楽器練習日記 5:チャップマンスティックが戻ってきた!
そうこうしているうちに11月になり、チャップマンスティック(以下スティック)を預けていた楽器屋から点検終了の電話があり、私はスティックを引取りに向かいました。
スティック本体に問題はなく、専用のY字ケーブルが不調だったとのことで、さっそく新しいものを注文します。
Y字ケーブルが届き、さっそくミキサーにつないでみるとちゃんと音が聴こえてきます。ほっとひと安心です。
しかし半月ほどしたころから、スティックを弾いていると、首筋に千切れるような激しい痛みが出るようになってしまいました。
ベースのときもそうでしたが、私が楽器を始めるときは痛みがないと始まらないのかもしれません。
理由ははっきりしています。「楽器練習日記1:チャップマンスティックを弾きたい!」でも説明したように、スティックはベルトフックとショルダーストラップで装着します。なのでどうしても垂直に近くなります。
つまりハイポジションに行くほどどんどん下になり、そこを見ようとすると頭も下がってしまうわけです。いわゆるスマホ首、ストレートネックの形になってしまうのです。私の頭は首からずり落ちそうなほど下がっていました。
人間の頭は重さが4~6キロあるといわれています。ボーリングの玉を延々不安定な位置で支えているようなもので、首の筋肉が千切れそうになるのも当然です。
ただし最初はこれに無自覚だったため、結果として酷いことになってしまいました。
もっともこれはスティックのせいだけとはいえなく、痛みが出る少し前にブラジリアン柔術の練習時に首を変にひねっていたのです。大したことはなかったのですが、スティックを弾くことでそれが悪化した可能性があります。
しかしどちらにせよ、対策を考えないと首への負担がかかり続けることになります。
私はこれに対し、ふたつの解決案を考えました。
①頭を下げない。あごを引いて目だけを下げるようにする。
②ベルトの位置を上げる。
①について。
あごを引き、首の後ろの筋肉を頭で巻き取るようにすれば、視線は下がり、首は下がらないのではないかという作戦です。
しかしそうしても、あごを引こうとして首に力が入り、また筋肉が伸ばされるので結局痛みは出てしまいます。また、どうしても頭が下がってしまうことは避けられませんでした。
②について。
そもそも私の場合、ベルトフックを普通にズボンのウェストに装着するのでは位置が低く、弾きにくいというのがあります。また、ベルトを腰の高い位置で締めても、普通のベルトだと細くて腰に食い込んで長時間弾いているとつらいです。
位置の高さの保持と食い込みの両方に対策するためには幅広のベルトをする必要があります。
幅広のベルトということでまず思いついたのが、警備員がよくしている帯革です。
帯革は幅が5センチほどです。しかし1本ではまだ足りず、2本締める必要がありました。
高さはちょうどよくなりましたが、強度が足りず、すぐにへにゃってしまいます。また、弾いているうちに帯革が重なり、低くなってしまいます。なのでもっと厚みがあり、1本でも幅のあるものが望ましいです。しかしそんな都合のいいものがあるでしょうか。
ありました。
「幅広ベルト」「厚い」等のワードで検索していると、パワーリフティング用のベルトに行き当たりました。
どれも幅が10センチほどあり、厚みは1センチあります。本革製の1センチともなれば強度も充分でしょう。私はさっそくそのうちのひとつを注文しました。
それを注文するとき、関連商品として厚さ5ミリの軽量版もあったのですが、「大は小を兼ねる思想」の私は頑丈なものがいいと思い、そのまま注文しました。
配達されたものを受け取ると、ずしりとした重さが伝わってきます。実際に見ると想像していたよりもずっと分厚く感じます。これならスティックの重さにも耐えてくれるでしょう。
腰に巻こうとすると硬くてなかなか巻けません。万が一ドスで刺されても守ってくれそうな安心感があります。しかしいざスティックを装着しようとしたとき、予想していなかったことが起こりました。
ベルトフックがぎちぎちで、なかなか刺さらないのです。
これは予想外でした。ベルトフックの幅のことはまったく頭にありませんでした。
試しに押し込んでみると、入るには入りますが全然遊びがありません。若干ベルトフックが広がっています。少しでも無理な動きをしたらプラスチック製のベルトフックが砕けてしまいそうです。
これでは諦めるしかありません。私は改めて注文時に見た軽量版を買うことにしました。ここでもまた大は小兼ねる思想があだになった形です。
軽量版が届き、試しに巻いてみるとちょうどいい高さです。スティックの重さで多少歪みますが気になるほどではありません。
しかしベルトの高さと強度の問題は解決されたのですが、首の痛みは残ったままです。さらなる手立てが必要です。
ちょうどこのとき別件でかかっていた接骨院の先生に相談してみることにしました。
先生からはスティックを弾くのに適した姿勢として
①背筋を伸ばし、まっすぐにする。
②そのまま鼠径部と膝を曲げ、少し体を落とす。
というアドバイスをもらいました。
やってみると、主観的には体を壁にしてその上にボールを載せているような感覚です。
しかしこれで改善されるのかと思ったのですが、確かにかなり改善されました。
長時間弾いていると肩や首が凝ってくるのですが、ストレッチすればなんとかなる程度です。
それにしてもこの主観的感覚、なんか既視感があるなと思っていたのですが、ついに思い出しました。これです。