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アイスランド旅行記⑥ケフラビーク空港に到着

・前回までのあらすじ

乗り継ぎのコペンハーゲン空港で、束の間のデンマークを楽しんだ。北欧のセンスが光る空間に心が踊るも、クレジットカードの暗証番号を3回連続で間違えてしまった私は、旅の行く末を案じながら静かに乗り継ぎ便を待っていた。

・SK6153便でアイスランドへ

日本時間 2/19 04:10
現地時間 2/18 20:10

4時間のトランジットを経て、コペンハーゲン発ケフラビーク行きのSK6153便に搭乗。日本とデンマークの時差は7時間もあるが、飛行機に乗っている間に体内時計は異次元へ到達していたので問題なかった。特に眠気も無く、とにかく頭の中はクレジットカードのことでいっぱいだった。

それでも飛行機に乗ると、さっきまで乗っていたジャンボジェットとは違ったコンパクトな作りで、何故かゆったりとした空気が流れており、不思議と心が落ち着いた。夜だからだろうか?
添乗員は、いかにも地元の人という感じで、乗客も「アイスランドに帰るだけ」といった感じの落ち着いた人が多かった。同じスカンジナビア航空だが、SK6153便はまたの名を「アイスランド航空」とも言うらしい。よく分からないが、共同経営?共同運航便といった感じなのだろうか。

成田を出発した時は昼間だったが、今度は夜の離陸。またもや席は通路側、今度は立ち往生することなくスマートに座ることが出来た。隣は北欧系のおじさんだったような気がする。皆あたたかいダウンジャケットを着ていて、オーロラハンティングに行くんだろうなという観光客の姿もあった。

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↑アイスランドは日本と同じ島国だが、船で入国することは出来ない。(Google Mapから拝借)

コペンハーゲンまでの12時間に比べたら、かなり短く感じる3時間10分のフライト。成田から札幌より少し遠いくらいだろうか。デンマークとアイスランドの時差は1時間。飛行機の中で、旅行ノートを取り出して心を整理する。今後の旅程でクレジットカードが必要になる場面を洗い出し、とりあえずどうにかなるな、と算段がついた。

・3つのミッション

現地時間 2/18 22:20
日本時間 2/19 07:20

ついに、最終目的地アイスランド・ケフラビーク空港に到着!

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↑これは帰りに撮った写真。初日は写真を撮る余裕すらなかった。

ちなみにシェンゲン協定があるため、アイスランド入国時の入国手続きは不要だった。乗り継ぎのコペンハーゲンで入国審査をした際、「デンマークに入国」したことになっており、これでシェンゲン協定に加盟しているヨーロッパの国々には自由に行き来できるのである。

入国審査の手間が省けて楽だが、パスポートには「デンマークに入国」の記録しか残らないので、ちょっとがっかりポイントでもある。

さて、ケフラビーク空港でのミッションは3つ。
①ユーロをアイスランド・クローナに両替する
②明日乗る予定のシャトルバス乗り場の下見
③タクシーを捕まえる

①は、地元のお店やタクシーでユーロが使えない時のために、現地通貨のアイスランド・クローナも持っておいた方が良いと考えたからだ。クレジットカードが使えなくなった今、絶対に外せないミッションである。両替所の営業時間などは日本で調べたものの、明確な情報は得られず、22:30に到着してもやっているのか現地に着くまで分からなかった。

②も重要だった。アイスランドには鉄道がないので、主な移動手段はレンタカーかバスである。明日は今夜泊まるホテルから一度空港に戻り、fly busというシャトルバスで首都レイキャビクに向かう予定だった。時刻表は日本で調べてプリントアウトしていたものの、乗り場の下見をしておきたかった。

③は、今夜泊まるホテルに辿り着くための最終ミッションである。空港近くのホテルを事前に予約していたが、歩いて行ける距離ではない。私は出発前から「空港でタクシーを捕まえる」という行為をかなり恐れていて、捕まらなかったらどうしよう、偽タクシーだったら?そもそも目的地が伝わらなかったらどうする?と様々な不安を抱えていた。

・アイスランド・クローナとご対面

飛行機を降りて、成田で預けた荷物を受け取りに行く。貴重な現金も半分ほど入っているスーツケース。ここでロストバゲージまで起きてしまったら、もう私は日本に帰れない…と思いながら、祈るようにベルトコンベアで待ち受けた。

Nちゃんに借りたお洒落なスーツケース(参照:アイスランド旅行記②)が、ガンガンとベルトコンベアを流れてくる。ああ、そんな雑に扱わないでほしい…とやきもきしつつ、無事に回収できたので心底ホッとした。

空港にはレストランやショップが入っていたが、到着が夜遅かったため、どこも閉まっていた。日本のデパートのように、フロアの電気が消え、店先に網やロープが下りている。これ、両替所も閉まってるんじゃないの…?と思いながらエスカレーターを降りていく。

1Fにある免税店のスーパーだけは、まだ営業していた。「この免税店では日本円で買い物できる」という情報があるサイトに載っていたので、ここで日本円を使って安い物を買い、アイスランド・クローナでお釣りを貰うという方法を考えた。
チョコか何かをレジに持って行き、「Can I Pay by Japanese Yen?」と聞くと、「OK,OK」という感じだったので1万円札を渡す。すると、即座に「ちょっと!こんな大金は無理!」という感じで突き返されてしまった。悲しい。そして、「Arion banki」という立派な両替所を見つけたものの、案の定窓口は閉まっており誰もいなかった。

そのとき、出口直前の警備員用ブースのような小さい箱の中で、おじさんが一人ニコニコしながら待ち構えていることに気付いた。なんと、そこで両替を受け付けていたのである。これは、ネットで調べても出てこない情報だった。

そのブースに立ち寄る人は誰もおらず、皆スーツケースを転がしながら足早に外へ向かっていく。そんな中、私がブースで立ち止まると、おじさんは「お、両替か。よしよし。」といった表情(そう見えただけ)で私と向き合ってくれた。おじさんにユーロを渡し、「Exchange,please…」と話しかけると、さっと両替してくれた。

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↑日本国内では手に入らないアイスランド・クローナ。コインにはイルカやカニ、シシャモなど海の生き物が描かれており、とても可愛らしい。

最初の飛行機で隣に座った女性、入国審査、コペンハーゲンのレジ、免税店のレジ、と今までぶっきらぼうな接客を受けていた私には、このおじさんが女神に思えた。この人、アイスランドの空港で夜勤で働いているのかなぁなんて思いながら、お礼を言う。出口へ向かう途中にfly busの乗り場も見つけ、場所を確認して空港を出た。ミッション①②をクリア。

・8600 kilometers away・・・

気温は6℃。日本から8600kmも離れた大地に、私は今立っている。

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しかし外は真っ暗だったため、アイスランドらしい光景は確認できなかった。氷点下を覚悟していたが、意外と寒くなかった。

さて、ミッション③タクシーを捕まえる、の瞬間がやってきた。成田に比べればかなり小さい空港。外に出るとすぐロータリーになっていて、タクシーが止まっていた。意を決してタクシーへ近づく。すると、運転手が出てきた。やや小太りでサングラスをしている中年男性。ちょっとチャラい感じの人だったが、嫌な感じはしない。
運転手は、私のスーツケースを軽々と持ち上げてトランクに積み、「さあ、乗って!」という感じで手早く運転席に戻っていく。私は、ホテルの名前を告げながら、住所をメモした紙を見せた。自分の発音に自信など全くなかったので、紙で見せるのが一番だと思ったのだ。

おじさんはメモを見て頷くと、車を発進させた。どうやら伝わったらしい。車の乗り心地などは、日本のタクシーと変わらない。時刻は23時を回っており、外は真っ暗である。

本日の宿泊先は、「Hotel Keflavik」というホテル。空港から車で7分の距離だった。タクシーが捕まらなかったら、見知らぬ土地で夜道を1時間も歩くはめになっていたので、本当に良かった。

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↑アイスランド全体で見た時の、ホテルの場所。ケフラビークは、南西アイスランドの端っこにある。

次回、ようやく長い1日が終わります。

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