【告知】10月22日コロキウム『個人情報保護法改正とネット関連事件を斬る』(プライバシーフリーク・リベンジ24年秋号)を開催します
今月の弊所・情報法制研究所(JILIS)の月例コロキウム(談話会)は、高木浩光、板倉陽一郎、鈴木正朝各先生と私・山本一郎とで「プライバシーフリークの逆襲・24年秋の号」として個人情報保護法の改正と、ネットで起きた諸事件について情報法の観点から解説を加えてモノの考え方を明らかにしていく回です。大変ご好評賜り恐縮です。
さて、最近「プライバシーフリークが利活用に転向?」なんて声も聞こえてきますが、元からですが何か?ってな具合です。「たくさん規制して個人情報を守れ」なんてことは私どもは言っておらず、ずっと「正しく規制して、ルールを守って情報流通や利活用を促進しましょう」という立場なんですよ。『Suica事件』の頃から私どもの立場は一貫していて、アンチの皆さんにはちょっと意外かもしれませんね。
実は『Suica事件』で我々が問題にしたのは、仮名化しただけで非個人情報だとしたことだけであって、統計量に集計して利活用すること自体は大歓迎だったんですよね。直すべきは第三者提供のルールの方だというのは、個人情報保護法平成27年(2015年)改正直後からずーっと言ってるんです。医療データの二次利用だって、その時から推してました。
ただ、世の中的には、一連の『Suica事件』で嫌儲主義者的な反応をした人も少なくなかっただろうと。医療データ二次利用に抵抗する人とか『同意原理主義』に向かう人たちは結局それだったんですよね。私どもはそれとは一線を画す。情報銀行も同意原理主義に向かった結果で、出口がないのは明らかと私どもは最初から言ってるわけです。
それもありまして、今回の個人情報保護委員会への提案、DSA主催イベントへの参加も、そんな私どもの一貫した姿勢の表れなんです。実際、デジタル庁や総務省、警察庁などからのヒヤリングでも経済団体との対話でも、10年前から一貫して同じことを申しております。つまり、私どもプライバシーフリークは経済界に寝返ったとか寝ぼけたことをいう連中は、あんまり理解してなかったってことになります。元々、適切なルールの下での利活用推進派だったんで。
かかる事情も踏まえまして、今回のコロキウム(談話会)では、年末に最終とりまとめを控えた個人情報保護法の改正を中心に据えつつ、過渡的な概念とも言える『本人同意原則』の再考や、データ利活用と個人の権利保護のバランスについて、熱く議論していきます。匿名加工情報と仮名加工情報の使い分けや、教育データ、医療データの取り扱いなど、セクター別の規制の必要性にも切り込んでいきますよ。
昨今の情勢では、人事が大幅に刷新されて正常化した個人情報保護委員会の皆さんと、自由な個人情報の流通を目指す産業界団体・財界ロビーの皆さんとの間でのせめぎ合い的な局面が多くみられるように感じられます。とにかく規制反対なんだと。最小限なんだと。
特筆すべきは、クレジットカードの国際ブランドだけでなく、ビッグテックによって経営されているプラットフォーム事業者と、国民の持つ固有の権利である「表現の自由」およびデジタル立憲主義のアプローチについても、今後の議論の呼び水になるようなテーマについて軽く触れさせていただき、政府・法制度と技術論の観点から現状と将来のあるべき姿について迫ります。
そして、サービス一般に浸透している「本人同意原則をどう見直していくか」という問題も重要です。まあ、実際役に立ってませんからな。過渡的な概念である本人同意原則を前に立てて制度設計をしても無理があります。サービスを通じて頂戴したユーザーの同意があって、利用目的に沿ってさえいれば利用データを元にいかなる分析をして決定までもっていっても良いというわけには当然いきません。しかし、実際にはデータ分析の結果、その判断で個人が不利を蒙る不利益があったとしてもそれを適正に糺す方法が乏しく、例えば日本人が日本で使うサービスで得られた情報が海外の事業者によって分析され不当な決定に用いられても日本国内で抗う術がありません。
この辺の整理も含めて個情法対応に悩む大手企業、特にネット対応の法務部の皆さんのかゆいところに手の届くテーマに踏み込みたいと思います。
近年話題となったネット関連事件も題材にして、個人情報保護の観点から法的な解説を加え、企業や個人がとるべき対策についても言及する予定です。個人情報の適正な利用と流通の促進は日本にとって重要な事項ですので、関連法規と共に個人情報保護法の改正ではこれらの本人同意原則の適用範囲や解釈が大きな論点となっています。
データ活用を推進しつつ、個人の権利利益をいかに守っていくか。本コロキウムが、この難題に一石を投じる機会となれば幸いです。
また、前回コロキウム的なやつで会員の皆さまや、もっぱら法曹界、業界各所でご好評をいただきまして、調子に乗ってJILIS内でこの方面にご関心のある皆様がた向けの会員制サロンなんぞを別途建立してみようかと検討中です。まだ特に何も決まっておりませんが、ぜひご期待ください。
それと併せて、昨今『情報空間』や『デジタル立憲主義』など、やりたい放題であったネット社会の無法地帯を正すべく、新たな法律も含めた憲法解釈も視野に入ってきて、もはやリアルとネットが融合された現代に相応しいサイバー関連法制を考えようという機運が高まってきました。11月度のコロキウムは、このあたりをテーマに開催してみたいと考えております。
最後に、一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)さんとの共催で、弊所情報法制研究所は10月18日に『個人情報保護法シンポジウム』の開催を予定しています。併せてご参集賜れますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。画像はAIが考えた『個人情報保護法改正に向けて真剣勝負を繰り広げているプライバシーフリーク勇士たち』なんですが、なんか全然思ってたんと違いますな…。
神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント