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「ライ王のテラス」

ワンピース歌舞伎をみた次の日に東京へ行き、六本木で村上隆の五百羅漢をみたあと、赤坂で鈴木さんを拝んだ。

マイブームの鈴木亮平さん主演の舞台。原作は三島由紀夫で、演出は宮本亜門です。ポスターがね、肉体美をさらけ出す鈴木さんでね......。「こりゃ観なきゃ!」ってなった次第です。

前観た宮本亜門はキラキラハッピーなラブコメだったので、ギャップがすごい。もうそれは三島由紀夫すぎて三島由紀夫でした。静と動のメリハリとか、ドロドロした嫉妬や企みとか生死についての考え方とか......。


あらすじ
12世紀のカンボジア。絶頂期のアンコール王朝で、今なお圧倒的な存在感を誇るバイヨン寺院を建設し、栄華を極めた偉大な王、ジャヤ・ヴァルマン七世が、夢と希望を託し「ライ王のテラス」を造営していく雄大なロマンをアンコール王朝の衰亡を背景に描いた壮大な物語。若く美しい王の肉体が病魔に侵され崩れさるにしたがい、威容な観世音菩薩が完成していく様を、王の精神と肉体の対比で華麗に描く。

2月にカンボジア旅行して、実際にアンコールトムやアンコールワットを観てきたばっかりだったから、ものすごく共感できました。
ジャヤ・ヴァルマン7世がすべてをかけてつくったバイヨンを、この目で見たからこそ感じる部分があったんじゃないかなあと思います。

病気に蝕まれる王と、それを取り巻く女性たち。ドロドロしていて苦しいんだけど、みんな誇り高くてそれぞれの方法で王を愛していて、でも王はバイヨンのことしか考えていなくて......。

しかし、鈴木亮平の出来上がった筋肉すごかったな。芸術だった。バッキバキすぎて。もーーそりゃあバッキバキでした。一人だけ布面積少ない衣装でな、芸術的な美しい肉体を見せびらかしていました。

本物のカンボジアのアプサラダンサーを呼んでいて、本場の音楽に合わせて本場の一流ダンサーが踊るし、影絵とかプロジェクションマッピングとかの舞台芸術もすごかった。
舞台装置もすごい。愛と憎しみを叫びながらナーガの呪いに堕ちていく中村中さんが印象的。第1王妃がほんとに床の穴に落ちていったのを観て、あの穴の中は本当に灼熱の炎が立ち上っていて、いつまでたっても底にたどり着かない無間の地獄みたいな穴なんじゃないかなってぞっとした。

原作を読んでいないし、あんな大作なかなか読めないなあって読む前からギブアップしてるんですけど、舞台観てからやっぱり読みたいなあって思っています。信仰心とか精神と肉体の繋がりとか、平凡脳のわたしにはよくわからないだろうけど、三島由紀夫の美学が詰まってるんだろうなあと思います。

上演後のトークショーで、鈴木さんと中村さんと吉沢亮さんの演技に対する熱や感情が聞けたのも良かった。

2016年3月5日 赤坂ACTシアターにて(2020年再編集)