未経験からWSを1年半続けてみた
2018年08月05日から2020年3月14日にかけて毎月1回のペースで「グラレコれんしゅう会」というグラフィックレコーディング(以下グラレコ)を練習する会を続けてきました。
訳あって休止することになったため、1年半続けてきてやってみたこと、学んだことを振り返りとして書いておきます。
グラレコれんしゅう会を始めた経緯は以前書いたものをご参照ください。
1年半どんな試行錯誤をしたか?
定員8名の小さい会場で続けてきたため、述べ参加者数は100名に満たない程度です。
最初の半年は主催者(2名)以外の参加者は1、2名。しかも主催者の知り合いばかりでした。 元々営利を目的としていないとはいえ、様々な人が集まることで学びはより深まると僕は信じています。
内輪の雰囲気ができあがってしまうのは、新しい方が入りづらくなるため、長期的な視点で見た時に芳しくありません。そのため、どうにか自分達の交友関係の外に届ける方法はないかと考えました。
そこで、開始して4ヶ月経った2018年11月25日のれんしゅう会より、毎回レポートを書くようになりました。ワークの内容を記し、参加者がどのように描いたか写真を撮らせていただいて、視覚的にわかるようにしました。これは大きな転機で3点の効果がありました。
①参加者が振り返りに使える
②潜在的な参加者の参加意欲を高める
③新しく誘う際の名刺がわりになる
それまではグラレコの説明から、れんしゅう会の目的などをいちいち言葉で説明していて、その結果「予定があえば行きたい」の一言でおしまいでした。
そもそも僕達自身が学びたいからという動機で始めているので、新規の参加者に対する求心力は弱かったと思います。
試行錯誤と反復によって身体で覚える集まりで、体験してその大切さやできなさを感じていただける内容のため、まずは足を運んでもらわなくてはいけません。
そのために、大義名分や自分達の想いをわかってもらう必要はありません。レポートを通して、「なんか楽しそうな雰囲気」が伝われば十分でした。
あれもこれもと伝えようとすると、全て伝わらないのですよね。
レポートのおかげで外部の目にも触れるようになり、会を重ねるごとに知名度も上がって、徐々に参加者も増えていきました。
ただ、タイミング的に、愛知県内でグラレコに関する講座が増えている時期でした。参加者がなかなか集まらない時があり、調査したところ、同日に別のグラレコ講座が開催されていました。
ここで競争しても、敵いません。僕達には大した影響力も、実績もありませんでした。
ただ、狙っていたわけではありませんが、グラレコれんしゅう会は他とは一線を画す要素がありました。
通常講座には講師がいて、その人から習います。しかし、僕達のれんしゅう会は習うよりも慣れる場でした。使っている道具は同じでも、目的が全然違います。そこで、その違いを全面に押し出すようにしました。
そして、ある時突然バズりました。イベントページを立ち上げて、1週間しないうちに8名満席になった時は流石にびっくりしました。
その後、より対外的なアプローチとして、Facebookページを立ち上げると同時にpeatixでもイベント告知をするようになりました。
こちらも最初は効果を感じませんでしたが、1度で4000名以上のリーチした会もありました。最終的にはイベントページ以外の集客はしなくなりましたが、ある程度参加者が集まるようになりました。これは細かい修正の繰り返しの賜物です。
もちろん、新しい参加者の方だけを向くのではなく、繰り返し来てくれる方には毎回レポートの報告はしていたため、リピーターも増えました。
とはいえ、対外的な集客は良いことばかりではありません。1つ残念だった点は、ドタキャンが増えた点です。
最初のうちは人数は少なかったですが、ドタキャンはほぼありませんでした。あったとしても、体調不良などできっちりと連絡をしてくださっていました。
不特定多数に働きかけた結果、ドタキャンが増えました。キャンセル待ちの方が複数いたのに、無断で3名ドタキャンされたのは苦い思い出です。
料金を先払い制にしたり、申込の際に個人情報の記入を求めたりして、参加率を増やす方法も考えましたが、それに伴うリスクを天秤にかけた結果、諦めました。
主催である自分自身も気軽に楽しくやりたかったです。負担が増えると、そもそも続ける気がなくなってしまいます。
なので、来なかった人をどうこう言うのではなく、来てくれた人の方を向いて、楽しむのに集中しました。
なぜ休止するのか?
負担を増やさずに続けてきたはずなのに、なぜ辞めるのか?
疑問に思った人もいるでしょう。
個人的な事情も入ってくるため詳しい内容は伏せますが、最初2人で始めたれんしゅう会を、1人で運営する状況になったからです。単純計算で2倍の負担になるので、割りに合わないと感じるようになりました。
2020年3月は年度の終わりで区切りがいいので、休止を決めました。ただ、あくまでも解散ではなく休止です。ありがたいことに、「行ってみたかった」「また行きたいと思っていたのに」と惜しむ声もいただきました。
そこで、仲間が戻れば、再開できる余地を残しておきます。
実は手伝ってくれそうな方に声かけもしてみたのですが、参加者から運営に回るとなると、二の足を踏む人は多いです。
人を巻き込むって言葉にするのは簡単ですが、強制力のないゆるい場で「一緒にやろうよ!」だけでは、人はなかなか動きません。
そこに至るまで不安を取り除いたり、段階的に手伝ってもらうなど、長期的な視点で、事前に仕掛けを施しておく必要があると気づきました。これは今後に活きる経験でした。
未経験からイベントの立ち上げ・運営するために必要なこと
僕はグラレコの経験がまったくない状態から「グラレコれんしゅう会」を始めました。振り返りを書いている今も、とても無謀な試みだったと感じています。
しかし、大きなトラブルもなく、やってこれました。営利目的ではないので得られるお金は雀の涙程度ですが、1度もマイナスにはなっていません。
この経験の学びをまとめておきます。なにか新しく始めたいと思っている人の参考になれば幸いです。ただし、この経験則がほかに流用できるとは限りません。
ちなみに、「能力」「資金力」「知名度・拡散力」が不足している、あるいは皆無な状態を前提としています。つまり、弱者の戦略です。
①身の周りの資源を最大限に活用する
グラレコれんしゅう会の場所代は無料でした。僕自身が運営として関わるスペースが使えたからです。
自分自身は未経験で能力が足りないと思ったので、グラレコが達者な友人と組んで始めました。自分にはない視点をもらえるので、1人で始めないのは結構大事です。上手くいかない時、1人だと悶々と考え込んでしまいがちなので、あれこれ相談して手を打っていくのです。
また、お世話になっている場所で、毎月チラシの形で宣伝させてもらえました。
要するに、使えそうなものはなんでも使わなくてはいけません。ただでさえ資源がないのに裸一貫で立ち向かわなくてもいいでしょう。
結局ないものはないし、できないものはできない。それを認めた上で、自分はなにを持っているのか見つめ直して、あるものを最大限活用するしかありません。
ただし、ものと違って人間は感情があるので丁寧に接しましょう。
ペンはインクが無くなれば買い換えればいいですが、人間はそうはいきません。無理に勧誘したり、騙すような真似をしたりするのは、長期的な視点で良いことはありません。
②記録を取る
いまこの振り返りを書けているのは、毎回記録をとっていたからです。
写真を撮ったり、レポートとして内容を記したりしたおかげで、どのタイミングでどんな行動をしたのかを思い出せます。
始めたてでなにをしていいのかわからない時、とにかく打開策が欲しくなります。記録の優先順位は低いでしょう。しかし、後々必ず活きてきます。その記録から思わぬアイディアが見つかるかもしれないし、宣伝材料を発掘できるかもしれません。どんな形でもいいから記録を残しましょう。
グラレコれんしゅう会においてはレポート(記録)を書くのが、転機になったと思います。知らない人がよくわからないことをしていると、人は不審に思います。
そこに、ぼんやりとでもイメージの伝わるものを用意するだけで、心理的な抵抗を抑えられます。
とりわけ、グラレコは成果物が残るので、記録がとりやすかったです。
熱い想いがあって、必死に伝えればわかってもらえると思わない方がいいです。
本当に、人は話を聞いていないし、文章なんか流し読みしてます。伝えたから理解してもらえたとか、書いてあるからわかるだろう、なんて幻想です。この記事も10人が開いたとしたら、ここまで読み続けているのは1人いるかいないかでしょう。
もちろん伝わらないとも言い切れません。届く人には届くかもしれません。しかし、そうだとしても記録を用意しない理由にはなりません。
③めげずに続けて、修正する
特に最初は人が集まらなかったり、クオリティに満足できなかったりして、悔しさを感じる時もあります。けれど、やらなきゃできるようにはなりません。
そして、内容が良かったとしても、それだけで人が来るとは限りません。認知されるまでは時間がかかります。
情報が溢れ返っている現代において、発信して届くのはほんの一握りです。ただ、それを続けていけば、その絶対数は増えます。
ただし、闇雲に頑張ればいいわけではありません。努力が報われないと、自分の努力を認めてもらうのが目的にすり替わる場合があります。
そうではなく、最初はズレていたとしても、少しずつ目指す方向に合わせていくのです。
一回上手くいった方法も、次成功するとは限りません。毎回観察してよりよく修正する姿勢を持ち続けましょう。
最後はオンライン開催
ずっと会場を借りてやっていたのですが、2020年03月14日の休止前最後の会はオンライン会議ソフトZoomを使用して、オンライン上で行いました。昨今の自粛傾向の影響です。
本番の2週間前に決めて、急いでプログラムも考えてやりました。いつもやっているれんしゅう会をそのまま画面の中に持ち込むのではなく、オンラインにできることできないことを吟味した上で、行いました。
現段階でリモートワークに切り替えている方も少なくないと思いますが、リアルとオンラインは違います。ただし、どちらかが劣るのではありません。
リアルの劣化版がオンラインだと捉えると、できないことに不満がたくさん出てくるでしょう。
しかし、制限が違うと捉えてみると、可能性が生まれます。オンラインでやっている以上、だれもがすぐに検索をできる状況にあること、自分も含めて全員の顔が見えること(人数や環境にもよります)など、現実とは違う状況だからできるワークも生まれてきます。
実際にやってみて、初参加の方ばかりでしたが、思っていたよりも僕自身の感触もよく、参加者の評判も悪くないようでした。
グラレコれんしゅう会としては休止しますが、オンライン上であれば、少し形を変えてやってみてもいいかもしれないと感じました。
「やる!」というとプレッシャーになるので、やってみたいという声がたくさんあれば、検討します。やりたい方は個人的にでもいいのでお声かけください。
まとめ
「0からなにかを始める」と聞くと、とてもしんどいと思っていました。
起業のように、資金も体力も能力も必要で、とても自分じゃできない。そう考えていましたが、片手間でもやってみれば、案外できました。
全部体制を整えてからじゃないとできないわけではなく、一番大事なところから始めてみて、徐々に肉付けしたり、余分なものを削ぎ落としたりしながら、形を整えていけば、無理なくできます。
自分のグラレコの上達よりも、グラレコれんしゅう会を運営してみた経験の方が収穫です。次に活かせるいい機会でした。
グラレコれんしゅう会は案外すぐに再開するかもしれませんし、このまま風化していくかもしれません。なにはともあれ、とにかく一旦ここで一区切りです。
最後にこの場を借りて、これまで関わってくださった方に感謝を述べておきます。僕1人ではどう足掻いてもここまでは続けられませんでした。ありがとうございました。
それではまたどこかで。