ひとや環境、地域を大切にする鈴木ハーブ研究所
東海村に化粧品会社があることを知っていますか
2004年に設立された「鈴木ハーブ研究所」は東海村に拠点をもち、パイナップル豆乳シリーズをはじめとした天然成分にこだわった化粧品や健康食品を販売している会社です。
小雨が降る中、外壁の花束が目を引く本社兼自宅に伺わせていただき、鈴木ハーブ研究所の鈴木さちよ(すずき・さちよ)社長、社員の藤田慎司(ふじた・しんじ)さんに化粧品会社を始めたきっかけや働き方、地域との関わり方に至るまでお話しをお伺いしました。
東海村生まれ東海村育ちの鈴木社長は、幼い娘さんの肌荒れをきっかけに化粧品をつくることになりました。
まだスマートフォンも発展していなかったころ、納豆の保湿成分がいいらしいという話を聞きつけた鈴木社長は、成分を取り扱っている化粧品の原料メーカーにすぐに直接電話で問い合わせをしました。
その想いが伝わり、成分を譲り受けることができ、納豆ローションの前身となるローションを開発しました。その甲斐もあり、娘さんの肌荒れもかなり回復。同じ悩みを抱える方の役にも立てばと思い、副業として物置の一室から最低ロットでできる限り生産するところから始まりました。
また、ムダ毛を抑毛する効果がある大豆イソフラボンと肌を柔らかくする成分をもつパイナップルとを掛け合わせて、パイナップル豆乳ローションを発売すると大きな反響があったといいます。
「娘の送り迎えも困難になるほど電話が鳴り止まず、ママ友や友達の友達の手を借りながら電話対応、発送などを行い家内産業として広がっていきました。会社を作ろうと整備していたわけではないので、法的なことも何もわからず、落ち着いたのは起業して10年が経ってからでした」 (鈴木社長)
働きやすさと環境保護、でもそれだけではない
鈴木社長の子育てしながら創業をした経験から働きやすい職場環境づくりにも力を入れている鈴木ハーブ研究所。
社員との距離はとても近く、産休・育休など有休の取得率もとても高いといいます。お話をお伺いした社員の藤田さんも奥様の出産の際には1か月の育児休暇を取得しました。男性の1カ月長期の育休は県北でも初だったそう。
茨城県の女性リーダー会議の一期生としての経験もある鈴木社長は、家庭の乱れは仕事につながることを実感していました。
その人を知る、内々に事情を把握しておく、無理には聞かないなどは会社の成長や安定にもつながります。
2015年入社の藤田さんは、会社の魅力についてこう語ります。
「あたたかく、居心地が良いがそれだけではない。地方だけれども社内教育が充実していて、社内・社外セミナーを多く体験しビジネスも追いかけることができる、成長・気づきが多い会社です」(藤田)
また、鈴木ハーブ研究所は環境保護活動にも力を入れています。
県のイノベーションセンターとともに行っている詰め替えボトルの研究開発からお弁当の割り箸の再利用などの身の回りからできる活動まで広い視野をもっています。最近ではフードロスになっているJAの規格外品を会社で買い取り、男性社員中心でカレーをつくり家族へのお土産として持ち帰るプロジェクトも行ったそう。
茨城、東海村とのつながり。これからについて
鈴木社長は東海村について考えるようになったきっかけがあるといいます。
「震災時に村のことも色々知っておかなければならないと思った。
生きる基礎である水や燃料、食べるものや地域について知っておくと困った時に活かすことができる」
その後2011年4月に村の行政について女性が学ぶ「ハーモニー東海」に12期生として入ると各方面から色々な行事に参加することになり、コロナ前には全体会議に参加して若手の参加者と話したり、イベントに来てもらったりといった交流もあったそう。
「今後は男女関係なく学生もまじえて意見交換ができるような機会ができるといいですね。人を育てることで企業もまちも育つ。そうすると未来がつながっていく。知識や技術をつないでいくこともやらなければいけない」と鈴木社長。
会社としての展望もお伺いすると
「福来みかんや偕楽園の梅などの香りを楽しめる人気のあるハンドクリームのように県産品を利用した新商品の開発をし、茨城県を発信していくことをやっていきたい」と思いを語ってくださいました。
茨城、東海村とのつながりを大事にしながら企業としても発展する「鈴木ハーブ研究所」の今後に期待です。
▼取材・執筆担当者
やすだゆいな/ インタビュー・執筆
茨城県東海村出身、宇都宮在住。
建築を学ぶ大学生。大学生活が忙しく地元との距離が疎遠に…
でも、いつかは生まれ育った東海村で建築の仕事をしながら農業をしたい!
いまの東海村が知りたい!魅力を伝えたい!いろんな人と繋がりたい!…と
「T-project /スマホクリエイターズLab.」に参加中。
冨永寧 / 写真
東海村出身の祖父や久慈浜出身の祖母から地域の事を聞いて育つ、10年ほど東海を離れていた時に「茨城」や「東海」の良さをより実感する。18年前に東海に戻り美容室を開業、それと共に商工会や東海まつり実行委員会など地域の活動にも参加。2010年解体前の旧白方小学校の見学会「一斉登校日」の実行委員長を機により積極的に地域の活動に関わりや繋がりを持つようになる。培ってきた経験などを新しい繋がりで活かせればとスマホクリエイターズLab.に参加する。
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