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「東京大学満期退学」アピールに見る、世間をまだ知らない若者を転がさない社会の重要性

 ややこしいことになってきているのですが、ホリプロに所属している元東京大学の学生さんが、単位不足で留年になるはずがなぜか東京大学を退学し、それも化学の道を究めたいので満期退学したという荒唐無稽な話になり物議を醸しております。

 本当なら実名を出すのも憚られるところなのですが、22歳ですし、タレント活動もされているということで法的には問題なさそうだってことで魚拓も置いておきます。

 何がまずいかと言いますと、まず東京大学に限らず国立大学には概念として学部生には満期退学はあまり意味を持っておらず、常識的には大学として最大居られる年数在籍したが最終年度で卒業できなかった人のことを満期退学と称するぐらいで、その場合はおおむね最大8年、海外留学や大学側の事情による場合などは10年が限度です。ただ、本件では4年(または4年と半年)で東京大学を退学した運びの話ですから、満期退学とは言わないとされます。

 また、記事にあるように「教授らを呆然とさせた」とタイトルで書かれていたので、当の教授に電話して「お前んとこ学生がなんか言ってるようだけど呆然としたの」と尋ねたところ「呆然とするわけないだろ。いろんな人にそれを聞かれて『こっちが聞きたいわ』と返してるところだ」との返答でした。呆然としているよりは、憤慨している感じでしたけどまあいいです。

 で、この人は芸能プロダクション「ホリプロ」の所属でタレント活動をしています。

 賞罰歴に顔見知りが参画しているアワードを受賞している旨の記載があったので裏を取りに行ったところ、その教員曰く「プログラムに参加して取り組む技術分野のプレゼンを行えば半分の確率で賞を出すことになっている」と確率論の話をされたのでその程度の話なのかと思いました。

 実にデリケートなところなのですが、これに先立つ22年ごろ、科学技術系を扱う官公庁のプロジェクトでこの若者をプレゼンターに起用してやって欲しいという猟官活動的な営業がありました。

 その際に、環境問題に取り組むこの若者が開発した「ひやっしー」という二酸化炭素を除去する仕組み(装置)の概念図も含めて書類が出てきたのですが、活用実績のところに問題があり、また、機構的にもカートリッジ式なのかパイプラインなのか分かりませんが集めたはずの炭素を排出する機構が見当たらず、現在二酸化炭素を除去する仕組みで一般的なアミン溶液を扱う元資源エネルギー庁のOBやプラント会社に見解を求めたところ、顔を真っ赤にして「こんなので二酸化炭素が改修可能なら環境問題は起きてない」などとブチ切れ始めたので見なかったことにして不採択とするようお薦めしました。ひょっとしたら天才的な手段で二酸化炭素の除去が可能なのかもしれませんが、疑いとしてはやはりパイプテクター謎水感のある仕上がりでしたので、あのとき「やめておけ」と判断して正解だったのではないかと個人的には思っています。

 少なくともあの時点では、売り込みにあたって査読済み論文が本人執筆で出ているものでもありませんでしたので、それを終えてから応募してねという折り返ししかできなかったのです。

 問題は、この若者の動機がピュアで、ちゃんとした研究者の道を歩もうとしたにもかかわらず、メディア受けするような東大王の枠として売り物にしようとしていたのであれば、非常に残念な大人の振る舞いがそこにあったのではないかという点です。

 いわゆるニセ科学界隈では特に肩書に釣り合わない実績を掲げて天才性をアピールし、メディア的な扱いで話題にすることで周辺の人たちがビジネスにすることが横行してしまっています。

 特に、学術研究の中でも学際的なもの(例えばHCI業界を含むコンピュータとアートとの中間の領域)は、指導する教官側もコンピュータは分かるけどアートが分からんとか、アートは分かるけどコンピュータは分からんなどの理由で簡単に教官が知らないのをいいことに簡単に転がされることが起きます。最近ではハゲ育毛の研究をして商品化したそうですが、この人は何をしているのか外形的に良く分からんけど大阪万博でパビリオン建立するらしいです。

 さらには、データサイエンスなんかほとんどやっておらず医師ですらないのに政府のコロナ対策に入り込んでLINEの国民アンケート分析をやろうとしたうえGoogleからカネを引っ張りクソ適当な予測モデル組んで大はずしして物笑いの種になる一方、データ法制など分からんのにデータ共有権を基本的人権にしろと言い始めたかと思うと姉小路家のお膝元で新設される大学の学長になるらしいという話も聞きました。地味な研究者だったのに… 頑張って欲しいと思います。

 ビジネスの世界でも大阪ワクチンと称して期待感を煽りながらも開発に2年半かけカネを引っ張れるだけ引っ張ってから当然のように頓挫しお約束どおり開発中止に陥り二階建でおおいに馬鹿にされる研究者が政治家のコネを使って大学研究に物申す素敵なポジションに収まるなど、なんでこんな適当な人が脇甘な有力者に付け入ってやりたい放題やっているのかみんな疑問に思うことも多々あるんじゃないかと感じます。

 いわば、そういう人たちを発掘して持ち上げて周りの人たちがビジネスにする仕組みができていることの証左でもあり、酷い場合は詐欺の元ネタとして「凄い奴」「天才」とメディアを使って持ち上げながら、たいしたことのない中身をマーケティングし馬鹿を騙しカネを掻っ攫い吸い尽くしたら打ち捨てるぐらいのことは平気でやるんではないかとも考えます。

 それならまだ、東京大学の最先端な研究室で大暴れしAVのモザイクが外せる人工知能の開発を打ち上げて日本国民の半分が総立ちになった事例のほうが、一日に三回しか分裂しない真核生物の培養でジェット燃料が作れると駄法螺を流し稼働しないプラントで健康食品を売るだけの会社なのに東京大学発ベンチャーの雄みたいな事象をする恥ずかしい会社よりもはるかに(実害が松尾豊さん周辺に限定されるという意味で)マシであると言えます。

 いわば、東京大学ブランドを持つ若い人の世間知らずをうまく使ったり、あるいは納得ずくで科学技術への期待感を煽ったりすることでカネにしていく仕掛けに日本人は何度でも騙されるのでこういう担ぎ方をするんじゃないかと思うわけですよ。

 慎みある大人が為すべき役割は、この手の仕組みを見かけたら裏を取ってから「バーカ」と罵声を浴びせて水を掛けるだけでなく、その周りで、うまいことやってやろうという人たちを見極めてちゃんとそれでは喰えなくしてあげることなんじゃないかと感じますね。もちろん、本人は大まじめに取り組んでいて、実は10年、20年というスパンからすれば、彼らは画期的な発明で世界観を変えるガリレオかもしれない。その可能性はムーンショット的に否定はしない。ただ、それは月に本当に何か当たったら、当たったのを着弾確認してから私たちも手のひらを返せばいいわけで、それまでは生暖かい視線を向けながら各方面の怪しい動きをキャッチし、ネタにしていくことが健全ではないかと考えます。

 画像はAIが考えた『世間を知らない若者を担ぎ上げて、降ってくる小判を取ろうと騒いでいるビジネスマンの群れ』です。

 今後とも、よろしくお願い申し上げます。


なんでみんな小太りなの…?

神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント