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友ありて

 久々に、長年のつき合いの友人と会って、学生時代にブラブラした街を歩いてきた。
 大病をした彼女は、歩く速度がひどくゆっくりになった。まだ体調が万全じゃないのだなと事情は分かっているが、彼女より体格の良い私がその歩幅で歩くのは、かなり大変だった。そんな事に、年月を感じる。
 それでも一時よりは調子がいいのだと聞き、安堵する。まだまだ元気でいてほしい。楽しいことを一緒にやろうよ。
 彼女から見た現在の私は、どう見えるかな? 元気そうに見えてほしい(実際に元気なのだが)。たいした苦労のないように見えるといい。心配させたくないから。元気そうに見えても、それなりに色々あるって事を、ちゃんと分ってくれている友人だから。
 お互いに猫を飼っているので、旅行と言ってもままならないのであるが、体が動くうちにまたどこか行こうよ。それを励みにするよ。そんな思いは同じだった。
 自分の体調、親や親戚の介護、飼い猫の事。
 学生の頃とは事情が違って、会ってお茶するだけでもハードルが高くなってしまっているが、それを飛び越えて、やっぱり会いたい。同い年なのだけど、姉妹のような近しさで、言葉を重ねなくても色々通じる関係性は、唯一無二だから。
 お参りに行った神社の梅の花が咲き始めていて、春に向かう季節というのはいいなあと、隣に友の気配を感じながら思った。

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