Vol.2 聞こえる人たちがもつ「聴覚障害者のイメージ」から「当事者の障害認識・表現力」へとつなげる
皆さんは「聴覚障害者」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?
例えば「テレビドラマ」や「映画」などを通じて、
聴覚障害者は「耳が聞こえない」「話せない」「手話を使う」といったイメージが、多くの皆さんにあるのではないでしょうか?
しかし、近年は、人工内耳の進歩によって「話せる聴覚障害者」も増えている現状にあり、聴覚障害者の多様化が認められるようになってきました。
ひとくちに『聴覚障害者』といっても、以下に示した組み合わせによって、様々なタイプがあります。
*専門用語や細かな内容については、様々なところで閲覧できますので、ここでは詳しい説明は割愛します。
( リンク、資料を掲載しております。◆をクリックしていただくと、各サイトにアクセスできます。添付した「トリセツ」でも、いくつかの用語を解説しておりますので、ご参照ください。)
◆SHIONOGI(塩野義製薬会社)
■ 難聴の種類
■ 聴力レベル
■ 発症時期
■ 聴力型
■ 補聴機器の使用・調整状況
■コミュニケーション方法
■ 生育環境
■ 重複障害の有無
■アイデンティティー
ここにあげた情報は、ほんの一部であり、他にもあるかもしれませんが…
聴覚障害者と言っても、これらの組み合わせにより、様々な人がいることを知ってほしいなと思います。
「聞こえる立場」「聞こえない立場」に関わらず、一方的な見方で決めつけたり、スタイルを押し付けたりする方が、少なからずいらっしゃるからです。
私自身は、聴覚に障害があろうと、何を「媒体」として、「どう生きたいか」は、当人が決めることであって、「他者が決めることではない」と思っています。
例えば、同じ ”80㏈聴取可能” の人が、補聴器をつけた場合に、
“40㏈の音 ”が聞き取れる人もいれば、 “60㏈からの音”が聞き取れる人もいます。
さらに、補聴器や人工内耳をつけても、全く言葉が聞き取れないために、「効果がない」と判断し着けない人もいますし、
音は聞こえても「自分は補聴器をつけない。声も出さない。ろう者として生きたい」と考える人もいます。
おまけに、100年程前の日本では、手話は、音声言語よりも「文法的に劣ったもの」と見なされ、「手話は、日本語獲得の妨げになる」からと、手話が禁止され「口話・発声ができる聴覚障害」が高く評価されていた時代がありました。
このような歴史的背景が、後の時代にも影響を及ぼし、「手話」が得意な人もいれば、「手話」は使用せず「聴覚活用+口話」を用いる人もいます。
つまり、 聴覚障害者 と一括りにしても、
個々の障害の程度によって、 できないこと 、 難しいこと が数多くありますし、聴力、口話や発音、手話の技術…、それらの「技術やチカラ」は、十人十色なのです。
では、それらの「技術やチカラ」は、当人の「人間性」や「魅力」に比例する…でしょうか?私は、しないと考えます。
手話を使って「聞こえる人たち」とコミュニケーションをとる人もいるし、日本語が苦手でも絵などで自分を表現する方もいる…
その人たちは、みんな「魅力的 !!」だからです。
しかし…
「聞こえる人たち」に、一方的な見方をしないでほしい!
と思いはしますが、
世間では、服装や髪型など目・耳にしたものや声や話し方、立ち振る舞いなどの行動など、「個々から表現されたもの」は、他者から「イメージ」「判断」する材料・要素でもあります。
例えば…
「声が高い → 子ども、幼いかんじ」
「服装が乱れている→おおざっぱ?、だらしない人?」
というような事柄が挙げられます。
それゆえ「聞こえる人たち」が持つ、聴覚障害者への固定しがちなイメージを、全て払拭することは難しいし、そのことを、私たち聴覚障害者自身も念頭に置いておく必要があると思います。
「聞こえない人」は、聞こえる世界を知りません。
同じように「聞こえる人たち」も、「我々は ”聞こえない・聞こえにくい世界“ のことを知らないよね…」そう思ってもらえたら、同等?公平?かな…なんて、考えるのです。
先にも述べましたが、聴覚障害者にも様々なタイプの人がおり、必要とする支援は、千差万別です。だからこそ、私は、当事者自身が、自分のことを他者に説明する、アピール(表現)する力を身に着ける必要があると考えます。
それは、単に説明するだけでなく、他者意識…こうしたら分かりやすいかな、伝わるかなの視点…をもって伝えることが重要になり、
「聞こえる人たち」にも、興味を持ってもらえるようなアピールが出来たらステキだと思うし、よりよい関係性が築ける一歩になるのではと思います。
様々なところで目にすることも多くなりましたが、自分の障害や望む支援などを記した「ガイドブック」や「ハンドブック」「取り扱い説明書(トリセツ)」などを作成し、伝えるといった方法があります。
私も、大学生時代に「トリセツ」(自分のために!!)を作成しましたので、興味・関心がありましたら、ご覧いただけますと幸いです。(”トリセツ”に対する他者レビューについては、また別記事で…)
My personality Guidebook(トリセツ)
◆【さっぽろ子どもの聞こえ相談ネットワークをつくる会】
【 難聴について周りの人へ説明する資料】
今回、このあたりで…
読んでいただき、ありがとうございました。