あぶら蝉
今日はセミの絵になりました。梅雨時の水溜りを描いてみようとしましたが、大失敗に終わり慌ててセミを描きました。日本ではあれだけうるさく鳴いているセミですが、ヨーロッパでは意外と珍しい昆虫なのです。イソップ物語で「アリとキリギリス」の話が出てきますが、紀元前のギリシャ時代には「アリとセミ」の物語だったそうです。イソップ物語を翻訳する時に余りセミに馴染みがないのでキリギリスに変わってしまったそうです。日本語に翻訳された時には完全にキリギリスが定着していたのでしょうね。でも7日しか生きないセミが何故人生を楽しむキリギリスのように思われたのか不思議ですね。(ちなみにセミはもっと長生き出来ることが最近になって日本の少年の観察で確認されましたよね。)
子供の頃のセミの俳句は少し前に作ったばかりなので今回は大学時代です。セミは夏になればいつでも鳴いてますから大丈夫です。記憶もはっきりしています。
的狙う合間消えたる蝉の声(せみ:晩夏)
学生時代は洋弓部に所属し、夏は長野県の飯山で合宿でした。割りと過ごしやすく、ランニングはもちろん疲れますが涼しい風が吹いてくれて助かりました。弓を的に向けて精神を集中するとその一時だけは何も聞こえません。あれだけうるさかったセミの声もその時だけは聞こえていなかった気がします。
横一線歯磨きする夏合宿所(なつ:三夏)
合宿所では長い洗面台で横に並んで歯磨きです。疲れ切ってまだ目も覚めていないのに兎に角歯磨きだけはちゃんとやりました。やらない輩もいましたが。
矢をつがえつま先に力青嵐(あおあらし:三夏)
弓を引いている時に風が吹くとやはり身体が動いてしまいます。しっかりと足場を固めて風の弱まる時を待ちます。でも時間制限があるのでえいやで射たないといけない時もあります。緑の中でのアーチェリーは気持ちのいいものでした。
朝練の顔にも胸にも風涼し(かぜすずし:晩夏)
朝練や火照る身体に風涼し(同)
合宿の朝はランニングで始まります。朝飯前の運動です。少しばかり寒い感じもする高原の朝です。しんどいことはしんどいですが、高原の朝の風は涼しく身体を冷やしてくれました。中八回避にもう一句。「火照る」なんていかにも暑そうですが、調べた限りでは季語ではなさそうです。走っている最中と走ったあとの風景です。
あぶらぜみ