単線の列車待つ間や冬すみれ
今日は季語「冬菫・冬すみれ」で詠んでみます。もともと菫は春の季語ですが、温かい地域では日当たりのよい場所に冬でも花を咲かせるようです。
去り難き故郷の駅冬すみれ
冬休みに帰省していた私が休みが終わって故郷の最寄りの駅のホームにいる時のことです。 すっかり里ごころがついてしまったのか、う〜ん、帰りたくないなと思っているところです。駅員のいない小さな駅の線路際には冬だと言うのに紫色の可憐な菫が咲いていましたと言う私の妄想の景色です。
故郷や列車見送る冬すみれ
さて列車が出発する時間です。冬菫を擬人化して詠んて見ました。冬すみれが私の家族のように見送ってくれたと言う句ですが、余り実感が湧きませんね。やはり擬人化は難しいです。
動き出す列車に揺れし冬すみれ
擬人化は諦めて、自分が列車に乗り込んだ目線で一句作りました。列車が動き出すとその風に揺れた冬すみれが又おいでと手を振るように見えたというものです。しかし故郷が消えたので「揺れし」でそこまで期待するにはだいぶ無理があります。単に列車と冬すみれの句ですね。
単線の列車待つ間や冬すみれ
気を取り直して、なかなか来ない単線の列車を待っていた時に戻ります。ベンチに座わり汽車を待っている間ずっと冬すみれを見つめていました。「待つ間」に菫との会話を楽しんだのか、心を癒やしてくれたのかと想像してもらえるでしょうか? 故郷はありませんが田舎感は出ました。