見出し画像

九九さえ覚えないレベルの暗記嫌いがいかにしてOLL57手順を覚えきったか


こんにちは! 回してますか? キューブ。回してますよね? 回してないとは言わせない。うっとうしいですねすいません。

今回は「OLLコンプリートしたぞ!」という(なんとも個人的な)記念として、厚かましくも手順の覚え方講座みたいな記事を書いてみます。

前提として、僕は記憶力が極めて悪いです。いくつか実例を挙げます。

僕がどれだけ暗記嫌いか

・九九を一部しか覚えてない → だって81パターンもあるじゃん! OLL&PLLのパターン数より多い!
・受験本番までに単語帳を1周したことがない → だって飽きるんだもん……
・会社の人の名前を10人ぐらいしか覚えてない → 「○○さんにこれ渡しといて」とか頼まれるとものすごく困る!
・自宅の番地をド忘れしてメモを見返すこともしばしば

……「OLL以前に日常が大丈夫かおい!?」と言いたくなる体たらくですね。大丈夫です(日常生活よりOLLの方が大事なので)。

つまり、

「私は記憶力悪いからOLL無理かな……」

と思っている人にはこう言いたい。

「俺の方が悪いよ!!(切実)」

さきほど挙げた例を見て「ないない、そこまでは流石にないw」と草を生やせた人であれば、OLL57手順を覚えきるポテンシャルは十分にあるということですね。

手順の覚え方5選

それでは早速覚えていきましょう……と言いたいところですが、問題は「どのように覚えるか」です。

手順が覚えづらいというのは人類共通の悩みのようで、先人たちが「こうすれば覚えやすいんじゃないか」と工夫を凝らしてきた方法がいくつかあります。以下に挙げるのは、その中でも僕自身が実践して「覚えやすい!」と思ったものばかりです!

覚え方1: ひたすら回す

僕が最初に試みた方法はこれです。手順をひたすら回し続けて「手が勝手に動く」状態まで持っていく。僕はPLLに関してはほぼ全部これで覚えました。

実はこの方法、なかなかバカにできない。それどころか上級者の間でも「マッスルメモリー(muscle memory)」と称して使われる立派な手法です。

とはいえ、マッスルメモリーだけだとさすがに定着率が悪いので、次以降の覚え方も併用してみよう! というのがこの記事の流れです。

覚え方2: 手順を"チャンク"に分ける

いきなり未定義の言葉が出てきましたが怖がらないでください。"チャンク"というのは記憶術の用語で「細かな情報のひとかたまり」といった意味です。

身近な例としては電話番号があります。「08014789632」という11桁をいきなり覚えろと言われると面食らいますが、「080-1478-9632」と3桁・4桁・4桁で区切るとなんとか覚えられそうですよね。

キューブに関しても同じことがいえます。回転記号で見ると長い手順も、小さな手順に分割してみると随分簡単に覚えられる場合があるんですね。"チャンク"として特に有名なものとして次が挙げられます。

セクシームーブ(sexy move):R U R' U'
スレッジハンマー(sledgehammer):R' F R F'
ヘッジスラマー(hedgeslammer):F R' F' R

こうした"チャンク"がどう使われるか? 実例を見てみましょう。

画像2

OLL33番です。これは次の8手で揃います。

R U R' U' R' F R F'

これを見てパッと気づいた人もいることでしょう。実はこれ、「セクシームーブしてからスレッジハンマーしてるだけ」なんです。簡単ですね!

(R U R' U') (R' F R F')

もうひとつ例を見てみましょうか。

画像1

38番です。手順は以下の通りで、12手となかなか長め。

R U R' U R U' R' U' R' F R F'

でも"チャンク"の概念を覚えた皆さんならもう大丈夫ですね! 「セクシーっぽいやつ→セクシーっぽいやつ→スレッジハンマー」という3つの"チャンク"にしか過ぎません。

(R U R' U) (R U' R' U') (R' F R F')

実際はここまでわかりやすいチャンクに分割できない場合もなくはないのですが、たいていの場合は分割した方が覚えやすくなるでしょう。

覚え方3: 似た手順を一緒に覚える

OLLはPLLよりも数こそ多いですが、そのぶん似たような手順がそこそこ出てきます。これも実例を挙げた方がわかりやすいでしょう。

画像3

6番。これは以下の手順で揃います。

Rw U2 R' U' R U' Rw'

これ、何かに似てませんか? ちょっと記憶をたどってみて……

そう! これはAnti-Sune(下記)の最初と最後を2層回しにしただけです。

画像4

R U2 R' U' R U' R'

そういう意識で見てみると、上の2つの図ってなんかこう……似た形してますよね!

ここももうひとつ例を挙げてみます。

画像5

41番。"Awkward Shapes(へんな形)"と呼ばれるOLLの一つですが、手順はこう。

(R U R' U R U2 R') (F R U R' U' F')

カッコを付けておいたのでわかりやすいと思います。Sune→6手OLLを続けて回しているだけですね。「既存の手順が"チャンク"としての役目を果たしている」という言い方もできるでしょう。

他にも「あるOLLが別のOLLの逆再生手順である」とか「左右反転した手順である」みたいな形で、関連づけて覚えられるケースが結構あるんですよね。手順を覚えるのは基本的に面倒なものですから、サボれるところはどんどんサボっていきましょう!

覚え方4: F2Lパーツの動きを見る

この覚え方は今までよりもさらに†本質的†なものになります。難しいと感じる人もいれば、逆に「この方法でほとんどの手順理解できるじゃん!」という天才もいることでしょう。

この方法の前提となるのは、以下の事実です。

OLL手順を回し終わったとき、下2段が崩れることはない

……当たり前ですね! Last Layerの手順だと言ってるんだからF2Lで揃えた部分がぐちゃぐちゃになるわけがない。手順の途中で崩れた部分も、最後には伏線回収されて元通りになるのです。

やはり実例を挙げた方がピンと来ますよね。

画像6

41番。これもAwkward Shapesのひとつで、手順は以下の通り。

(R U R' U') (R U' R') (F' U' F) (R U R')

「最初がセクシームーブになってるな~」といったことには気付けると思いますが、その後のチャンクがちょっとややこしいですね。RとR'、UとU'を取り違えるといった事故が起こりそう。

そんなときに、F2Lパーツを意識して追っていくと間違えづらくなります。……言葉だけで説明するのは困難なので図解をどうぞ!

見ていただけましたでしょうか? こういった原理を頭の片隅に入れておくと、いざというとき「ここでR'って回すとあのパーツが戻らなくなっちゃうからRなんだな」といった具合に、正しい回し方を導き出せることがあります。べんり!

覚え方5: 手順にツッコミを入れる

この方法はあまり使ってる人を見たことがないのですが、個人的にけっこう効果的だったので書いておきます!

例をパッパッと出してみます。

画像7

9番。

R U R' U' R' F R2 U R' U' F'

「い~や 途中まですごいTパームみたいな手順なのに急にUになるんかい!! 裏切られた感すっごいあるわ」

---

画像8

57番。

(R U R' U') M' (U R U' Rw')

「……もしかして『Hな形だからセクシームーブ』っていうダジャレ?」

画像9

20番。

M U (R U R' U') M2' (U R U' Rw')

「いきなりMって回しづらいな! そりゃ出現確率1/216にもなるわ」

---

待って!! 読むのやめないで!!

これは何をしているのかというと、「無味乾燥な手順を少しでも身近に感じようとしている」んです。言い方を変えると、「意味がわかりづらい手順にむりやり意味付けして覚えようとしている」という感じ。

これは記憶術の平田さんがいうところの「タグ付け法」に着想を得たものです。タグ付け法というのは主に人の名前を覚えるために使われる方法です。人の見た目的な特徴から、次のようにむりやりストーリーを作り出して覚える、といった感じです。

「歯が白い」→「歯が白いのだから、虫歯ゼロ」→「虫歯ゼロだから、砂糖を食べない」→「佐藤さん!」
――世界最強記憶術 場所法, [著]平田直也

より詳しくは平田さんの本を買っていただければと思いますが、僕はこれを読んで「もしかしてOLLにも使えるんじゃないか?」と思いついたんです。

さっきOLLたちに入れたツッコミも全く理にかなっていないのですが、覚えられればなんでもあり。 この記事を読んだからには騙されたと思って一度やってみてください!(騙されたらすみません🙇)

Tips: 覚えるのに役立つ小ネタ

そろそろ文章を書くのも疲れてきたので「覚え方」というほどでもないけど大事なことを列挙します(飽き性)

Tips1: OLL Trainerを使おう

特定の手順を練習したいとき、「ソルブしてたまたま出てくるのを待つ」というのは効率が悪いです。このツールを使いましょう! 類似のツールは他にもありますが、個人的にはこれが一番使いやすいです。

Tips2: 「覚える→忘れる」を何度も繰り返そう

「昨日せっかく覚えた手順、もう忘れちゃった……」

あるあるですよね。でも落ち込む必要はありません! 忘れたら覚え直せばいいんです。実感として、一度覚えた手順であれば覚え直す時間は圧倒的に短くなります。

最初から100%完璧に覚えようとするのはむしろ効率が悪い!

Tips3: 手順はちゃんとしたサイトで覚えよう

どのサイトがどうとは言いませんが、サイトによっては「今どきそんな手順使う?」というようなものばかり掲載してたりするので要注意。せっかく覚えるならなるべくスピードキューブに向く手順を覚えましょう。

僕は数個を除いて全部CubeSkillsの掲載手順を覚えました。何せ世界的キューバーのFeliks Zemdegsが運営してるサイトですから、信頼度は折り紙付きといえるでしょう。

Tips4: どうしても回しづらければ別手順を探そう

http://algdb.net/puzzle/333/oll

Tips3でああは言ったものの、どのサイトでも「この手順取っ掛かりもないし回しづらいし何なんだ」と思うものが出てくるかもしれません。

そんなときは思い切って別手順を探してみるのもアリでしょう。"回しやすさ"というのは人によって変わるものですから、あまり1つのサイトにこだわる必要はないと思います。

Tips5: 覚えた手順は実戦で使おう

このTipsは、早い話が「2Look OLLに頼るのをやめよう」ということです。覚えてない手順については2Lookを使うしかないでしょうが、見覚えがある形が出てきたら頑張って思い出してみるのを推奨します。

OLLというのは全部覚えたところで5秒とかそういう単位で速くなるものでもないので、2Look OLLを併用してると「なんかもう別にOLLとか覚えなくていいか……」という思考に陥る恐れがあります(局所解というやつですね)。

タイムが遅くなるのは確かに辛いですが、覚えきるまでの数ヶ月我慢すれば一生気兼ねなくソルブできるようになるのです。

頑張りましょう!俺もやったんだからさ~(同調圧力)

以下、自分語り

実践的な話は以上となりますので、ここから先は「しぶやのことが好きで好きでたまらない」という方だけ読めばいいと思います。

と思ったけど……

疲れたから今日はこのへんにしときます。後で追記するかもしれないししないかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?