人前で鏡を見れるようになった
学生のころ、友達はみんな手鏡を持っていた。
中学、高校となると特に色気づくお年ごろ。
中休み、みんなでおしゃべりしていると、カバンから手鏡を取り出し、顔面チェックをはじめる友達。
今日もかわいいな、なんて思っていたのだろうか。
幼き頃から顔面コンプレックスのかたまりであったわたくしには、絶対まねできない行為。
人前で鏡を見るという行為ができなかった。
その顔面の分際で、鏡見て意味あるの?
そういう妄想が脳内を支配する。
美容室に行っても、自分の顔は見ず、美容師さんの手さばきのみ、目で追っていた。
自分の顔は決して見ない。
いつしか人前で鏡を見れるようになったのは、ここ数年ではないか。
外出先から帰宅して鏡を見た時、ハナクソをつけていたのがきっかけだったか。
いや、鼻毛が派手に出ていたからか。
それとも前歯にひじきがはさまっていたからか。
どれがきっかけか思い出せないが、そんなところだろう。
そのおかげで、なりふりかまわず人前で鏡を見れるようになった。