『信長の野望 覇道』は自由度の低いクソゲーである件 #信長覇道
いま、結構かっちょいいテレビCFとか宣伝で流してる、コーエーテクモのソシャゲ『信長の野望 覇道(信長覇道)』。いわゆるトラビアンクローンから派生した村ゲーム(村ゲ)であります。実績のあるRTSライクな『三國志 覇道』のシステムを上手く発展的に流用した(はずの)システムで、戦国時代をモチーフにしたビジュアルも武将の造形もすごく伝統的な『信長の野望』シリーズをちゃんと踏襲しているし、音楽もいい感じなので、ガワの仕上がりは良いと思うんですよね。個人的に、春の雰囲気が好きです。ええ。とても。平松健治さん、ありがとう。
先日、そんな『信長覇道』について、4Gamer.netにも期待感込みでプレイレビューなど書かせていただきました。ずいぶん課金してしまいましたが、スタートダッシュして本当に楽しかった時期が、俺にもありました。
駄菓子菓子。一向にゲームシステムのクソ具合が直らず、しまいには一門レベル25になってもS春日山城攻城戦も始められないことが判明して激萎えになっています。駄目でしょう、これは。
高いレベルの攻城戦をモチベーションに、少なくない課金をしてせっせと小判をぶち込んで一門レベル25まで持っていった挙句に「仕様が未定なのでまだ解放されていません」などと言われて納得できるはずがありません。
金返せ。
私なりにオンラインシミュレーションゲームは好きで、かなりのタイトル数をプレイしてきたつもりですし、今作『信長覇道』にはとりあえず有料課金メインのVIPランク8、5鯖では総勢60名余りの一門衆を率いて鯖トップの総合力を擁し、個人でもまあまあ上位の総合力と勲功を持っています。ちゃんとプレイしている以上、このゲームが現段階でいかにクソで救いがないかを書く資格はあると思っています。
最初に申し上げておきますが、このゲームはつまらないです。
少なくとも、村ゲ初心者にはお薦めできません。まず、敵と戦える前線まで出られる強い一門に入らないとゲームにならないからです。そして、前線で戦う強い一門はアクティブで強い人を求めているので、ライト層を受け入れる余地がありません。しかも、強い一門でも最大30名までしか加入させられないのです。一日ログボもらって数日に一回10連回せればいいとかいうヌルい人は前線に要りません。前線では張り付いて戦争しているので。
また強い一門で頑張ろうも、あるいは後背地で農民プレイをしたくても、ゲームの自由度(仕様の中で、許されるプレイの幅)がとても低く、仕様が理不尽です。典型的な事象として、目の前に敵の里があるのに攻撃できない、攻撃されたので敵に反撃したくてもできない場合が多いという致命的な問題が、普通に発生します。
先に結論を書いておきますが、要するに
1. 戦争ゲームとしての仕様がクソ
2. ゲームの自由度が低い
3. パラメータが未調整で理不尽
4.ゲームサイクルが崩壊している
の致命的な4点が、この期待作『信長覇道』をクソゲーにしています。ぶっちゃけ近年の中華製量産型村ゲより出来が悪いので、『信長の野望』の世界観が好きで、武将を集めたり内地でログボ勢シムシティ化してても楽しいという人は本作より『すみっコぐらし 農園つくるんです』をお薦めします。
1.戦争ゲームとしての仕様がクソ
最近、アップデートで破棄した領地が、誰にでも飛べる大名直轄地となりました。また、S資源地や休戦土地のような安全地帯から攻められている土地に防衛部隊を出したり、攻めたプレイヤーの里に反撃できたりする仕様が入りました。そうですか。
ところが、そもそも自分の里を移転するのに、401里以上の先に飛ぶには小判が500枚掛かります。デイリーミッション(目安箱)全部クリアして300枚、商店で一日20枚、ログボ平均50枚(7日間に350枚)、一門衆でミッションクリアが20枚×4にミッションクリアで数十枚の実入りですから、戦場を股にかけて一日2回遠くに飛んだらもう大赤字です。無償小判がどんどん減っていきます。私も一時期22,000あった無償小判がいまでは3,000を切りました。ソシャゲもビジネスだし、そういうものなのだと割り切ろうにも、イベントで買えるパックにはたいてい無償小判は含まれていませんので、プレイするほど途中から無償小判のほうが貴重になってきます。なんだそれは。
そして、当然ですがいろんなところで戦いが起きる前線だと転戦しないとなりませんので、近場で戦っていても毎回小判が100枚単位で出ていきます。なんでこんなシステムにしたの。それに、どうせ小判で買うことになる足りない自領移転令をうっかり切らしていると、いちいち買い直さないとなりません。そもそも買わなくていいだろこんなの。攻め込まれて防衛するためいち早く飛びたいのに、自領移転令が足りなくて購入画面に移動させられるストレスがマキシマムです。なんぞこれ。直接、小判で飛ばせろ。なんでこんなクソ仕様にしたのか分かりませんが、とにかく継戦するのに大量の無償小判が必要になるんですよ。
そして、前線に出られるようにするための仕様で、味方が破棄した前線の土地には、同じ大名家のプレイヤーが飛べるようになりました。誰でも前線に来られるという意味では良いのですが、今度は飛んだ先で何をするんだと言えば、概ねにおいて前線の土地は同じ大名の味方の領土です。いままで前線を維持するために小判垂れ流しながら匍匐前進してきた人たちの苦労は無駄になりました。まあ、私らのことなんですが。みんな理由があって戦う中で前線で資源地などの土地を取っているのですから、前線に出たいのだと言って勝手に踏まれたら困ります。
さらに困ったことに、同じ大名で悪意を持ったプレイヤーが味方の領土を踏んできても、これに対処できる仕様が入っていません。サブ垢を使ったワープ戦法と並んで早く何とかしてもらわないと困る世界です。この妨害を防ぐ側は大量の軍令書を使いその人の部隊を一個一個攻撃指定して排除しなくてはなりません。これは、大名家では強制同盟扱いになるので、必ず起きるリーチャー問題(leecher: 血を吸うヒルのような奴)であって、無意味に踏まれた側が簡単に悪意ある踏み主を制裁できるようにしなければ、他大名のサブ垢で内地だけでなく前線も荒らされることになります。
大名家内で味方扱いの強制同盟だからでしょうが、本作では一門衆が囲える人数を絞っています。初期の一門衆は15名しか抱えられません。当然批判が殺到して後から仕様修正がありましたが、それでもクッソ一門経験を積んで一門レベル25になってもMAX30名にしかなりません。ところが、領土防衛にしろ、このゲームの売りであるお城や砦の攻城戦にしろ、同じ時間にたった15名のうち何人が同時にログインできたのかというアクティブ人数で全てが決まります。通常、村ゲでは勢力別(本作では6大名)のある仕様でも軍団(本作では一門)は50名内外からスタートして最終的に100名ぐらいになるのは「みんながログイン時間を合わせられるわけではない」という前提に立っているからです。それなのに、本作では15名かそこらしかいない中堅以下の一門はたまたまログインしている人や通知でやってきた人しか集まらず、攻城戦どころか常に単独行動で領地を漁らなければなりません。
さらに、砦の隣接地が自領なら小判100で飛べるよという微妙な仕様が入っています。各郡(プロヴィンス)に一個しか砦がないうえ、このスポーン地点を確保するためだけに、一門あたり城と砦の上限わずか4つまでの中からやり繰りするしかありません。しかし本当の問題は、この砦の攻防で攻城側も防衛側も、5名ずつしか入れないことです。どっちも5名ずつならモビルスーツの性能で決まるのはもちろんですが、この場合、防衛側は15分間凌げば勝ちな一方、攻撃側は砦の本丸を落とさなければ勝てません。つまり、敵を圧倒した上に施設を壊さなければ勝てませんから、本来なら有利だから攻め込んでいるはずの攻城側が、相手より多い戦力を投入できないため圧倒的に不利です。アクティブな一門同士が砦戦をやって5名対5名でやったらなかなか攻城側は勝てないのではないでしょうか。
しかも、砦のテンプレマップでは一本道だったり、本丸の近道に門があっていきなり殴り合ったりすることになります。その一番通る大事なところに防衛側が待ち伏せと弓遊撃を全部隊固めておけば、攻城側は簡単には抜くことができません。上手くタイミングを合わせて全員で一斉に突入するか、細川藤孝入り遠射つき弓隊で部隊タゲして頑張るぐらいしか作戦の立てようがないのです。それも、攻城戦は微妙に重いので、タイミングを合わせるのは至難の技ですが、他に作戦はありません。攻める側は、全員で、お手手つないでゴー。守る側は、全員で、一本道でとおせんぼ。攻城側の本陣も近いため、迂回させようとしたら防衛側がそのまま本陣に雪崩れ込んできて防衛側勝利になってしまいます。
攻城戦の仕組み自体は面白いですが、仕様がクソなのでどうしようもないのです。
で、前置きはこのぐらいにして、ここからが本題ですが、なんでフィールドが三角形なんでしょう。意味ないじゃないですか、三角形であることに。CBTで三角形はクソだって分かってたと思うんですが、引き続きクソです。RTSなんだから丸か六角形か、少なくとも中心とすべての外縁をなるだけ等距離にしないと駄目でしょこんなの。なんで三角形ありきで仕組み作ってんだよ。誰も内部で「これはおかしい」って言わなかったのか。何がクソだって、一マス以上離れて領土を取りに行くと、進軍の内縁の利を狙うはずが、なぜかわざわざ中心から最も遠い三角形の角まで部隊が歩いていき、そこから極端に進軍速度の落ちる状況でトロトロ進んでいきます。知能指数一桁かと思うわけです。
馬鹿なのか。まっすぐ行けまっすぐ。
余計なこと考えなくていいんだよ。一直線で行けよ。
進軍ロスを減らすために中心から近くなる三角形の辺真ん中に小判使って飛び直して攻めない限り、交戦までのリードタイムがめっちゃかかるという悶絶するようなクソ仕様がだるいです。毎回小判が100多くかかるのは、一刻も早く戦場にたどり着いて戦闘を開始し戦法を溜めたいからです。理由はすなわち、戦場は三角形だからという。どうしてそんなことにしたのか意味が分かりません。
2.ゲームの自由度が低い
『信長覇道』のつまらなさは、自由度の低さにあります。おそらく大軍同士の陣地戦、領土戦を楽しんでもらいたいというゲームデザインなのでしょうが、大規模な戦場も不通の小競り合いも「必ず」領地の守備隊を攻撃する、その攻撃から守るという仕組み以外発生しません。
誇張抜きで、本当に、領地の取り合いの攻防からしか、戦闘が発生しません。領地の取り合いに絡んでなければ、自国領を資源持ってダラダラ歩いている敵部隊すら、攻撃の対象にできません。ええい、襲わせろ。なんで襲えねえんだよ。
その領地の取り合いは、その領地や資源地ランク固有の兵種と強さによる名無しさん守備兵が10分以内に殺せたか生き残ったかで勝敗が決まります。その領地に守備側の部隊がどれだけ乗ってようが、仮にその戦闘が100部隊対100部隊の関ヶ原だろうが、戦場の真ん中にいるよく分からない名無しの守備隊が死んだら終わりです。しかも、死んだら防衛側の負けとなる大事な守備隊であるにもかかわらず、守備隊が足軽、騎馬の場合は特に、果敢にも、敵に向かっていくときがあります。馬鹿野郎。何してんだお前。無能です。有害な、無能です。
さらに本作の仕様として、敵の領地の上に乗っている敵の里などを攻撃するためには、目の前に敵の里があるにも関わらず、その領地が戦闘状態になければ里や敵部隊を攻められないのです。どうしてそういう仕様にしてしまったの。
敵味方の攻防が白熱して10対10でも20対20でも参戦したとしても、ゲームの勝敗は「その土地にいる、NPC守備隊」が落ちたら攻撃側の勝利なので、領土を守ろうとするならば、攻撃側よりも早く多く防衛隊が集まって来なければ守備隊が死んでしまいます。これ、もう合戦じゃなくて棒倒しじゃねえか。防衛側にどんなに兵隊がいても、沢山部隊が展開していても、この守備隊が壊滅したら防衛側は負けとなり、背中を丸めてとぼとぼ帰路につきます。
どんなゲームデザインなんですか。
先日、アップデートで安全地帯から領地を攻撃したり、逆に領地に防衛部隊を出しているプレイヤーの里に反撃ができるようになりました。まあそれはいいでしょう。
しかし、例えば、浅井家の姫が上杉家ジャックさんの領地を攻撃し、領地を守ろうとジャックさんがその領地を攻めている姫の里を落とそうと遠目から部隊を出したとします。その間、ジャックさんの領地を、里を落とされる前に姫が攻略してしまいました。
そのジャックさんの部隊は、まだまだ姫の里に向かって進軍しています。それを見た私たちは、ジャックさんの里を落とそうと近くに飛ぶんですが、今度はジャックさんの里が乗っている土地が攻撃されていないので、なんと私たちはジャックさんの里を攻撃できません。
この仕様を考えた人は馬鹿なんだと思いますが、目の前で首領蜂やっている敵の里を攻撃できず、自分や味方の里を救えないというクソ自由度の低い状態で何を実現したいのでしょうか。攻めさせろ。普通に。
端的に言えば、里より領地が重視され、その領地についている守備隊が勝敗の全てなのだとしてもですな、せめて、せめて、せめて、里はお互い自由に攻撃可能にしてもらわないと、攻守の条件が対称・対等の戦術ゲームにならないのです。領地についている守備隊を倒すと攻撃側が有利になるよ、さあプレイヤー攻めますかNPC守備隊を片付けますか? 防衛側は反撃するのか守備隊を守るのか?? どうする家康? クソ大河ドラマめ! 二話以降観ねえぞ! みたいな作戦の幅やジレンマがあるべきだと思うんですよね。
まあ戦場が三角形なんで、すでに台無しなんですけどね。
なお、このゲームは村ゲには珍しく待ち伏せ指示によるZoC(Zone of Control)みたいなものがあります。これは用兵や戦術の幅が広がるので良い仕様だなとは思いますが、何故か攻撃側がZoCを使えないため、守備隊や里、敵部隊を直接攻撃するしか方法がありません。都合よく迂回できる領地があれば何とかなりますが、たいていはその領地の中で決着をつけるしかありません。つまり、ガッチリ守られたら根性で突破以外の作戦の選択肢がないのです。それならせめて塹壕というか、到着時間に見合った防衛準備ボーナスに留めておいた方がシステム的に良かったのではないかと思いましたが後の祭り。残念でなりません。
自由度の低さは内政もそうで、ゲームサイクル自体がプレイヤーの成長のバラエティリティに制限をかけています。屋敷レベル20を超えない限り、生産設備はいいから石垣を高くしてタンク里を作りたいとか、田んぼと兵舎をとにかく増やして大量の兵隊を垂れ流せる絶対軍備マンを目指すようなプレイングはできません。パラメータもまったく練り込まれておらずマジ理不尽なのですが、これは後述します。
極め付けは、S攻城戦が一門レベル25以上と書いてあるにも関わらず、仕様が固まっていないのか、すでに一門レベル25に到達している一門があってなお攻城できません。課金させておいてエンドコンテンツがないというのはモチベーション的に厳しいです。
運営にクレーム入れたら(サービス開始日の)12月1日のお知らせに、仕様が公開されたら攻城可能になると書いてあるというテンプレ返答がありまして、課金してプレイを続ける目的がなくなりました。延々、上杉家と殴り合ってればいいの? まあこれで廃課金メンバーは総萎えで引退危機ですね。本当に残念です。そう言う私もおそらく長くはもたないですが。CBTは夏にあり、サービスローンチからすでに40日が経過して、10万単位の課金者が出てて、頑張って一門レベル上げてる側からすれば金返せになるのも当然と言えます。
「その程度の仕様固めるのにどんだけ苦労しとるんだ、充分時間あったろ、仕事しろ」とか「コンテンツ消化速度をコントロールしたかったのならマップや攻略対象の開放じゃなくてイベントやキャラ出現にしろってお母さんいいましたよね」みたいな状態になってます。何より未解放の山城(京都)SS室町御所に一番乗りすべく観音寺城に待機している織田家の皆さんが不憫です。たぶん無いよ、何も… S春日山城ですら攻められないんだぜ…。
せめて、解放時期や条件の明示と補償ぐらいしてくれないと話になりませんし、お気づきの方は多いかと思いますが一門レベル25から30までは、おそらくレベル上げるのがひたすら大変なだけで特にメリットはないようです。これ、なんのためのレベルなの?
3.パラメータが未調整で理不尽
ここから先は、レベルデザインの話です。
まず、前に述べたSSミッションの話を先にしますと、「なんで貴重な無償小判を大量に使ってでもミッションSSにしてたの」という疑問があると思います。
それは、一門レベルを引き上げるために行う寄付の仕組みが理不尽でバグってるからです。だって、一日MAX寄付できる小判は300枚、100枚当たり一門経験は20しか増えず、300枚で60なんですよ。60。なあにそれ。領国銀は小判100枚あたり500貰えるようになりますが、途中から領国銀が使いきれないぐらい余って無価値になるため、兵科15を超えたらわずかな一門経験の獲得だけが寄付の目的になります。
ところが、一定の一門レベル以上になると出現するSSミッションをクリアすると得られる一門経験は20,000。なんと小判10万枚分のご利益が、SSミッションにはあります。SSミッションを出すためのミッションガチャは、1回あたり小判200枚です。
そりゃもうガチャ回すでしょ。ジャブジャブ小判ブッ込んで猛烈に回しますね。SSランクのミッション出るまで。当たり前じゃないですか、一門経験増やすのに一番効率がいいんだもの。
それが一日4回一門衆向けミッションあるわけですから、これで80,000の経験が稼げる。加えて、小銭や箱持ちの賊退治や一門経験をべらぼうに稼げる防衛戦で強い敵部隊一隊あたり一門経験50近くもらえますので、敵が攻めてくる領地への防衛戦をせっせとやって、敵を皆殺しにし、みんなで一日200部隊も倒せば10,000以上にはなります。
『信長覇道』の運営は、当初一門レベル25にはそう簡単には到達しないものと判断して、ある一定の数式で次レベルまでの必要一門経験を設定していたようなのですが、思ったより一門経験を稼ぐ姉小路家という謎の蛮族がいたからか、一門レベル22ぐらいから級数的に必要一門経験を引き上げてきたように感じます。なあ、シーズン2も同じ一門経験が必要にしとけよ。公平にな。
そして、おそらく皆さん資源不足で建設ラインが余るという村ゲにおいては大惨事の事態になっているかと思いますが、ご安心ください、何を隠そう前線で頑張る私たちも資源不足に喘いでいます。普通、建設ラインはフルで動くから課金やVIPレベル上昇で建設ラインが増える仕組みを導入しているはずなのですが、本作ではどんなに頑張って領地で調達をやってもなかなか厳しいバランスになっています。
これは、メインホールにあたる屋敷がレベル19から20に上がるのに必要な木材石材鉄鉱の合計268万、これに対してレベル19の材木所など生産施設では概ね毎時12,000しか収入がなく、調達をしなければ次レベルに引き上げるまでに約80時間かかります。建設自体は施設一個当たり23時間で完了しますので、建設を途切れさせないようにしたいならば、この不足分をカバーするための調達が屋敷一個の建設のためだけにA資源地なら約37回から40回、C資源地なら約95回から100回調達しなければいけません。それが、建設ライン3本なら屋敷建設の概ね1.6倍から2.2倍の資源が必要になります。
はい、こんなの回るはずがありませんね。つまり、資源は不足して詰まるようにデザインされているか、何も考えずにそのように設定された、ということです。資源調達が厳しい村ゲで名作もあるにはありますが、それでも物事には限度というものがございます。なお、一時間あたりの収入が約550から590ぐらい増えるレベル18からレベル19の資源地建設に、70万の資源資源が必要になります。民家なら110万です。民家をレベル19にしてペイさせるのには約2,000時間(約83日)必要になります。それまでの建設分を累計すると約3,400時間(約141日)です。これが、屋敷民家水田材木所石材所鉄工所に兵舎石垣矢倉と市場道場すべてにかかります。もちろんそれ以外にも資源アイテムや資源地での調達もありますが、こちらは軍令書など有限の資源とバーターになるので無限とは程遠い状況です。
建設にペイするまで何日必要だと設計したのか分かりませんが、お前らの設定していたシーズン、だいたい3ヶ月じゃねえの? 資源回収の収支で考えると、屋敷レベル17を超えたあたりで、もうゲーム的にはこれ以上建設しても価値はない、建設に係るコストのほうが実入りよりはるかに大きくなっていくことになります。
さらに、お前らの好きな銅銭。武将のランクアップで銅銭が足りなくて四苦八苦していることでしょう。試算では、唯一施設レベルアップしてペイするのは「市場」です。
なぜ「市場」がペイするのでしょう。
それは、建設が無駄だと悟った合理的な人は、得られた資源を全部、施設の建設ではなく、市場で売り払って銅銭の獲得に替えるからです。その銅銭に替えるレートは「市場」レベルで決まり、さらに、どういうわけか各レベル均等にレートが0.1ずつ改善していきます。雑過ぎてほんと馬鹿なんじゃないのと思いますが、仕様ですので諦めましょう。
つまり、屋敷レベル20まで引き上げるのは無駄だが、かろうじて「市場」と里が硬くなる「石垣」、抱えられる兵隊の数の上限を増やす「兵舎」ぐらいまでは、お好みでレベル上げてね、でもどうせお前ら銅銭足りないだろうから、より有利な交換レートになる「市場」は優先してね、ってことになります。
……こんな村ゲの内政、面白いか?
これはもう、人によって好みがあるでしょう。不利だし不合理だし意味のない施設レベルアップのためにせっせと調達して施設レベルアップをさせるのが人生無上の楽しみだって人は、どうぞ建設に邁進してください。
で、おそらくこういう仕組みにしているのは、本当はもっと建設物があるつもりだったからだと思います。例えば、技術開発ができる施設が予定されているとか、南蛮貿易や鉄砲、大砲の類や、キリスト教など、戦国時代ならではのフィーチャーを投入するつもりだったが、まだ実装していないからこんな中途半端な内政仕様にしているのだ、と。
しかしながら、このゲームでは摺り切り型の資源管理になっており、他のプレイヤーから資源を奪う、いわゆる略奪ができません。座っていたら、何のリスクもなく資源はただただ溜まっていきます。隠し倉庫とかもないぶん、純粋に領地争いをして欲しいというゲームデザインなのかもしれません。それはそれで分かりますが、ただ、資源は本当に純粋に建設用と銅銭に替える用でしかありません。
こうなると、単純に資源や建設に関して言えば「長くプレイしていた人が有利」になります。後から来た人は、新鯖で隔離され、蟲毒のように先発鯖は似たようなプレイ開始時期の人たちだけの世界になるでしょう。そこまではいいのですが、今後、常識的な他村ゲと同様に鯖移動ができるようになったり、鯖対抗戦が始まったり、VIPポイントも含めた他鯖垢との統合ができるようになると、下手すると「複数の鯖で無償VIPポイント用のゴミアカウントを長時間開設させていた暇人が有利」になります。先行した『三國志覇道』で、なぜかデイリーなどで得られる無償のVIPポイントまで統合してしまったために、醍醐味であるはずだった6部隊運用が可能となるVIP8に暇人がどんどん到達してしまいました。その結果、ゲームの寿命が尽き、達成が矢鱈厳しい文化府や参軍のようなダラダラしたエンドコンテンツを用意することになり、似たようなイベントをぐるぐる回し、ただ特攻もないキラキラ新URのインフレとシーズンイベントで課金客を維持するだけになりました。
ところが、『信長覇道』はそれ以前に「建設そのものに意味がない」とか「里を育てることに合理的な価値がない」などというコペルニクス的転換で最初のシーズン中盤で早くもゲームが終わってしまいました。S攻城戦もできず、設備も増やす意味がなく、ただ前線で資源地集めのために敵と殴り合うだけのゲームになってしまったのは残念です。
4.ゲームサイクルが崩壊している
最後に、どうしても指摘しておかないといけないのは「ゲームサイクルの崩壊」です。ゲームサイクルとは「ゲームが仕様として用意している、プレイヤーが強くなるための仕組み」のことです。もちろん、カネをたくさん突っ込んで武将を揃えて凸をすればカネで解決する面はありますが、しかし、一部隊に3人しか武将を配置できない兵科レベル3では完凸徳川家康が大将にいても戦場ではそこまで役に立ちません。必ずゲームサイクルが重要なゲームの勘所を作り、効率よく強くできる方法を見つけて、いち早く達成できたプレイヤーが、ランカーになるのです。
端的に言えば、部隊編成で7名の武将を組み込むための兵科レベル15到達が、このゲームの真の終着点です。それ以外は、武将を集めて凸したりとか、装備を集めて鍛えたりとか、レベルを上げて錬成したりとか、要らない武将をバラして秘伝を付けたりとか、このあたりはあくまで上積みであって、戦力の基盤として決定的に重要なのは兵科レベル15です。
これは、領国銀を手に入れることで兵科レベル15までは引き上げることが可能ですから、初期に如何に高いレベルの領地を確保し、長時間保持して領国銀を手に入れて商店で買うかがすべてになります。なので、領国銀が多く得られるA資源地を得られる屋敷レベル14は大事で、また、鎧装備ができる武将レベル26、SSRの三個目の技能が得られる武将レベル30、秘伝がつけられる4凸がハードルです。
しかしながら、兵科レベル15を超えると、前線で戦っている人は領国銀が途端に余り始めます。兵科レベル16以上にするには、集落でランダム提供される参以降の玉が集まらなければ上げられませんので、条件が不安定過ぎて足りない玉素材を商店で買う必要がなくなります。一日一回、玉鋼が100個買うために領国銀5,000を使いますが、それ以外ではハイレベル領地を維持する必要もなくなるのです。それまでは、ハイレベル領地を奪い合うゲームとしてゲームサイクルがなんとか成立していたのに、そこから先は「なんとなく攻められるとムカつくから」とか「あいつら何かウザいから殺す」以上の価値はなくなっていきます。
だって、S城の攻城もできないんですよ? トップ一門はどこを目指すんですか。6大名のランキング争いですか? 1位の大名は何がもらえるんですか? シーズンの最終順位報酬、1位の大名はフレームとガチャ券10枚に対し、2位はガチャ券8枚ですか。そのガチャ券2枚に、どういう価値の違いがあるというのでしょう。4位から6位は、ガチャ券3枚です。3か月ぐらいのシーズンとして、長丁場を通してどんなに頑張って6大名でトップになってもガチャ券7枚分の利益しかないゲームがどこにあるんですか。
『信長覇道』の出来の悪さは、ゲームシステムとプレイヤーが向かう目的がきちんと設定されていないというサイクルの設計ミスでしょう。きょうび、テンプレ村ゲと酷評される中華製アプリよりも粗末な仕様のゲームがコーエーテクモから出るとは思いもよりませんでした。
「信じられない」の一言です。
終わりに
このゲーム、いわゆる人権武将と言われる「こいつがいないと一線に立てない」というキラーはいません。おそらく長くゲームを遊んでもらうために、武将能力をインフレさせない目的でシーズン1は控えめにしているのでしょう。それは理解できます。
その結果、差別化を図るギミックである秘伝が4凸という微課金以下には高めの条件になり、課金しなければSSR4凸はむつかしいため微課金・無課金の人はSRでないと秘伝を付けられないという事態となりました。その秘伝も、高いSSRをバラさないと極端に有効なのがないため、必然的に能力アップや状態異常避けのものを装備することになります。これらの純粋に戦力底上げになる秘伝は、むしろCグレードに揃っていて、これを得るためにはレア(R)武将やノーマル(N)武将が必要です。
ところが、その秘伝のソースとなるバラされる武将の中でも、特にレアリティの低いノーマル武将が怖ろしいほど手に入りません。それは、一般登用が一日概ね10人までしか回せないからです。VIP8の私でさえ一日13人までです。超貴重なレア武将やノーマル武将たち、しかも一人友好度1,000を潰して得られる秘伝ソースは何とレア武将で80、ノーマル武将は40。この秘伝書を最大レベルまで上げるのに5,000ポイント必要とするため、全部レア武将でも62,500の友好度が必要になります。つまり、ガチャや交流でレア63回分引かないと、秘伝書レベル5には到達しません。イカれてんのかと思いますが、どうしてこんな設定にしてしまったのでしょう。
また、微課金無課金が自城付近でやることない問題、当初は領国銀が一時間当たり4しかもらえなかったランク無し平地が、突然8となり、足りない気味だった威信旗もいきなり4本増えました。いまでは、前線で奪い合うA資源地の領国銀が1時間あたり12です。領国銀が欲しいプレイヤーは、むしろ保有する威信旗いっぱいに平地や低ランク資源地を抱えていればいいじゃねえか農民万歳の仕様に激変しています。序盤の苦労はどうなったんだ。それでも内地の農民はガチャ回して織田信長が凸しても攻めていく先がなくてつまらんでしょうが。
CBTのときから、あまりにもゲーム内容が酷いので「酷い」と騒いでいたのですが、ほぼその酷い内容のまま正式ローンチしてしまったのは驚きです。綺麗に仕上がった『信長の野望』の世界のままで、美麗なグラフィックといつまでも聴いていたい音楽の下、繰り広げられるのはヤバいクソゲーであるというこの現実を、何となくでも知って帰っていただければこれに勝る幸甚はございません。
現場からは以上です。
神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント