日記はじめます

 昔から、日記を書きたいと思っていた。しかし、いつも三日坊主で終わってしまう。一つは、自分の飽きっぽい性格のせい。もう一つは手書きにこだわった故、書くのに時間がかかり過ぎたせいだ。

 しかし今、僕は終電車の中でこの日記を書いている。今日も撮休だったが朝から原稿作業に追われていた。21時からの自分が今参加しているドラマのオンエアを見て、割本を刷っていたら、あっという間に24時だ。スタッフルームから死ぬ気でダッシュして成城学園前駅0:17分発の急行電車に乗れば、ギリギリ1時過ぎに練馬の自宅に帰ることができる。明日(というよりもう今日か)は6時渋谷集合だから5時前には起きなきゃいけない。かれこれ、そんな生活を6月から続けている。これが9月中旬まで続いてしまうのだから、頭をかかえるよりも笑うしかない。

 そんな僕が日記を書きたくなったのには理由がある。自分が自分でなくなってしまうのが怖いのだ。先述したような生活を毎日続けていくと自分という人間は腐ってしまう。この1ヶ月半でよくわかったことの一つである。大好きだった家に帰ってからのオナニーもする元気が無く、泥のように眠り、朝起きるとさっとシャワーを浴びて、友達が洗濯してくれた湿気くさい服を着て撮影現場に向かうことをただ繰り返す。見たかった映画や本を楽しむ時間や余裕などそこにはないし、日々心が擦り減っていくのみである。この状況はやばいなと常々思っていた。この日々が3ヶ月も続くのだからドラマの現場は本当に恐ろしい。

 僕はかろうじて自分を保つ為、この日記を書くことにした。撮影現場は戦場だと、スタッフの誰かが言った。1秒1秒、その時々の状況は変わっていく、まるで川の濁流のようにセリフが、動きが、必要な小道具が変わっていってその都度僕は適切に対処しなければならない。しかし、日々の仕事を追いかけるあまり、その濁流の中で取りこぼしてしまったものは余りにも大きすぎると思う。その取りこぼしてしまったものを少しでも繋ぎとめ、自分の言葉と考えを記憶に刻み込んでおきたい。だから少しでも書けるタイミングがある時はこうして日記を書くようにしたい。手書きじゃなくてタイピングで打つ分、早くて楽だ。単なる愚痴だけではなく、日々の徒然ごとと思考をまとめる事が出来ればと思う。

 そういった訳なのでお時間ある人は読んでもらって、こいつこんなこと考えてるのかと温かい目で見ていただければ何よりです。

 何卒、よろしくお願いいたします。

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