
セレッソ大阪U-23の3年間を振り返ってみる
なんやかんやであっという間に今年ももう終わり。セレッソ大阪U-23も創設3年目のシーズンを終えました。創設3年目となる今年は過去最高成績となる7位(13勝7分12敗 47得点36失点)でシーズンを終えたセレッソ大阪U-23。
手探り状態から始まったこのチームも3年目を迎え、一定のチーム方針が見えてくるようになりました。
そこで、1年目から3年目にかけてU-23はどのように変化してきているのかをまとめてみようと思います。
1年目(2016年シーズン)
・J3参戦初年の暗中模索
・足りないポジションはOA活用
・2種登録選手はほぼ昇格予定選手のみ
U-23創設1年目はどのようにチームを運営していくのか手探りだったシーズンでした。
1年目はOA枠の選手も多数出場していました。
以下の画像はSoccer.D.B.より2016年シーズンの選手出場記録を年齢順に並べたものです。
OA枠での出場は12人で延べ70試合に出場しています。
また、2種登録の選手の出場は7人で延べ61試合。出場した選手のうち、松岡くん(途中出場1試合2分間)を除いて、後にトップ昇格する選手のみがJ3出場を果たしました。
昇格予定の選手も含めたU-23枠の選手で不足しているポジションはトップのBチームから補充する形をとっています。
なお、この年のトップチームはJ2、2年目を迎え何がなんでも昇格しなければならないというシーズンでした。トップチームは大熊清監督のもと、苦しみながらもプレーオフを勝ち抜きJ1昇格を果たしています。
2年目(2017年シーズン)
・ルヴァンカップ効果による若手のトップチームデビュー
・2種登録選手の積極的起用
・OA枠の活用は減少
トップチームが尹晶煥を監督に迎えJ1で9位以上を目標に戦ったシーズン。J1では3位、ルヴァンカップと天皇杯の二冠達成という存外の結果を残したシーズンでした。
一方U-23でも、ルヴァンカップという若手の出場機会が得られたことにより、U-23の選手が次々にトップチームデビューを果たした年にもなりました。
以下の画像はSoccer.D.B.より2017年シーズンの選手出場記録を年齢順に並べたものです。
2016年シーズンと比較すると、OA枠の選手出場は減少。一方で2種登録選手が積極的に試合に起用されたシーズンとなりました。
この年の選手起用で特徴的だったのは、U-23である程度試合に出場した2種登録選手でもトップ昇格を果たせなかった選手がいたことでしょう。
特にセンターバックの小林くんは13試合1170分出場を果たしましたが、残念ながらトップ昇格を果たすことはできませんでした。
なお、小林くんは関西学院大学に進学し1回生ながら関西学生サッカーリーグに出場を果たしていることを考えると、U-23での経験が大学サッカーでも役立っているのではないでしょうか。
3年目(2018年シーズン)
・J3参戦3年目にして初の勝ち越し
・トップのチーム編成の煽りからトップへの選手供給はできず
・セレッソ大阪以外とのプロ契約締結者が現れる
2018年シーズン、トップチームはタイトル獲得に向けて戦力を補強。層が厚くなりすぎたトップチームの編成により、U-23の選手たちはトップでの出場機会を得ることはほとんどできませんでした。
一方で、U-23で経験を積んだ選手をレンタルで武者修行に送り出しました。2018年シーズンは7人もの選手がレンタル移籍。若手を武者修行にどんどんと送り出す育成スタイルを築き上げ始めます。
参入3年目となる今年の選手起用の特徴は、まずOA枠はほぼ使用しなかったこと。トップが超過密日程だったのでU-23に選手を回す余裕が無かったこともあるでしょうが、若手の出場機会確保が最優先されたように思います。以下の画像はSoccer.D.B.より2018年シーズンの選手出場記録を年齢順に並べたものです。
OA枠の出場は6人延べ9試合。1年目に12人延べ70試合にOAを起用したことと比較すると、激減しました。
2種年代は8人延べ84試合に出場。高校生2年生も起用されることが当たり前にすらなってきました。
そんな中でも最も輝いたのは高校3年生の石尾くん。高校3年生ながらCBとして22試合に出場。しかし、セレッソのCB陣は庄司、森下、瀬古と層が厚くセレッソでのプロ昇格は難しい状況でした。
そのような中で、ツエーゲン金沢が石尾くんとのプロ契約を結ぶことが発表されました。
このことから、セレッソのチーム編成的に昇格が難しい選手には他のクラブでプロ契約を結ぶ道があることが示された年となりました。
まとめ
・U-23で経験を積んだ選手はレンタルに出す
・OAは基本的に使わない
・U-18の選手は隙あらば積極的に起用する
まず、セレッソ大阪U-23はU-23チームの中だけで選手を育てるのではないということ。
どこぞのサポーターが「U-23なんかいらんかったんや!」なんて曲解したツイートをしているところも見かけましたが、高校生の間からU-23で起用し実績を作らせ、高卒2~3年目には他クラブへ武者修行に送り出すのがおそらく1つの育成パターン。
U-23で経験を積んだ選手をレンタルで送り出すときには自信を持ってオススメできる選手になっていてほしいなと。こんな素晴らしい力を持った若手がいるので使ってみませんか?と推薦できるぐらいにU-23で自分の力をアピールしてほしい。
もちろんトップで使えるならば使いたいですが、そこはチーム編成と本人の実力次第。
武者修行に送り出すためにも、J3の年間32試合という限りある出場機会は出来る限り若手を起用していく方針でしょう。
そして、U-18の選手がプロになる可能性を出来る限りサポートしてあげること。U-23でアピールすれば他のクラブでもプロになれる可能性があるという道が示されたことで、U-18の選手たちはプロになるという目標のためにU-23に出場しようと競争することとなるでしょう。
それはU-23の選手たちにとっても、U-18の選手からポジションを奪われる危機意識をもたらし、チーム全体の競争意識を高めるでしょう。
この下からの突き上げがU-23のチームを運営するにあたって最も重要な要素だと考えています。
終わりに
U-23はスーパーな選手には要らないカテゴリーだと考えています。南野拓実はU-23が無くともトップカテゴリーへ伸し上がっていきました。堂安律や久保建英もU-23なんてなくったってトップカテゴリーへと上がっていった(上がっていく)選手でしょう。U-23があることで伸し上がるスピードは少しは早まるかもしれませんが。
U-23の最も重要な役割は、プロの世界で選手が生き残っていけるようにしてあげることだと思います。
ピッチに1度も立つことなくプロの世界を去る選手が少なからずいる厳しい世界で生き残っていくために、自分の価値を示す機会を選手に与えてあげること。
今年もセレッソ大阪から移籍し旅立つ選手が発表されました。
セレッソ大阪に所縁ある若い選手たちがプロの世界を歩んでいく中で、セレッソ大阪U-23がその一助になればと切に願います。
そして、そんなセレッソ大阪U-23を私は来年も応援し続けます。