枝ぶりに栄華留めし枯木かな
サラリーマンを辞めて10年の時が経ちました。辞めた当初はこれで誰にも気を使うこともなくすっきりしたと思っていましたが、未練や後悔の葉が少しばかりは枝にぶら下がっていたのだと思います。でもいつの間にかそんな葉っぱもすっかり落ちて、今では丸裸の枯れ木です。ベッドから落ちて腰を痛め少し弱気にはなっていますが、根はまだしっかりと張っているので朽ち果てるまではもう少し時間がありそうです。一花咲くかどうかは分かりませんが、俳句をやっている限りまだまだ生きて行けそうです。
風吹いて失くすものなし枯木かな
枯木は裸になれば風に吹かれても最早なんと言うこともないです。しかし似ていても人間はやはり枯木とは違います。失くすものが無くなったとしても羞恥心まで失くすのは御免です。身だしなみを気にしないのは見栄や物欲が無くなったせいもあるとは思いますが、それと羞恥心を無くすのとは別のものです。相手を思いやる心とか形の見えないものはプライスレスです。だからこそ無くしたくないですね。
枝ぶりに栄華留めし枯木かな
たとえ枯木でも枝ぶりのいい枯木を見るとさぞ素晴らしい花や葉が茂っていたのだろうなと思わせてくれます。死に様とは生き様に似たりですかね。