菊の花
今日は秋の花らしい菊の花です。菊と言えば葬式の花のイメージがありますが、子供の頃はよく多摩川園の菊人形を見に行ったものでした。大人になってからも菊の品評会で豪華で立派な菊を見て葬式の菊とこんなに違うものかと感心したりもしました。
菊も中国から平安時代に輸入された外来種ですが、後鳥羽上皇が菊を好んだことから、鎌倉時代に皇室の家紋になったそうです。日本のパスポートには菊の紋が真ん中にあるので日本古来の花かと思いましたが、意外ですね。
菊香る祭壇友の笑顔かな
私の二つ上の先輩はちょうど60才の時、癌でなくなりました。ホスピスでなくなる1月くらい前に会った時はまだ後輩の人事の話をするなど元気ではありましたが、私は彼の顔を見て、初めて死相というものを見た気がしました。でも現役での葬儀となった彼の遺影は元気な頃の笑顏の写真でした。
菊人形お伽噺を語る母
親に連れられて目蒲線(今は多摩川線)に乗って多摩川園前まで行くと楽しそうな乗り物が駅のホームからも見えていて、それだけで興奮したものでした。子供にとっては菊人形など全く興味はなかったのですが、何故か人形の顔だけが今でも蘇るくらい生々しく覚えています。これは牛若丸というんだよと弁慶と戦う牛若丸を覚えたのもひょっとしたら菊人形かも知れません。
菊花展すがた大きさ色くらべ
菊の品評会では何が一番大事なのか素人にはわかるはずもありませんが、とにかくまず大きい、形もこんもりしたり、すっきりしたり、そして色もいろいろで柄物までありました。これでは審査も大変だろうなと余計な心配をしてしまうほど見事でした。
山道の地蔵の前の野菊かな
立派な菊の句を詠んだら、ふと野菊のことを思い出しました。誰にも見向きもされないような野菊。でも私は子供の頃に読んだ伊藤左千夫の「野菊の墓」以来、野菊が大好きなのです。「の」の字を4つ入れて見ました。