第5章:D団で何があったのか


第4章はこちらです。

1.D団はどんな団だったのか

B団を去って、私はDという団に入団しました。
私がD団を選んだのは、そのまえにXさんが入団されていたからでした。
団長のEX氏はA団で起こったことを知っていましたし、Xさんを「絶対守る」「もしA団を復興したいときは抜けていい」といって保護してくださっていたのです。
また何人か、A団で一緒だった人も移住していました。

EX氏は「来てくれた人を失望させない」「みんな抱きしめる」といって歓迎する人でした。
(それは魅力がありますが、後でわかるようにそれは口だけでした。)

私がEX氏を信用したのはファンネルからの情報を渡したとき、「こんな大変なこと」とねぎらってくださったところです。
この情報の対価として何か役職にでもつけようかとおっしゃったEX氏に、何もしていらないと答えました。
これは違法なことでもゲーム規約に反することでもないけど、運営としてはやってほしくないことだと思うので秘密にしてほしい、と頼みました。

私がD団に「大島を取らせよう」としたのは、前の章で書いた、A団B団C団へのつらあて、という意味ももちろんあったのですが、暖かく迎え入れてくれたEX氏に「大島を取る名誉を持ってもらおう」と考えたこともあるのです

D団には団ディスコがあって、深夜あるいは朝方まで誰かがおしゃべりをしていました。
参加するのは10名前後、多くて十数名でした。

その団ディスコに参加するメンバーが内輪として固まっていました。
割とその内輪の壁が厚く、そこにはいれない人はD団をすぐ去っていきました。
しかし内輪で固まる傾向があるのはスコアが低めな人たちが多く、スコア高いプレイヤーはそういうことも少なく、全体的に明るく活気があり、悪い団ではないと思いました。

2.体調が一番悪い時期だった

D団に所属していた12月中旬~1月中旬が、一番体調が悪い時でした。
11月27日に細胞診した結果、がんではないことがわかりましたが、夜眠れなかったり昼間うずくまったりするほどの痛みの原因はわからずじまいでした。
原因ががんで、がんを取れば治る、というのであったほうがよかったです。

薬をいろいろ変えていただきましたが、吐いたり、おなかがごろごろしてガスがでたりとあまり良くありませんでした。
なによりも痛みが止まらないのに意識は朦朧としてしまうなど、副作用が強かったです。

もう少し体調が良くて、良い状態で団ディスコに参加できていれば、もう少し結果は違っていたかなとも思っています。
(とこの下書きを書いていた2月上旬は思っていましたが、今、六騎士団連盟での大島持ち回りなど聞いて、そんなことをする団長の下では、団ディスコに加わって仲良くなったとしても結果は変わらなかったなあと思っています。)

3.最初の不審

D団は、A団から逃げてきた人やB団C団から移動してきた人などがやってきて、強いプレイヤーも増えて活気づいていました。
海島遠征は始まったばかりでしたが、王国コンテストは終わろうとしていました。
そのとき王国コンテストは5位でした。
少しがんばれば4位に上がれる?と思いました。

王国コンテストで、指定した高難易度コンテンツを〇人クリアする、という騎士団挑戦目標について「クリアしていない人一緒にいきましょう」と団チャで言ったのですがEX氏は「そんなこといいから」「行けてる人は行ってるから」と止めました。
結局王国コンテストは5位で終わりました。
少しがんばれば4位のE団を抜かせたのに、と思いながら、まあ5位なら聖光チケットなどの特典があるのでいいかな、4位でもあんまり変わらないし、とその時は何もいいませんでした。

4.フレンドさんを紹介する

D団を「悪い団ではない」と思ったから、あるフレンドさんを紹介しました。12月20日すぎぐらいだったと思います。
フレンドさんは初心者団にいましたが、もうすこし強い団に行きたいという希望を聞いたのです。

そのときの不安材料は、D団の、団チャ&ディスコのボイチャ常連の女性だけでした。
彼女より格下の女性プレイヤー(キャラが男性である場合も含む)だと、露骨に無視するのです。
手伝いを頼んでも、彼女と取り巻きとで談笑しながらスルーするのです。
それで二人、団を去っています。
男性は「〇〇ちゃんがそんなことするわけがない」というタイプです。
でも取り巻き男性も〇〇ちゃんと談笑してスルーしているのです。

しかし男性(中の人が男性である場合も含む)および格上の女性にはそういうことはしません。
フレンドさんは女性だけどかなり格上になるので、大丈夫かなと考えました。どこでも内輪はあるし、他の団にありませんよ、ということはできなかったからです。
(実際に入団してみて、フレンドさんは〇〇さんとはうまくやっているそうです。)

しかしその女性プレイヤーより問題があるのが、団長であるということをそのときの私はまだわかっていなかったのです。
D団にきて2週間程度でフレンドを紹介した私が迂闊でした。

5.EX氏はXさんを守れなかった

D団には、KB氏という人がいました。
ちくちく嫌味を言う人で、この人のせいで退団に追い込まれた人が今まで数人いるということでした。
KB氏の嫌味の矛先は、Xさんに向かいました。
耐えられなくなったXさんは、D団を去りました。

EX氏はKB氏を叱責しましたが、KB氏は要領を得ないはぐらかしをしてへらへらするばかりでした(これは団ディスコのチャットで実際に見ています。)
そんなKB氏に疲れ果てて、EX氏は団を飛び出しました。
正直ちょっと無責任だなと思いました。

私はEX氏に「団長なら、他の団員を傷つける団員を切らないと」と言いましたが「俺にはできない」というばかりでした。
一度、D団に入った仲間なら、自分から切ることはできないのだそうです。
KB氏の処断は「みんなを信じている」ということでした。
それは、B団のウルフ氏の「わいは北を信じてる」に似た響きを持っていました。
責任を押し付けているのを「信頼している」という口当たりのいい言葉で表現しているだけなのです。
結局、EX氏を追放したのは、団長を任されたKL氏でした。

EX氏は元旦に戻ってきましたが、私の、EX氏に対する信望は下がる一方でした。

6.EX氏は大島取りたいと言ってたけれど

実際に海島遠征で戦ってみると、EX氏は、同盟先のE団の団長のK子氏の言いなりでした。EX氏は大島に攻め込みたいと言って、でもK子氏は執拗にそれに反対するのです。

第3シーズン最後の対戦で、最後の5分ほどで攻め込もう、という計画でした。
しかしK子氏は執拗に反対しました。

実際、あのとき大島に攻め込んで奪取できる可能性は非常に低かったです。
その前の月曜日の対戦で、中島を専守防衛していたD団&E団同盟に、大島をとっていたカネスグモン&☆☆☆が攻めてきたのです。
カネスグモン&☆☆☆は大島と小島を取っていましたが、人数が少ないため中島をとれないでいました。
なので中島をとれるかを試しにきたのでしょう。

撃退に成功しましたが、相手は今まで攻めてこなかったこの日本の騎士団が「最後に大島を取るために戦力を隠していた」そして「もしかすると大島を奪取されてしまうかもしれない」ことに気が付いたのです。

木曜日、最終決戦の日、ファンネルで相手団の戦力を調べた私は、驚きました。
上位陣が、数日の間に、30-50万ほど伸びていたのです。
これでは、最後に大島を取ることはかなり絶望的でした。
もちろんこのことを、EX氏に報告しました。

ただ、大島を取れないとしても、攻めることで遠征ポイントが得られること、各人の遠征ポイントがあれば王国コンテストの順位を上げられること(その時D団が6位ないし7位で、E団が5位でした)、そしてそれよりも重要なのが中の人の戦う経験値が得られるのです。

また、大島の星晶をいくばくかでも削れば、今後のD団の評判にもつながります。
B団がそれではメンバーががっかりしますが、D団であれば「そこまでできたなら自分が参加すれば大島とれるかも」と新たに強い人が参加してくれる可能性がでてきます。

逆に、人数の少ないE団からみると、D団が遠征ポイントを稼いで王国コンテスト順位を上げることは避けたかったでしょう。
K子氏が執拗に「大島を攻めに行かない」ことを主張したのはそのためだったと推測します。

大島を攻めにいって攻め込まれて中島を取られたら、というけれど、そのための集結令ですよね?
心配なら人数を半分にわけて、半分ずつ攻めにいかせて、遠征ポイント稼がせて、中の人の戦いの経験値を上げればいいのです。
それをせずに、どう考えてもE団に忖度した行動をするEX氏に、私は腹を立てていました。

遠征にしてもせいいっぱいやって大島取れない、王国コンテストもせいいっぱいやって6位に終わるのであれば何の文句もありません。
大島を取りにいかないのが団長の判断であればそれはそれで従います。
しかし団長の友人が団長をしている同盟団に忖度して団の不利になる条件を飲まされるのでは、こちらはたまったものではありません

団チャで、これはおかしいのではないですか、と言いましたが、やはりいつもの「和を乱すな」が来ました。

E団の団長のK子氏に悪感情は持っていません。
K子氏は、団の利益を守る良い団長であるとむしろ思います。
しかしEX氏のやったことはD団の団員をつかってE団のために働かせていたということになります。
私はD団に入団したのであって、E団出張所に入団したのではないです。

7.古参の内輪の方からの個チャ

「ねこねこさくらさんのいうことは100%正しいよ」
団ディスコのボイチャの常連の方のひとりが、こう言ってきました。
「団長がダメな奴だってみんな知ってる。でも俺たちはそんなにゲームでの結果を求めてはいない。ダメなあいつをヨシヨシするのを楽しんでいる」

なるほど強さとか報酬とかを求めていないのなら、団ディスコでワイワイするのが楽しいのなら、私は全く無駄なことをしていたということになります。

しかしそれは団ディスコに参加している十数人だけでしょう。
そうでない人間にとっては、なぜ自分の団の利益ではなく、団長の友達が団長を務める騎士団の引き立て役にならなければならないのか、と思うところでしょう。

私は紹介予定のフレンドさんにこのことを話し、謝罪しました。
これを聞いてD団への入団を取り消してもいいと思う、と言いましたが、とりあえず1シーズンは参加すると言ってくれました。

そして私は水面下で次の団を探し始めました。

第6章:六騎士団連盟? に続く

注:
この話はTree of Savior Neverland (通称ツリネバ)というゲームの、ノンビリツリーハウスというサーバの内部の話です。
出てくる団名、人名はすべて仮名です。
団名はアルファベットですがイニシャルではありません。
人名も仮名です(アルファベットの方もイニシャルとは限りません。)