリーズにしては、とても新鮮であると思った。
機体構成については、前情報通り、V系ほどの複雑さはオミットされつつも、ACシリーズ特有の「大量の数値とにらめっこする」感じを保っていた。防御・攻撃属性は、V系の3属性を維持しているものの、実弾・爆発・ENとよりわかりやすくなった(ように感じる)。
パーツの種類についてはV系を概ね引き継いだ形になる。フレームパーツと、ブースター・FCS・ジェネレーター、そして4つの武器という構成である。ショルダーユニットは廃止されたが、その代わりにコア拡張機能が追加された。アサルトアーマーの他に、パルスアーマーとか言う実質PAも使えるらしい。
今作では、近接武器を装備できるのは左腕だけになるらしい。また古いシステムを持ってきたな…と思ったが、プレイした感じは必殺の一撃として近接武器が必須になりそうだったので、ゲームバランス調整の一要素かな、と思った。
新しいパーツとして、肩部に装備するシールドを使ってみた。キーを押下している間だけ展開され、一定時間で(あるいは一定回数の被弾で?)オーバーヒートしてしばらく使えなくなる。左肩限定。展開直後は「イニシャルガード」となって、MT程度の攻撃ならダメージをほとんど無効化してくれるようだった。展開中はあくまでダメージ軽減のみとなるが、直に食らうよりは相当軽減されるので、ミッションによっては活用が必要そうに感じた。近接武器がほとんど必須になった今作では、突撃のためにも使用される場面が増えそうだと思う。展開時間は高々数秒程度なので、ガードしまくって耐えるのは難しそうだった。「攻めのゲームなので」という説明がよく当てはまっていると思った。
パーツのデザインについては、今までのACシリーズから様々なデザインを抜いてきたように思えた。PSACシリーズらしいロボット然とした角ばったパーツや、4系らしい流線型・鋭角のパーツ、V系らしい重厚なパーツなど、多様だった。
機体構成や操作、ミッションを含めた総合的な難易度としては、フロムゲーらしい中~高難易度のゲームに仕上がっていると思った。
トークショーでの解説の通り、対MT戦では気を抜かなければ無双できて、ボス戦ではそれなりに手応えのある戦いが展開される。フロムゲーと言えば難易度曲線の作り方が下手くそという(個人的な)イメージがあるが、今作は割とうまく出来ていると思う。それでも、ゲームに不慣れな人が簡単にクリアできるかというと、かなり難しい。戦っていく中で、自分の得意な戦闘スタイル、そしてそのスタイルに適合したアセンブルを見つけ出していく必要があることが示唆される。武器の種類が結構増えていそうなので、過去作よりも広い選択肢から好きな構成を選ぶことが出来そうだと思う。
上手くなるのが楽しいゲームは、本当に楽しいゲームだと思う。ACシリーズは、遊ぶのに上手くなることが「必要とされる」ゲームだったと思うが、今作は上手くなると「楽しい」ゲームだと思った。シリーズに対する思い入れもあるだろうが、プレイしていてすごく楽しかったし、嬉しかった。
だから、気になるな、と思った方は、今作こそ入門にふさわしいのではないかと思う。多くのファンが言う通り、今作も漏れずACシリーズは難しいゲームではある。しかし、多くのファンが、そして開発者が望んで生まれてきたこの傑作は、過去作よりも間口を広く構えてあなたを待っている。
もしあなたに興味があるならば、遊ぶべきだ。このゲームには、金と時間を費やすだけの価値が、絶対にある。
総評として、さすがアーマードコア、とは思いつつも、新しいゲームだな、と深く感嘆した。
操作感としては4系とV系を混ぜ、さらにデモンエクスマキナ辺りをちょっと入れたような感じだった。アーマードコアらしい無骨さ、悪く言えば不親切さを保ちつつも、近年のフロムゲーらしい軽快なプレイフィールを実現できていると思う。その点で、伝統を受け継ぎつつも、流行を取り入れているように感じた。
10年ぶりの新作となると、何か感慨深いものがある。小中学生のころ、良くわからないまま傭兵出撃を繰り返していたあの頃の体験を、今もう一度明瞭な意識を持った自分として楽しむことができると思うと、非常に嬉しく思う。
最後に
イベントレポートの最後に、この機会を頂いたPlayStationとフロム・ソフトウェアに深い感謝を表したいと思う。このようなイベントを企画してくれたこと、そして参加できたことが非常に嬉しい。そして、Tシャツを確保してくださったファイヤーワークス氏、質問募集に協力してくださったDiscord鯖のみなさんに感謝の意を表して、このレポを締めくくりたいと思う。