大槌町地域おこし協力隊 2022年4月の報告(佐藤)
神奈川県から参りました佐藤俊彦です。この4月からここ大槌町にて地域おこし協力隊に参加しております。林業の事業体である「NPO法人 吉里吉里国」にて活動しております。
これから毎月、協力隊のレポートとしてこのNoteにて活動の様子をアップしていきます。
1、自分のこと
私は昨年まで神奈川県横浜市で、中学校教員をしていました。今47歳です。大きな声では言えませんが、そこそこ良い給料をもらっていました。ですがその仕事に限界を感じ、キャリアをかなぐり捨てて林業の道へ進むことにしました。その経緯はまたいつかお伝えするとして(しないかもしれませんが)、私は覚悟をもってこの地に参りました。
私には妻と子どもがいます。上の娘は来年高校受験です。下の息子はまだまだ甘えん坊の小学生です。もちろん皆連れて来たかった。ですが妻や子どもたちにも意志がある。人生がある。中学校教員をやめ新たな道を、なんて私の格好つけた我儘に彼女らを巻き込む訳には行かなかった。妻たちには横浜でこれまで通りの生活をさせるという約束で、私は一人ここに参りました。
ここまでお読みになれば、他の隊員の皆さんとはちょっと毛色が違うことはお分かりかと思います。ある方に「チャレンジャーですね!」と言われましたが、チャレンジャーというのは、失敗をすることもある程度寛容されるものであって、厳密には私はチャレンジャーではない。もう、「後がない」のです。
私はこの大槌に「林業」をしに来ました。何がなんでもここでスキルを身につけて、家族を養えるようにしなくてはならない。そう思って、毎日過ごしています。
「被災地復興支援」ーこれも大槌を選んだ大きな理由の一つです。林業なら全国どこでもやっています。しかし東北の、この沿岸部でなければならない理由があるのです。3.11という経験は、私にも大変な影響を与えました。
私の妻は岩手県出身です。結婚する前、学生時代から私は妻のご両親と仲良くさせてもらっていました。大学・大学院の実習も毎年宮城県や福島県で行われ、長く住み込みながら土地の風土に触れていました。東北の生活には慣れている、というより馴染んでいます。「都会から来て田舎暮らしは初めて」というように見られていますが、申し訳ねえが25年も経ちゃそんなこたねえぞ、というのが正直なところです。
そんな私の大好きな岩手が、宮城が、福島がー。助けてあげたくても助けられない、行きたくても行けない、そんなジレンマを10年抱え続けました。私が思うに、同じような気持ちで苦しんだ関東以南の人々も大勢いたことでしょう。これが私をここに向かわせた大きな理由です。
2、吉里吉里国のこと
NPO法人吉里吉里国は東日本大震災の後、地域の方々によって作られた組織です。倒壊した家屋の建材を使って薪にしていたところからスタートし、塩害でダメになった樹や荒れてきた森を整備して切り出してきた樹を薪にするようになり、今では全国にその薪を届けています。祭りやイベント、森林教育やさまざまな講習会なども開き、単なる林業事業体ではない、という感があります。街の人々のニーズに応えて何でもやる、といった気概があります。
3、各種講習会
上に述べたように吉里吉里国では時折、森林教育や林業に関する講習会が開かれています。この4月には三つの講習会がありました。
①9日(土)・10日(日) 「ツリークライミングMRS1講習会」
5名の方が受講しました。TCJ®︎(ツリークライミングジャパン)という団体の講師による、初心者の入口となる講習。私はすでに資格を持っているので補助員として携わりました。
②11日(月) 「刈り払い機講習会」
厚生労働省により規定されている特別教育。1日で修了できる。16人の方々が受講しました。今回の参加者の中には、地域おこし協力隊で大槌に来た方々もたくさん参加していました。これも私はすでに受講済みなので、外側から観察しています。
③13日(水)〜15日(金) 「チェーンソー講習会」
厚生労働省により規定されている特別教育。こちらは3日を要する。木を切り倒すこと(伐木)も含まれる。8名の方々が受講されました。これも私は受講済みです。
刈り払い機もチェーンソーも、基本的な知識と技術は講習で習いますが、これは実践を積み重ねないと使いこなすことはできません。修了後のトレーニングが大切です。
4、イベントに参加
24日(日)、浪板海岸からおしゃっちまでの14キロを歩く「みちのりアドベンチャー」というイベントに参加しました。
これは吉里吉里国がそのコース上にあり休憩所となってコーヒーを出したり薪割り体験をさせたりすることから、参加者の目で見ろ(?)ということで私一人、このパーティーに入って参加者の皆さんと一日歩きました。
盛岡からバスで来る皆さんと、浪板海岸駅で私は合流しました。20名くらいいたでしょうか。浪板海岸を眺め、新しい防潮堤の上を歩き、吉里吉里半島の形に沿って作られた「リアスシーニックライン」という道を進みます。まあ山菜も取れたし綺麗な桜の写真も撮れたし美味しい昼食も摂れたし良かった。昼食はおしゃっち横の「チャリカフェ」さんが作ったお弁当でした。これ、最高に美味しかった!
終盤はちょっと風が吹いて寒くなり、皆さんもだんだん疲れてスピードが上がらなくなって、予定を1時間以上オーバーしてのゴールでした。私以外の皆さんはそのままバスで盛岡まで移動し、私はおしゃっちでさよならとなりました。自分はその後ひとり、おしゃっち前の居酒屋「翔龍丸」さんで喉を潤し、空腹を満たしました。
5、地域との関わり
私は吉里吉里国の活動の他に、地域のためになる副業として平日、大槌町中央公民館のお仕事もさせていただいています。夕方まで吉里吉里国で汗を流した後、一旦帰宅し風呂に入って軽食をとって失神し、夜7時から10時まで勤務しています。少しずつ利用団体の方々に顔を覚えてもらって、「嗚呼、地域の方々と触れ合ってる」と実感しています。薪割ってる間は全くですからね。
また、週に2回ほどタクシー会社のお手伝いもさせていただいています。まだ研修中の身ですが、ここでも地域の方々の役に立てるように頑張っていきたいと思います。
稼がないといけないですからね。