【告知】11月18日「デジタル時代の情報空間を問い直す」JILISコンサルティング コロキウム開催【オンライン増席】
お問い合わせも多いJILISコンサルティングの11月度キックオフコロキウムなのですが、今回は弊所情報法制研究所の副理事長、京都大学教授で憲法学者の曽我部真裕先生をお呼びして昨今話題の「情報空間」とプラットフォーム、表現の自由など、私たちのネット社会をどないすんねんという話をして行きたいと思います。
その名も「デジタル時代における情報空間と政府の関与の在り方」。
まだインターネットが牧歌的だった30年前は、世界中が「Windows 95」に沸き、まだネットが俺たちの生活を豊かにし、肩書を超えて情報が流通して世の中が良くなるんだと牧歌的に信じることのできた時代でした。
ときは下って2024年も押し迫ったいま。どうしてこうなった。
インターネットと憲法、そして情報法制という枠組みは、どちらかと言えば「そんなものもあったな」ぐらいの法律界の周縁に位置していた分野でしたが、コンピュータやインターネット、人工知能の飛躍的な技術革新により、社会におけるすべての分野・領域に関わる重要な課題となってきました。
例えば、ヘイトスピーチも偽情報もプロパガンダも著名人なりすまし広告も優良誤認など不実記載も、すべては「表現の自由」は守られるべきという当たり前の原則の中で保護されてきました。誹謗中傷とかほんと良くないですよね。誰ですかそういうことするやつは。
また、いまでは犯罪者の使うLINEグループやTwitter(X)、Telegramにsignalと、国内や海外のプラットフォーム事業者が提供するSNSほかウェブサービスが揺りかごとなっています。いまこの瞬間も、すくすくと匿流のような反社会的勢力の皆さんがお育ちになり、闇バイトが跋扈し、モヒカンが地方の民家で強盗傷害殺人や高級車盗難を繰り返すようになり、もはやネット界隈はたちまち違法行為の温床にまでなってしまいました。
そこには「通信サービスとしての匿名性は担保されるべき」とか「通信の秘密は優先して守られるべき」という従前の決まり事を悪用し、結果的に、国民生活の根幹が脅かされてしまうという事態になったのです。大変なことだ。通信の秘密は建前ではなく、民主主義が本当に守るべき根幹であり、国民に保障された大事な権利なのです。
さらに、情報空間という意味では、昨年2023年に一定の結論まで達した公共放送WGなどで「みなさまのNHKをどないするのか」問題が国会をにぎわせました。今年3月、NHKの「次世代NHKに関する専門小委員会」の報告書において、曽我部先生はデジタル時代における望ましい情報空間の姿を「様々な価値観・考え方を持つ人々が、それにもかかわらず社会的に協働することの便益を分かち合う多元的な社会」と定義されています。
その実現には、プラットフォーム事業者の適切な規律と、質の高い情報を提供する制度設計が不可欠だと指摘されております。お話ごもっとも。憲法によって国民に認められた自由はもちろんあるにせよ、それによって副次的に引き起こす社会不安や治安悪化に対して、むしろ国はきちんとこれらの問題に介入するべきなのではないか、という議論も出てきます。
このあたりを包括する概念として「デジタル立憲主義」を確立する方針でいけそうなのであれば、国家の不介入原則の一方で、国家が責任をもって情報空間秩序のあり方に目を向ける必要性まで踏み込むべきかどうか、やるとしたらどの辺が塩梅としてようござんすかねという話まで進めていくべきなんじゃないのかなあとも思うわけですよ。国民の大事な権利を守りながら、しかしネット社会を公共のものとして健全な情報空間として護持するためには、どのような枠組みが必要であるのか。それがいま、問われているのです。
今回のコロキウムでは、具体的なレイヤーとしての偽情報対策や情報的健康の観点も踏まえながら、政府の関与のあり方について議論もしていきたいと考えております。いまや国家よりも国民の情報を持つに至っている国内・海外のプラットフォーム事業者による社会への影響力増大と、デジタル化・多極化したマスメディアの構造的な変容、そして生成AIの台頭など技術要因の複雑化が進む状況下で、いかにして健全な情報空間を構築していくかが焦点となるでしょう。
さらに他国が選挙中にプロパガンダで介入していますとか、サイバー攻撃・犯罪に対する政府の対応まで、インターネットと憲法、そして情報法制という観点からお話してまいります。
当JILISコンサルティングでは、今後も毎月コロキウムを開催し、産官学民の垣根を超えた対話の場を設けていく予定です。会員はリアル参加のほか、オンラインでのリアルタイム参加や時間差視聴も可能となっております。また、法人や組織所属の参加者には領収書も発行いたしますし、個別具体的な実務上のニーズにも対応致したいと考えております。
「こういうテーマでコロキウムやってくれ」などのご要望も大歓迎ですので、少しでもご関心のある方はぜひJILISコンサルティングにご参画ください。
よろしくお願い申し上げます。
画像は生成AIが考えた今回のテーマのイメージ図、なぜか曽我部真裕先生に関して何度も指示しているにも関わらず和装で鳥肌実みたいな出力になってしまいますが、私が悪いわけではありません。