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手水鉢・つくばい
今日は手水鉢・蹲(つくばい)で詠んでみたいと思います。手水鉢はもともと寺社で口を濯ぎ身体を浄める為に置かれていましたが、茶の湯や一般家庭でも置物や鉢として使われるようになり、名前もつくばいとなっていったようですね。
この絵は最近描いたもので場所は何処かわからないのですが、苔を特に丁寧に描いてみました。手水鉢やつくばいは日本の美の典型で俳句の世界でも定番ですよね。
ところで、皆さん、「吾唯足知」ってわかりますか?つくばいに詳しい人なら知ってますよね〜。
つくばいの初氷持ち庭覗き (季語:はつごおり:初冬)
つくばいに薄く張った氷を手に持って庭がどんな風に見えるか覗き込んだ子供の頃の思い出風に詠みました。でも本当は樽に張った氷を剥がして近くを覗いただけですね~。子供の頃、蹲なんて洒落たものはなかったですね。
つくばいに椿浮かべし退院日(季語:つばき:三春)
父親が栃木の病院から退院した日、垣根の椿が庭に落ちていたので蹲に放り込みました。その時なんかかっこいいなと思ったのを覚えています。私がまだ30代の頃の話です。実家の庭は池に鯉、小さな滝もあって結構風流だったんです。
青葉映るつくばいの中我の顔(季語:あおぼ:三夏)
実家の蹲を覗いて自分の顔が映るのを確認しただけです。確か青葉が映っていたようないないような。なんとも阿呆な句ですね。
手水鉢柄杓置かれぬ京の秋(季語:あき:三秋)
コロナの影響で未だに神社仏閣の手水鉢には柄杓が置いてありません。今だから分かってもらえる句ですが、時が経って見たら、そんなお寺があるのかって感じですね。
手水鉢が早く戻って来ることを祈るばかりです。
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