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失業したらまずは脱げ!落ちこんだときに見たい元気が出る映画「フル・モンティ」
令和2年になぜ1996年の映画? 最近のでもっといいのあるでしょう、という突っ込みが聞こえそうですが、幼少時から2000本以上(たぶん)見てきた映画オタクの私の独断と偏見で断言します。
落ち込んだときにはもう、『フル・モンティ』しかない!
「フル・モンティ」とはイギリス英語のスラングで「すっぽんぽん」という意味。
そう、この映画はストリップを題材にしたハートフルコメディなのです。
「ストリップでハートフルってわけわからん」という感じですが、同じストリップ物でも全米女性&ゲイのハートをわしづかみにしたスティーブン・ソダーバーグ監督の『マジック・マイク』を期待してはいけません。
あちらは全米一セクシーな男(当時)チャニング・テイタムをはじめ、主要人物は全員マッチョなイケメン。しかも舞台は華やかでいかにもアメリカンな感じです。
一方『フル・モンティ』の舞台は、地味なイギリスの工業地帯のこれまた地味~な鉄工場。
当然、大画面で見る映画ならではの映像美は皆無で、画面は常にどんよりしています。
「ただでさえブルーなのに、そんなもん見たらますます暗くなるわっ!」と思った方、しばらく耐えてください。
そもそも映像美は追求していないと思われますし、英国アカデミー賞で作品賞、主演男優賞など4部門を受賞しているヒット作です。
とにかくしょっぱなから鉄工場をリストラされた6人の男たち。皆さんそれぞれに事情を抱えていて、さらに失業でトドメを刺されたような悲惨極まりない状態です。
無職&果てしなく貧乏という現状を脱するだめに、普通なら他の町に出稼ぎに行くことを考えるのでしょうか、彼らは何を血迷ったのか
「ストリップで稼ぐしかない!」と立ち上がります。
しかしストリッパーになるのはマッチョなイケメンでなければ絶対無理な欧米社会。
肝心のメンバーといえば、ガリガリ、お太りさま、じいさん等々、マニア以外の誰がお金を払って裸を見たいのか、むしろお金払うからしまっておいていただきたい、と思うような逆の意味で粒ぞろいの逸材ばかり。
それでも周囲の嘲笑や、まさかのメンバー離脱など、さまざまな困難を乗り越えて、文字通り裸一貫で不死鳥のごとく羽ばたいていく、というお話です。
単に笑えるだけではなく、失業問題、親と子の問題、夫と妻の問題、ジェンダー、同性愛、人種問題など、様々な社会問題を描いていて、コメディを超えた奥深さが魅力です。
主演はロバート・カーライル。
アンドリュー王子の未成年買春事件、ヘンリー&メーガン離脱で安定のお騒がせを提供し続けるイギリス王室から大英帝国勲章までもらった名優です。
日本ではおよそ20年のときを経てパート2まで作られた世界的大ヒット作「トレインスポッティング」で有名ですが、その後、この手の作品にまで手を染めていたのですね~。
さすがカメレオン俳優。
ちなみにこの映画、使用されているスラングは下品ですが、なぜかあまり下品に感じず、ストリップシーンもやらしくありません。
とにかく笑った後にあたたかい気持ちになって、明日も頑張ろうと思える映画です。
セリフPICK UP!
デイヴ
There's nowt so queer as folk.
Hahahaha!!
I said, there's nowt so queer as folk.
(芸を極めるのも大変だな。ハハハッ!奴らゲイを極めやがった!)