鬱の恋は毒か、藥か
ほとんど鬱みたいな状況で恋愛をするのって、本当にアホらしいというか、自傷行為とさえ呼んでしまってもいいと思っているのだけれど、俺は意識的に「この人好きだ」と思って恋愛をはじめるのではなく、何だったら失恋した後に「あ、好きだったんだ」と気が付くほどの無意識であり、愚鈍である。心が強い人間はいいが、俺は恋愛の感情を自分で制御することは出来ない。ほとんど無意識で、自らの恋心を増長させる行動を取っているのだ。
心療内科や精神科などで、鬱蒼とした心を晴らすために、周囲の人間と積極的に関わることを推奨されることがある。
そしてその関わりでまた同じような顛末の恋愛を繰り返すことになってしまったら、俺はいよいよ両手で白旗を握って、海の上でひとり、ぽつんと立ち尽くすほか無いのである。
人間と関わってもダメ、関わらなくてもダメなら、いよいよこの世界の気分次第で俺の結末が決まっていくのだろう、という不吉な諦観の現実味がどんどん増していくばかりなのである。