美濃赤坂線・赤坂宿周辺探訪 ‐2‐
昼食を済ませた後に行こうと思っていたお茶屋屋敷跡を訪ねてから線路沿いに戻ることにしても、時間がたっぷりある。
昼食後の予定が決まった。
運ばれてきた食事をのんびり味わい、しっかり足を休めてから出発。
早速お茶屋屋敷跡へ向かう。
ここは牡丹が有名だそうで、花の時期には景観が素晴らしいという口コミがあった。訪れたのは牡丹をみるにはだいぶ早い時期だ。
しかし落ち着いた良い空間だった。
風に揺れて隣り合う竹がぶつかる音も、鹿威しのごとく風流だった。
無料にも関わらず程よく手入れされている。
こんなところが近所にあったら癒しを求めて通いそうだ。
風と竹の奏でる音に身を浸し、穏やかな空間を味わってから、西濃鉄道の線路沿いへ向かう。
貨物は好きだ。
できれば動画を撮りたい。
通行人や車の邪魔にならないと思われる場所を探し、時間まで待機する。
と、しばらくして近くの踏切の鐘が鳴った。
線路を伝って、重たい音が聞こえてくる。
石灰を積んだホキが、ゴトンゴトン……ゴトンゴトン……と重たい音を響かせて、目の前をゆっくり通過する。
音から伝わる重量感がたまらない。見られてよかった。
さて。どうしようか。
せっかくなので少し足を延ばして昼飯大塚古墳まで行ってみるのも良い。
ちょっと遠いけれど歩いて行けないこともない距離だ。
赤坂宿の終点付近にある廃線跡も見たいし、ルートとしてはちょうどいい。
赤坂宿の終点付近、兜塚のある場所のすぐそばには、かつて、踏切小屋があった。
いつかの墓参りのついでになんとなく付近を通った時に、偶然見かけ、写真を撮り、実家に帰省した際にこの近辺出身の父に話したところ、
「その踏切小屋は私の祖父が仕事してたんだよ」
ということを聞かせてもらった。
この踏切小屋は数年前になくなり、今はレールだけが残っている。
錆びた鉄に草が生い茂る。
そこに蝶が飛ぶのを、しばらくぼんやりと眺めていた。
廃線跡に別れを告げて昼飯大塚古墳へ向かう。