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【003読書録】本屋大賞の本の主人公が癖になる

約3カ月積読となっていた、
「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ。

足掛け2日間、おそらく3時間もかからずに読了。
ビジネス本や自己啓発本の類に触れる機会が多かったが、
久々に文学に触れた気がする。

以下、多少ネタバレも含む感想となるので、注意してご覧いただきたい。


成瀬の行動力が素敵

女子中学生の成瀬は、ちょっと変わり者だが、
とても優秀で、芯があり、人を無下にせず、行動力がある。

やりたいことが多すぎて、恋愛は人生の後半戦にまわす、というほど。
しかも200歳まで生きるのが目標。(お相手がいるか心配)

突拍子がなくても、些細なことでも、
やると決めたことは、やる。
でもたまに、挑戦の途中で挫折(撤回)もしている。
だが、人間の考えは変わる・やってみないとわからないので、
その時々でベストな判断をしているだけだ、
という自負も成瀬は持っている。

同級生にいたとして、当時の自分が成瀬と仲良くなれたかは、
自信がない。大貫さんポジションかもしれない。

大人になったからこそわかる。
かっこいいんだよ、成瀬。

情景・人間模様が鮮明に浮かぶ

舞台となる滋賀県大津市には全く縁がない。

なのに、西武大津店が見える。ときめき坂が見える。
クルーズ船ミシガンが見える。登場人物の顔がリアルに見える。

読みやすい文章のせいか?
私の人生経験が増したせいか?
こんなに情景が浮かんでくる作品って今まであったかな?と思うほど。

ふとしたときに、成瀬のことを考えてしまう

正直、こんなに「日常ベース」の作品と思っていなかった。
「本屋大賞」っていうくらいだから、
西武大津店を発端にものすごい大事件が起きて、
それを取り巻く人間模様のなかで、人の生死も絡んで、
愛・憎悪など強烈な感情に突き動かされるような内容なのかと思って
読み始めていた。
(学生時代に宮部みゆきを読みすぎたせいかもしれない)

ところが、この本で起こる出来事はあまりにも、日常。
ただ、成瀬という人間がいるからこそ起こる
ちょっとスパイスの効いた、「記憶に残る日常」。

これが、思ったより癖になっている。

読了して3日ほどたったが、
成瀬だったら、こういうときどうするかな
成瀬の友達の〇〇だったら、どうするかな

こんな風に、成瀬がちょこちょこ私の思考に顔を出す。
記憶に残る日常を、私も無意識に、求めているのだろうか。

読んでる間より、読み終わったあとのほうが癖になる。
そんな本に感じました。

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