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DAC2022年1Q決算を終えて
皆様日々のトレードお疲れ様です。自称海運班のKIRIです。ダナオスの1Q決算が無事通過しましたのでこのタイミングでnote書いてみようかな?と思い筆をとりました。不定期更新かな?と思いつつなんだかんだで毎回しているような気もします・・・
では早速ですが、決算速報の予想と結果を見てみましょう。
予想 売上 $204.76M EPS $6.48
結果 売上 $229.9M EPS $11.36
前年同期比+74.0%
前年同期売上 $53M EPS $2.83
前年同期比EPS +305.7% えっ?
EPSが異常すぎます。前年度との比較は売上も上がっていますし、予想EPSは前回の決算内容等からこんなものかな?と予想していたのですが、まさかの$11.36 この数字は異常ではないか?と違和感を感じます。
少しづつ決算内容を見ていこうと思います。
決算発表(和訳は☆ コメントは★で記載します)
The broader market has been affected by geopolitical events, high energy prices, inflation, the interest rate outlook, and China's "Zero-Covid" policy. Although box freight rates and charter rates have not been significantly affected, sentiment has changed, and market participants have adopted a more conservative short-term attitude. On the other hand, supply chain inefficiencies continue unabated and there is little likelihood that conditions improve this year. This has led to record profits for the liner companies and, most importantly, higher contract levels. Also, fuel oil prices are reaching levels not seen for more than a decade at the same time as supply chain disruptions have resulted in an increase in average sailing speed. Over time, the global container network will normalize as new vessels are delivered and sailing speeds are reduced to enable the industry to comply with decarbonization timelines.
☆より広範な市場は、地政学的な出来事、高いエネルギー価格、インフレ、金利見通し、中国の「ゼロコビッド」政策の影響を受けています。箱型運賃やチャーター料率に大きな影響は受けていないものの、センチメントは変化しており、市場参加者はより保守的な短期的な態度をとっています。一方、サプライチェーンの非効率性は衰えることなく続いており、今年状況が改善する可能性はほとんどありません。これにより、定期船会社の利益は記録的であり、最も重要なのは、より高い契約レベルにつながっています。また、燃料油価格は、サプライチェーンの混乱が平均航行速度の向上をもたらすと同時に、10年以上見られなかったレベルに達しています。時間が経つにつれて、新しい船舶が引き渡され、航行速度が低下するにつれて、世界のコンテナネットワークは正常化され、業界が脱炭素化のタイムラインに準拠できるようになります。
★市場的にはゼロコビットの影響で船動いてないしやばいんじゃね?と思われていますが、ダナオスは船舶を一日いくらで貸していますので、船舶が動いていようがいまいが収益は安定してあります。この辺りが市場と実働との差です。
Gain on investments
The gain on investments of $221.7 million in the three months ended March 31, 2022 consists of the change in fair value of our shareholding interest in ZIM of $99.5 million and dividends recognized on ZIM ordinary shares of $122.2 million. Our remaining shareholding interest of 7,186,950 ordinary shares of ZIM has been fair valued at $522.6 million as of March 31, 2022, based on the closing price of ZIM’s ordinary shares on the NYSE on that date. Subsequently, in April 2022, we sold 1,500,000 of these ZIM ordinary shares resulting in proceeds to us of $85.3 million.
☆投資益
2022年3月31日締め四半期の投資益2億2,170万ドルは、ZIMに対する当社の株式保有持分の公正価値の変化(9,950万ドル)と、ZIM普通株式に計上された配当金1億2,220万ドルによるものです。ZIMの普通株式7,186,950株の残りの持分は、2022年3月31日現在、NYSEにおけるZIMの普通株式の終値に基づいて、公正評価額は5億2,260万ドルです。その後、2022年4月にZIM普通株式1,500,000株を売却し、8,530万ドルの収益を上げました。
★4月に150万株売却しています。平均$56.8なのでそんなに高い所で売ってないですねぇ。むしろ狼狽売りレベルか・・・
Adjusted EBITDA
Adjusted EBITDA increased by 179.9%, or $173.2 million, to $269.5 million in the three months ended March 31, 2022 from $96.3 million in the three months ended March 31, 2021. As outlined above, the increase is mainly attributable to a $81.1 million increase in operating revenues (net of $16.7 million amortization of assumed time charters) and recognition of a $110.0 million dividend from ZIM (net of withholding taxes) in the three months ended March 31, 2022, which were partially offset by a $16.1 million increase in total operating expenses and a $1.8 million decrease in equity investment in Gemini following our acquisition and full consolidation since July 1, 2021. Adjusted EBITDA for the three months ended March 31, 2022 is adjusted for a $111.8 million change in fair value of the investment in ZIM and dividend withholding taxes and stock-based compensation of $0.1 million. Tables reconciling Adjusted EBITDA to Net Income can be found at the end of this earnings release.
☆調整後EBITDA
調整後EBITDAは、2021年3月31日締め四半期の9,630万ドルから2022年3月31日締め四半期には1億7,920万ドル(1億7,320万ドル)増加しました。上記で概説したように、この増加は主に営業収益の8,110万ドルの増加(想定時間チャーターの償却額1,670万ドルを控除)と、2022年3月31日締め四半期のZIMからの1億1,000万ドルの配当(源泉徴収税を除く)の認識によるものですが、これは、総営業費用の1,610万ドルの増加と、買収と完全統合後のジェミニへの株式投資の180万ドルの減少によって部分的に相殺されました。2021年7月1日より。2022年3月31日締め四半期の調整後EBITDAは、ZIMへの投資の公正価値の1億1,180万ドルの変化、配当源泉徴収税および株式報酬の10万ドルに対して調整されています。調整後EBITDAと純利益を照合する表は、この決算発表の末尾に記載されています。
★やはりZIMの配当分がかなり大きい模様。
Dividend Payment
Danaos has declared a dividend of $0.75 per share of common stock for the first quarter of 2022, which is payable on June 8, 2022 to stockholders of record as of May 27, 2022.
☆配当金の支払い
ダナオスは、2022年第1四半期の普通株式1株当たり0.75ドルの配当を宣言しており、2022年5月27日現在の登録株主に2022年6月8日に支払われます。
★今回も前回と変わらず配当出ます。$0.75だと配当権利落ちは無さそうと予想しています。
前回決算時に
今後12ヶ月間のチャーターカバレッジは96.6%、契約日の95.5%
という発言がありましたが、この1Qでは97.4%という非常に高い数字で動いています。
また利益の部分で気になった点としてはまず一番はやはりZIMの配当部分の締めるウェイト。後は中古船の売却益もばかにできない額です。気になるEPSの成長ですが、ZIMの配当分が異常にあったのでその恩恵を一番受けています。実際ZIMの配当を考慮しないとEPS $6.2(あってる?)ですし。まぁ予想が$6.11なのですがZIMの配当も当初計算に入れていたかどうかですね・・・
おそらく今後もZIM株は売却していくのではないかと思います。ただ現在5~6%前後の保有ですので、そろそろ売却ストップかもしれません。
追記:腑に落ちない点
かなり資金は潤沢に持っています。新造船も今は数台完成待ち(たぶんオーダーは6台)という状況です。本来ならばここで新造船発注していないと船余りの状況で新造船追加となるので正直あまり良くない動きに思えます。EUでの環境基準も明確になってきましたし資金を潤沢に余らせてもあまり良い局面ではないと思います。かと言って今回の決算、カンファレンスコールでも株式分割、自社株買いの話は出ませんでした。この辺りがDACのガラス張りの決算の中でも謎に包まれている経営者サイドのブラックボックス部分です。今回のZIM配当を確認してからの発表か?
*カンファレンスコール後に追記します。
カンファレンスコール確認後追記分
契約カバー率は今年でほぼ100%、2023年は78%、2024年でもすでに57%
★高い運賃で複数年契約を行っている。来年度も8割近くが今年と同じ水準での契約が終結している。
J Mintzmyer の質問に対しての返答で前回から配当金を50%増やした。環境を考慮すると資金を使う事よりも保守的な立場でいると回答。
★おそらく環境基準が一部曖昧な箇所があり新造船を発注するかどうかまだはっきりと動いていない感が高い。
J Mintzmyerから現金を増やすのは良い事だがZIM株を考慮しないと前年比で20%減少しているというきつい質問をあびせられている。またZIM株残り500万株に対しての戦略を聞かれる。
→ZIMは2022年に素晴らしい結果を出すだろう。大きな配当を今後ももたらす。ZIM株はホールドする。
この返答に対してJ Mintzmyerはあまり良い雰囲気ではなかったと感じる。
こんな内容でした。内容的にはそこまで盛り上がった感はなさそうです。またJ氏の質問がきつい部分をついた感じはあります。DACはZIMの配当がなければかなりまずいぐらいになっています。しかしそこも経営者側は十分に考慮して今後の戦略をたてていると感じます。やや保守的ですが、これから数年先の新船更新も見越してキャッシュの増加という点もあると思います。
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