第8章: 驚きの出会い


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1.神様は、居るのかもしれません

私はよく新規の人を手伝っていました。毎日誰かが辞めていくこの閉じた世界で、新しく参加してくれる人は貴重だからです。

1月の上旬、私は、はじめたてにしては非常にうまい治癒士さんと出会いました。
新人ちゃん、と呼ぶことにします。
ツリネバは初めてだそうですがこういうゲームには慣れているということでした。そしてできるだけ強いギルドに最初から入りたいと私の団にはいれるか聞いてきました。

正直いってそのころ私はEX氏に失望落胆して、次の団を探していたところでした。なのでD団に紹介することはできませんでした。

騎士団を紹介できず申し訳ないと思いつつ、次に会ったとき、息が止まるほど驚きました。
なんと、新人ちゃんはA団に入団していたのです。

2.お化け屋敷

しかも新人ちゃんは「この団お化け屋敷みたいで気味が悪い、辞めてどこか別のところ行きたい」と言いました。
強そうな団に上から入団申請出して受理してくれたのがA団だったそうです。

彼女が言うには
「10人ぐらいの強い人が3垢4垢で維持している」
「何日もインしてない人が10人ぐらいいる」
「悪口がとても多い」
というのです。

しかも「ねこねこさくらさんはA団にいらしたことがあったのですか」とまで言われました。
せっかく私が黙ってるのにあの馬鹿ども私の悪口言ってるようです
「昔居た」ということだけ伝えました。
何があったかは言いませんでした。

3.悩んだ末のアドバイス

スコア的に、彼女が望むような上位団はまだ入れてくれなさそうです。
シーズンも始まっていました。

エイト氏ももうあのようなバカげたことはしないだろう、とも考えました。
なので「エイト氏は面倒見がいいから今はA団にとどまって遠征の報酬をもらってから団を変わっても遅くないと思う」と答えました。
1シーズンA団にいてエイト氏や円楽氏のキャリーを受ければかつての私のようにだいぶ伸びるはずです。
プレイしていれば他団の情報などもわかってきて自分に合う団に移転しやすいと思いました。

このころからでしょうか、A団が外目にもめきめきと良くなってきました。
騎士団ランキングやカニレースといった外側からでしかわからないですが確かに1月上旬の悲惨な状況から立ち直っていたように思います。

4.ツンデレ魔王様

新人ちゃんとその後話すことがありました。
「今は悪口はない、多分当人たち同士で裏で言い合ってるとは思うけど」
ということでした。
新人ちゃんはエイト氏が気に入ったようです。
「ツンデレ魔王様」と呼んでいました。
自分のスコアが伸びるよりも早く伸びるツンデレ魔王様を見るのが楽しいそうです。

新エリアで影殺用の70ベルトを拾って団に流して、魔王様が落札したけどいいのはつかなかったみたい、と落胆していました。
・・・それは
・・・それを聞いて
・・・何昔の私と同じことをしているんだと思いました。

かつてムトリで影殺用の50のベルトを拾って、エイト氏が銀花をためるまで待ってたことがありました。
それでちょっとでもエイト氏が強くなるのに貢献できるのがうれしかった。

5.心を入れ替えて良い団になってくれるのなら、許す

今のA団は、私が戻りたかった、かつての楽しかったA団にかなり近いようです。
かつての仲間たちはいないけれど、もしA団が昔のように戻ってくれるのなら、もう私は復讐を考えなくていいのではないか、と思いました。
もしエイト氏らがあのような愚かなことをせず、他人を傷つけるような暴言も吐かなければ、A団は「対戦で勝つ」という目的がはっきりとしていて、勝つために合理的な動きができて、新人育成も上手な良い団です。

何人もの人を失意のうちに去らせたエイト氏らを私は許すことはできないけれど、今からまっとうなプレイヤーになってくれるのなら、それはこのサーバ自体に貢献する騎士団ということになります。

彼らのやったことを風化はさせたくないです。
だからこうして書き記しています。
でも彼らが今後、人を駒のように扱ったり、バカにしたり、誹謗中傷したりするのをやめるなら、それは「過去そうだったかもしれないけど今はちがう」「そんなことないよいい人たちだよ」ということになります。
もし彼らがここを読むことがあれば(おそらく読みます)、心を入れ替えて欲しいと願っています。
新人ちゃんに見せている面だけ見せていればA団の悪評はどんどん薄れ、強い人が集まる良い団となるでしょう。

私はただ許しているのではない、警告を出しているのです。
彼らはおそらくまだ人を誹謗中傷するような人たちです。
1月、とある結婚式で、新郎が来なかったことがありました。
そのときエイト氏とユリン氏が言ったことがこれです。

たとえゲームの中の結婚式だとはいえ、新郎が来なかった新婦に言う言葉でしょうか。

新婦は、鯖でもかなり有力なプレイヤーさんですし、出席者もそれに応じてハイレベルな方々ばかりです。
これを見てエイト氏やユリン氏に協力したくなるかといわれたらノーでしょう。
彼らがこのようなふるまいを今後一切やめるのであればA団は良い団になっていくでしょうし、そうでなければ(いくらねこねこさくらのせいにしても)A団がさびれる未来しかありません。

私はかつてのA団を復興させたいと思いこそすれ、A団をつぶそうとしたことは一度もないのです。
新人ちゃんがもしA団の悪いところを払拭してくれるなら、そしてエイト氏らが新人ちゃんを失望させないプレイヤーになってくれるのであれば、私はもう振り上げた手を下すことにします。

6.治療に専念する予定

幸い1月の下旬、G団にいたころに検査入院した結果、痛みの原因がわかり、今は治療法が見つかりました。
まだ体調は悪いですが、早ければ4月頭、遅くても5-6月ぐらいには仕事に復帰できる見込みがでてきました。
しばらく治療に専念するつもりでいます。

神様が、もうあなたはこのゲームでこれ以上なにもしなくてよい、と言ってるかのようです。
A団からもB団からもC団からも多くの人が去りました。
これ以上、人が失意で去ることは避けたいのです。

7.もし神様がいるのなら

もし神様がいるのなら、私の言葉を、Yさんに届けてほしい。
そんなにきらびやかな装備でなくても、そんなに強くなくても、指示が間違っていても、そんなことより、逃げ込んできた人にやさしい、それだから素晴らしい指揮官だった、あなたは無理する必要はなかった、そのままで素敵で、もっと居てほしかったと。

そしてもっと願いをかなえてくれるなら、
Yさんから「今はあのときの失意から立ち直って、リアル生活/新しいゲーム/別の趣味などにうちこんでいて、元気に暮らしています」などの言葉をいただくか、あるいはそういう噂を聞けたら、と思っています。

長い話はこれでおわりです。
おまけで海外サーバの話などするかもしれませんが、ねこねこさくらの一生はこれで終わりです。
ようやくYさんがお辞めになったときのショックから、立ち直れそうです。

注:
この話はTree of Savior Neverland (通称ツリネバ)というゲームの、ノンビリツリーハウスというサーバの内部の話です。
出てくる団名、人名はすべて仮名です。
団名はアルファベットですがイニシャルではありません。
人名も仮名です。