単語帳小テストの効果的なスケジュールは?
前回の投稿で、単語帳を使った小テストの狙いについて書きました。私は、単語帳小テストの狙いを、
これまで偶々出会わなかった語句を拾う
「初対面」を済ませておく
ということにしています。
後者については、特に大学受験などを見据えてこの先より多くの読解演習を積んでいくにあたって、まずは「見たことある」という状態を作っておくことで、その語の理解や定着がしやすくなることを狙ったものです。
適切なペースの選択
「見たことある」状態だけを目指すのであれば、単語帳をペラペラとめくって、一通りの単語を一度「目に入れる」だけでも達成できますが、当たり前ですがそれでは何の効果もありません。「見たことある」は、実際には「一度覚えたことがある」でなければ意味がありません。
「一度覚えた」とするためには、週1回の小テストに向けてそれなりの準備(暗記)をしたうえで臨み、(その時点での)定着を確かめることが必要です。教師は、生徒のタイプ、気質、能力、英語や語彙学習にかけられる労力と時間などを総合的に判断し、適切な範囲設定をして小テストをペースメーカーに語彙学習を進ませる必要があります。
小テストの範囲を定めるにあたっては、以下の点に留意することになります。
なるべく早く一冊を回せるよう、広い範囲設定とする。
生徒から見て無理のない量だと思える範囲設定とする。
前日の暗記だけでは足りないと思わせる範囲設定とする。
これに留意したうえで一週間に何語程度を範囲として設定すべきかは、生徒の様子や学校の文化によって異なるでしょう。本校では、例年だと週に80~100語程度の設定が一般的でした。私はもっと範囲を広げられると考え、週に150語程度のペースを設定しました。(もっと広い範囲設定も考えられましたが、例年のペースというのはある意味その学校の文化であり、そこからあまりに逸脱すると上手く回らないものです。例年が80~100語だったところから、例えば一気に300語の設定にしても、うまく行かないと考えました。)
繰り返しを意識した設定
定着率を考えれば、小テスト範囲は繰り返し学習を念頭に置いて設定したいものです。繰り返しを考えた範囲設定には以下のようなやり方があります。例として、1章の単語が600語の単語帳を利用している想定で考えてみます。
章や区切りごとに繰り返す
(例)
第1回 #1 ~#150
第2回 #151 ~300
第3回 #301 ~#450
第4回 #451 ~#600
第5回 #1 ~#200
第6回 #201 ~#400
第7回 #401 ~#600
一つの章が終わった後、その章をもう一周繰り返します。2回目は少し範囲を広く設定します。
数回に一回、まとめテストを設ける
(例)
第1回 #1 ~#150
第2回 #151 ~300
第3回 #1 ~#300 のまとめテスト
第4回 #301 ~#450
第5回 #451 ~#600
第6回 #301 ~#600のまとめテスト
このように、ある程度まとまった範囲で「まとめテスト」を行うことで、繰り返しの定着を図る機会を与えます。
テスト範囲を重複させる
(例)
第1回 #1 ~ #200
第2回 #101 ~ #300
第3回 #201 ~ #400
第4回 #301 ~ #500
第5回 #401 ~#600
このように、200語ずつという広い範囲設定ではありますが、第2回以降は前半の100語は前週に覚えたはずの語なので、それほど大きな負担とはならず、また復習の効果も見込めます。
以上、3種類の繰り返しを考えた範囲設定を紹介しました。上記の複数のやり方を組み合わせて実施することもあり得ると思います。
学習効果を最大化するペース・範囲設定を
生徒がついてこられるように、無理のない範囲設定としたい。とはいえ一週間で50語のような範囲設定では、いつまで経っても終わらないし学習効果も見込めない。
無理のない範囲でできる限り広い範囲設定としたうえで、繰り返しの学習効果を見込めるようにスケジュールを工夫したいと思っています。
何かしらの参考になれば幸いです。