健康の秘訣は毎朝のゴミ拾いと晩酌。ボランティアでゴミを拾い続ける想いをキリトル
今回は、長年ゴミ拾い活動をボランティアとして続けている高橋 喜代志(たかはし・きよし)さんを取り上げます。高橋さんは、多くの方々が行き交う東海村役場の周辺を重点的にゴミ拾いしていて、毎日、タバコの吸い殻、空き缶、ペットボトルなど、多くのゴミを回収しています。東北訛りが混じったどこか暖かい語り口でお話してくれた高橋さんの発言を中心にその想いをお届けしたいと思います。
高橋さんの横顔
宮城県白石市出身。
昭和15年生まれで、今年で83歳。
地元の高校を卒業後、日立製作所日立工場(日立市)に勤務。
定年退職後は清掃センターでごみの処理に関する業務に従事。
自宅は東海村役場の近く。
ボランティアでゴミ拾いを始めたきっかけは何ですか?
57歳の頃、健康のためと思い東海村役場の周辺を歩く、早朝ウォーキングを始めたんだ。
その時気が付いたんだよ。道路の両脇に、タバコの吸い殻、空き缶、ペットボトルが捨てられていて、更には犬のうんちもあった。「これはいかん!」と一発奮起して、ウォーキングしなからゴミ拾いも始めたんだよ。
ゴミ拾いの具体的な内容を教えてください。
毎日のウォーキング(ゴミ拾い)コースは、東海村役場の正面を起点に、県営アパート脇からかえで通りの歩道、役場職員用駐車場脇を経由して正面入口に戻って、そのあと来客用駐車場。更に役場内の芝生広場。所要時間は1時間半ぐらいかな。夏場は5時半、冬場は6時半から歩き始める。道具は、ビニール袋、紙袋、マジックハンドに手袋かな。
はじめのうちは自分だけの判断でやっていたが、その後、東海村役場から交通安全のベスト、帽子、腕章をもらい、役場公認になったんだよ。
毎日ゴミ拾いをやっていて思うことを教えてください。
当初は犬のうんちが多かった。当時、早朝に犬を連れて散歩する人は多い時で10人位はいたかな。昔は、犬のうんち、そのまま置き去りだったんだよ。自分だけでは注意喚起できないから、役場にお願いして看板を作ってもらって、道路の要所要所に立てたんだ。同時にゴミ拾いをしながら声かけもした。注意だったり、協力のお願いだったり。
それでも守らない人がいたから、看板に張り紙してさらに注意喚起したんだよ。そんな努力が功を奏したのか、だんだんと手にビニール袋を持って犬の散歩をする人が増えたんだよ。
毎日ゴミを拾っているからかな。
綺麗なところにはゴミを捨てないって意識が高まったのかなー。
だんだんゴミが減っていったんだよ。
今まで衝撃的だったハプニングはありますか?
ある日いつものようにゴミ拾いをしながら歩いていたら、役場の芝生広場に明らかに人のうんちがあったんだよ。これにはびっくりしたよ。通常ありえない事だからね。
その時は、役場の警備員さんの協力で、一緒にバケツの水とホウキで片づけたんだ。実はさ、その時、滑って転んじゃって。すごく痛かった。すぐに病院へ行ったら、頚椎損傷で即入院。手術で人工骨を2本入れてようやく復帰できたよ。今はもうなんともないよ。
ボランティア中とは言え、自分の不注意によるものだからさ。大袈裟にはしなかったんだ。
ずばり、高橋さんの健康の秘訣は何ですか?
そうだねぇー。やっぱり、毎朝のウォーキング(ゴミ拾い)だね。早起きで気分転換にもなるしね。
それと毎日の晩酌だ。呼んでないのに夕方4時頃になるとコップが勝手にオレのところに来るんだよ(笑)不思議だよなー。これが俺の健康の秘訣だよ。だから血圧も正常だし、薬も飲んでない。
最後にこの記事を読んでくれた方へのメッセージを。
東海村の住民は、環境美化の意識が高いから、空き缶やペットボトルなどのゴミを見かけなくなってきたよ。ペットブームなのか、愛犬と一緒に早朝、夕方に散歩している人が増えてきてる。みんなに環境美化の意識を継続してもらいたいね。
私がゴミ拾いしているルートの中心にある東海村役場は、日々、多くの方が利用する公共施設で、敷地内には保育所もあるから、絶対に綺麗じゃなきゃいけないと思うんだよね。
一つ、役場への要望として、定期的に草刈りをしてもらいたい。草が生い茂っているとゴミも捨てられちゃうし、ペットの糞も増えちゃう。やっぱり綺麗な道路を気持ちよくウォーキングしたいなぁー。
取材を振り返って
今回の取材ではご本人の苦労話も含め記事には書けない沢山の事を聞かせて頂きました。聞けば、同じ東北人で、懐かしい東北訛りの話ぶりがとても印象的でした。
毎日ウォーキングをしながらゴミを拾っている人がいる。
この記事を読んでくれた1人でも多くの方が、改めて、環境のこと、ゴミのこと、誰かのためを思って活動することを考えるきっかけにしてくれたらうれしいです。
▼取材・執筆・撮影担当者
田中克朋/取材・執筆・撮影
秋田県鳥海山の麓に生まれ、就職を機に茨城県へ。東海村には50年近く在住。会社員時代にタイ王国へ出張も含めて通算8年ほど駐在し、現在も現地の人たちと交流をしている。趣味は写真をベースにインスタグラム等のSNSで村内の風景を発信すること。「T-project/東海村スマホクリエイターズLab.」では若い世代に教わりながら楽しんでいます。