架空想日記 4日目
今日は暑かった。自転車をこいだ足がパンパンになっている。
青い空と田んぼ道が瞼の裏に焼き付いている。肌は日焼けしたのか、服が擦るとひりつく。でも嫌悪感は無く、むしろ清涼感すら感じていた。
今日は日曜日で、朝はゆっくりと起きた。お母さんが作ってくれた朝食。我が家は朝はご飯派が多いから、自然と米を食べる習慣が染みついていた。私の家は和風の家で自然の風がよく通る作りになっている。畳に座卓、木と緑茶の匂いが私の世界を包んでくれた。そう考えればこの田舎の朝は素敵な日なのだろう。学校に行くために最寄り駅まで家族の車で20分かけて送迎されることを除けばだが。
朝は涼しく、むしろ肌寒かったがお昼頃になれば、太陽は元気になりだし、あっという間に気温が上がった。出かける用事はあったが時間は決まっていないからと、渋っていれば炎天下の中を走る羽目になった。相変わらずわたしは計画性に欠ける。
自転車を漕ぐ。力一杯では無く、ゆっくりとした間隔で漕ぐ。汗を掻いてせっかく外出したのに汗だくの姿は人に見られたくない。軽めの化粧だからそもそも人に見られたくはないのだが…
長い黒髪はまとめ上げてできるだけ帽子の中に入れている。それに普段していないメガネをかける。普段の私を知っている人ならば私だと気がつかない程度に変装に似たことをしている。これだけして向かう先は近所のレンタル販売ショップ。近所と言っても同じ町にあると言うだけで近いわけではない。でも同じ地区の人や同級生には見られたくはあまりない。私が学校で皆さんからどう見られているかは知っている。高嶺の花。お嬢様。俗っぽい物は嫌いそうで、清楚。
本当に辞めてほしい。でも否定するほどの勇気は無い。でももうすぐ卒業だ。そしたら少し離れた県に移って、変な固定観念を持たれる前に自由に生きるんだ。自然と漕ぐ足に力が入ってしまった。
今日あの店に行ったのは予約していた商品を取りに行くため。あの店はレンタルだけでは無くゲームや本も取り扱っている。今回の私の目的はゲームの方だ。ずっと待ち望んでいたゲームの続編が出たのだ。世間的には有名なゾンビゲーム。今回は初めてのシステムが組み込まれていたりと期待度が高く、早くやりたかった。
ゲームはすぐに買えた。お店側も予約商品していたおかげでスムーズに受け渡しができた。ただ、同じ店に同級生の姿があった。しかも男子。何を買っているかまでは見られていないと思うし、そもそも私だと気がついていなかったと思う。特に問題は無いが万が一がある。
目的を達成して浮かれてぼろが出ないように気を引き締めながら明日からの学校に行こうと思う。
ゲームはまだしていない。来週の土日を使ってじっくりやろうと決めている。とりあえず1週間。学校の方を努力しよう。
しっかりと対策と嘘を考えて今日はもう寝よう。