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サイバーセキュリティ関連法案とラピダス法案どうすんだよ問題から読み解く石破茂政権の近未来

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 少数与党の船出となりそうな石破茂政権、総理指名選挙後に副大臣・政務官人事など小幅改造もありつつ着地させるべき重要法案の整理を進めていく段取りなのかなと思いますが、いきなり外交日程がドーンと詰まっているので次の臨時国会に向けての所定方針がちゃんと出るのか期待と不安でいっぱいです。

 そんな中、党内野党筆頭格の小林鷹之さんからご注文が流れてきていて「あっ、はい」という感じになります。

 「人事前にセレモニーやるな」という話もあれば、行きがかり上「いま言わないと放置されたら通常国会冒頭も危ないだろ」という声も出ていて、にぎやかなことで何よりです。もしも総理が石破茂さんではなく中曽根康弘さんや大平正芳さんであったなら、黙って要請を受け入れた後で無理矢理「サイバーセキュリティ担当大臣」とか新設して「お前がやれ」と小林鷹之さんに入閣要請して棚上げしたことでしょう。

 ただ、そこは俺たちの石破茂さん、何を思ったか突然サイバーセキュリティ担当大臣を新設したかと思うといきなりデジタル大臣の平将明さん兼任させる人事をやり始め、ただでさえガバメントクラウドやデータ標準化の大遅延からマイナカードの保険証適用その他仕事量がまあまあ多い大臣と並行して諸業務を詰めるのは大変なんじゃなかろうかと思うわけです。本来なら小林鷹之さんを無役に置いておいても仕方がない面もあるので、そこまで言うなら「お前がやれ」で閣僚に取り込んじゃえばよかったのにと思う一方、そういうお考えは筋論を重んじる石破茂さんはやらないのだろうなあとも思いました。

 さらに、見た目はサイバーセキュリティですが、実際に法律立てて予算つけたところで対処するのは警察庁・警視庁と防衛省などでの按分ですので、結局本庁マターとなり、そこの地続きの部分をどう整理するのかというのは有識者会議ではやりませんから(やるとしても非常に限定的な部分だけ)、必要になる官民組織どうするかとか、国民の監視業務にならないよう仕組みを調整するとかいう流れは次の通常国会ではなかなか着地しないのではないかなあと思います。

 国内治安の連携案は当初もありましたが、匿流対策予算として混ぜ込むのが精いっぱいだったところ、今回のACD(アクティブ・サイバーディフェンス)では連携案の概要すら組み立てられない可能性はあります。もっとも全部見ているわけではないので私の知らないところでちゃんと議論しているようでしたらすみません。ただ、大統領選挙とは無関係に粛々と進んできていたCISAが出しているペーパーを見る限り、このレベルで我が国も対応できる多国間の海外インフラのレジリエンス・リテンション強化や、同じく多国間での統合的なサイバー防衛の強化、さらには国際活動における政府機関間の調整の統一まで手掛けていくんだよとなると、これどこ省どこ庁の何局の誰が対応すんのというレベルで押し込んでいかないと駄目ですから、率直に申し上げてNSSの下にアナリストを何人か置いて統括するか、戦略官増員して仕事どっさり押し込んで各種調整するかぐらいしか手当てをする方法がなくなります。

 そうなると、いまの政府内ですらこれを担当できる人材というのは片手ぐらいしかおらんやんけとなり、まさかデジタル庁から人材抜いてきて対応させるなんてことはできませんし(やるかもしれないけど)、外部で何かしようと思うと結局NTTさん頼みますKDDIさんお願いしますという展開にしかならず、政府の役割とはという話になりかねません。

 それもこれも、大枠のところは小林鷹之さんが仰るようにサイバーセキュリティやACD、セキュリティクリアランスなど西側各国の要請として経済安全保障という概念・大枠の中で消化してきたサイバー関連政策はこれはこれでとても大事なものの、実際に足まわりをやるのはその辺の小僧でありオペレーターであって、ちゃんと話を降ろしてきてくれないとそれどころじゃないのではないかという懸念はほんのりと感じる次第です。

 他方で、今回同じく吊るされる雰囲気になってきたラピダス法ですが、一週間ほど前に、ほぼ名指しで財務省から宿題が出てきております。

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神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント