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地域に密着した活動を通して仕事と研究に邁進する大和田 奈津(おおわだ・なつ)さんの想いをキリトル

プロフィール

1999年 東海村生まれ・那珂市育ち
早稲田大学教育学部卒
同大学在学中に英国ロンドン大学に留学
早稲田大学院教育学科にて修士号取得
現在は、千葉大学大学院人文公共学府で祭りと地域の研究をしながら東海村役場で若者を対象にしたまちづくりを推進する業務に携わっている

大学に進むまで

高校では、中学から続けていた吹奏楽部に入りフルートを吹いていました。これは那珂市鹿島神社の祭礼で子どもの頃から篠笛をやっていた関係もあり、祭りの篠笛は今も続けています。
毎朝7時には学校に到着して朝練をし、部活を終えて夜7時に帰るというハードな高校生活でした。
忙しい中でも学外のボランティア活動に参加し、自分の視野を広げようとしていました。

大学では、進学にあたって高校の先生や塾の先生に様々な大学を勧められましたが、プロフィールにあるように早稲田大学に入学しました。
同大学を選んだ理由は自分の将来を見据え、社会学を学べること、海外留学制度があること、学びながら社会活動ができることの三点があったからです。

大学進学後


主に社会学を中心に学び、都市や農村がどのような構造で成り立ち、どのように人々が生きているかを考えていました。
また、副専攻として演劇関係を選び、演目の批評、評価をして論文にまとめ発表することを勉強しました。
さらに、もう一つ副専攻を選択して地域活性化について学んでいました。その一環で国内各地をまわり、都市、人、生活、環境等々を調査研究し、まとめ、発表、討議、論文作成等で結果を出しました。これは現在もオンラインを駆使して継続しています。


研究で読んでいる本(一部)。文系の大学院生は読書が研究の一つです。

大学在学中に、英国のロンドン大学に留学しました。
留学を決意した理由は、外国語に囲まれた環境で勉強できるから,海外文化を学んで日本の生活や文化を外国の地から見つめなおす経験をしたかったからです。
大学で勉強すると同時に、現地のボランティアに参加してホームレスや高齢者対象の支援活動をしました。
残念ながら、在学中に新型コロナウイルスが流行し、1年の予定だっとところ、半年で留学を終えざるを得なかったのですが、とても充実した期間になりました。

現地の学生に撮影してもらった写真。ロンドンで二十歳を迎えました。


空いた時間にクラシックの演奏会やミュージカル、美術館鑑賞等、地域に溶け込んで楽しむことが出来ました。さらに、英国のEU離脱(ブレグジット)直後を垣間見ることができたことも貴重な経験となりました。

ミュージカル『オペラ座の怪人』を観た時の写真

地域活動を含めて社会学を学ぶきっかけは

いろいろ要因はありますが、あえてあげれば下記の三点だと思います。

・幼稚園の時、茶道やバイオリン、モンテッソーリ教育(※)といった一般的な幼稚園では経験できないようなこと・学びを通して感性が磨かれたこと
・幼少期に祖父母と頻繁に旅行することが多く、博物館や美術館、地理的に特徴のある景勝地等に沢山行っていたこと
・中学生の時通っていた水戸の学習塾の先生に,勉強以外の一般社会、生活、住環境などについて話してくれたのが内容的に面白かったこと

これらにより物事の見方・考え方が身についたと同時に、地域はいろいろな特徴を持って維持されてきている事を知り、面白さを感じていました。

(※)モンテッソーリ教育とは、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法のこと。子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもの欲求に沿った環境を整え、子どもの自発的な活動を促します。

東海村での仕事と研究の生活

現在は、週に3回東海村役場で勤務をしながら大学院で研究をしています。東海村では、地域戦略課の「わかもののまち推進担当」という部署に所属し、若者が主体的にまちづくりに参加できるための業務に従事しています。具体的には、高校生や大学生が東海村の課題について話し合い、自分たちがやってみたいことを形にする「東海村わかもの会議」「高校生まちづくりスクール」の運営をしています。「わかものまちづくりコミュニケーター」として、高校生たちの話を受け止め、それが実現できるための伴走支援をしています。先生や親とは異なる「地域の大人」の存在は、今の社会では貴重なので、やりがいを感じています。

会議の内容をわかりやすく記録したグラフィックレコーディング

また,高校生たちが色んなことを話せるような場としてイオン東海店にあるamis文庫という場所の運営をしています。放課後に滞在し,高校生たちの他愛ない話を聞いたり,本棚を使って自分の本や作品を置いている大人のみなさんと色んなお話をします。

amis文庫の様子。一つ一つの本箱は自分の本を置きたい人が置いてくださっています。

このような仕事と研究は「地元学」という学問と繋がります。「地元学」とは、自分の住む地域について自分の視点でその良さを知っていくことです。地域活性化では、他の地域の人の取り組みに注目されがちですが、実際に住んでいる人の力はとても強いんです。自分にとって「当たり前」なものって実は他の人の「当たり前」ではないし、それが地域の良さにつながっていて、それを大事にしていけば、本当の意味での地域活性化になると思います。

↑地元学についてわかりやすく紹介されている本。
amis文庫に置いています。

研究では、那珂市の大助祭(菅谷まつり)を対象に、住民が主体的に地域で活動することについて研究しています。東海村の仕事を通して行政や住民の関わりを学びつつ、隣町で研究することは相乗効果になっています。

↑祭りの様子。実は少しだけ大和田さんも映っています

今後の目標は

博士号を取得しまちづくりの研究者になることです。また、研究で培ったことを社会に還元できるように団体を立ち上げる等、地域貢献ができるようにしたいと考えています。実践と研究の両立はかなり大変ですが、一度しかない人生、やりたいことを可能な限りやろうと思っています。

取材を通して

この取材活動も開始して一年近くなります。今年度は特に、若い世代の活躍や、若い人たちの生き方に参考になるような方を取り上げてたいと考えてます。
その手始めとして大和田さんを取り上げました。
彼女はまだ20代で若いですが、そのしっかりとした考え方とパワーに圧倒されました。
このような人がこれからの時代を引っ張っていけば日本の未来も明るいと思いました。
目指すは博士号取得と志が高いですが、まずは身体に気をつけて無理をしない形で成し遂げられる事を祈っております。
取材協力ありがとうございました。


▼取材・執筆・撮影担当者

田中克朋/取材・執筆・撮影
秋田県鳥海山の麓に生まれ、就職を機に茨城県へ。東海村には50年近く在住。会社員時代にタイ王国へ出張も含めて通算8年ほど駐在し、現在も現地の人たちと交流をしている。趣味は写真をベースにインスタグラム等のSNSで村内の風景を発信すること。「T-project/東海村スマホクリエイターズLab.」では若い世代に教わりながら楽しんでいます。


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