楽器練習日記6:チャップマンスティックのベース部が手ごわい!
チャップマンスティック(以下スティック)はメロディ部とベース部に分かれていますが、ベース部はベースと同じというわけではありません。
ベースが6弦から1弦に行くにしたがって音が高くなるのに対し、スティックは7弦から12弦に行くにしたがって音が高くなっていきます。
それだけではありません。ベースに比べ、スティックは急激に弦が細くなっている気がしませんか?
そうなんです。ベースが低音弦から4度間隔で弦が張られているのに対し、スティックは5度間隔で弦が張られているのです。
簡単に4度と5度の説明をしますと、Cメジャースケールの場合
C(1)、D(2)、E(3)、F(4)、G(5)、A(6)、B(7)
Cを1度とすると4番目の音のFが4度、5番目の音のGが5度となります。
6弦ベースの場合、6弦の開放弦の音がBで、そこから4度ごとに弦が張られているので、B、E、A、D、G、Cとなります。
スティックは1フレット目にミュート用のスポンジがかませられており開放弦が鳴らせないので、7弦の1フレットからC#、G#、D#、A#、F、Cとなります。
(ちなみになんですが、私の持っているスティックは古いタイプで34インチスケールなのですが、現在は36インチスケールで、1フレットの前にさらに半音低いXフレットがあり、7弦からC、G、D、A、E、Bとなっているそうです。うらやましいですね)
このためベースとスティックのベース部はまるで勝手が違っており、私がスティックを弾く際の一番の難関となっています。
ではなぜベース部は4度ではなく5度間隔なのでしょうか。私なりの答えを探っていきたいと思います。
まず、5度間隔で弦が張られていることのデメリットはどのようなものでしょうか。それはごく単純なスケールを弾くのが難しくなるということです。
ベースだとCメジャースケールを弾くのに
高 A・BC
EF・G
低 ・C・D
と4フレットに指4本がちょうど対応しているためフレット移動しなくていいのですが、スティックの場合ですと
低 C・D・EF
高 G・A・BC
と大きくフレット移動しないといけなくなります(なお「・」はフレットの間隔を表します)。
では、5度間隔で弦が張られていることのメリットはどのようなものでしょうか。
4度間隔で弦の張られているメロディ部と音の並びを見てみましょう。
メロディ部1フレットから7フレットまで
高 1 ・EF・G・A
2 ・BC・D・E
3 F・G・A・B
4 C・D・EF・
5 G・A・BC・
低 6 D・EF・G・
ベース部3フレットから9フレットまで
低 7 ・EF・G・A
8 ・BC・D・E
9 F・G・A・B
10 C・D・EF・
11 G・A・BC・
高 12 D・EF・G・
音の高低を無視すると、音の配置自体は同じになります。つまり、コードを弾くのに4度間隔のメロディ部と同じ指の形を使うことができるということです。
そしてメロディ部に比べて急に音が高くなっていくので、メロディ部だと5フレット内で2オクターブ上の音までしか弾けませんが、ベース部だと3オクターブ上まで弾くことができます。
フレット移動せずに高音域まで弾けるということは、ベースとコードを片手で弾けるということです。
たとえばCメジャー7だと
C・
・・
・・E
・・B
となり、ルートのCを弾きつつ1オクターブ上のE(3度)とB(7度)を弾くことができます。
しかしコードの指の形は同じとはいえ、音の高さによる順番はメロディ部とは変わるということに注意が必要です。
私はスティックの練習にバイエルのピアノ教則本を使っているのですが、最初はヘ音記号はベース部で、ト音記号はメロディ部で弾くつもりでした。しかしこれはすぐに頓挫することになりました。
たとえば
という楽譜の4分音符をメロディ部で弾くと
高 D・・
B・
低 G
という形になりますが、ベース部で弾こうとすると
低 G・・・B
高 D
となり、同一弦で音が重なってしまい、弾けないのです。
もちろん指の形は同じなのでベース部でも
低 D・・
B・
高 G
の形で弾くことはできますが、そうすると楽譜上では次のようになります。
なのでここで私は選択を迫られることになりました。
①ベース部だけで弾くのをあきらめてメロディ部を使う。
②楽譜通りに弾くのをあきらめて音だけあっていればいいと割り切る。
悩んだのですが、まずは楽譜通りに弾こうということで①を選択しました。
しかしここでもまた問題が発生しました。ピアノは隣りあう音(例えばCとD)も難なく弾くことができますが弦楽器だと同一弦上で複数の音を出すことはできません。
たとえば次のような楽譜を弾こうとすると
高音部のACDをどうしても片手で弾くことはできません。両手で弾くことになりますが、ベース部で別のことをしている場合、それもできません。そうなるとベース部をあきらめるかコードの音数を減らすかという選択を迫られることになります。
これはベース部云々というよりはピアノの教則本をスティックに流用している弊害なのですが、一般的とはいえない楽器なだけに色々と自分で工夫する必要がでてくるということです。