こども家庭庁は「説明が足りない」のか
またこども家庭庁が炎上しているというので見物に行きました。
SNSなどネットに子どもの顔などがわかる写真を掲載するのは控えましょう、というご時世で、うっかりこども家庭庁のコンクールに応募すると政府機関の公式サイトで子どもや家族の写真が晒されてしまうようです。
素敵な話ですね。
また、いちいちリンクは貼りませんがTwitterの馬鹿を中心に「こども家庭庁が5兆円『増税』」という与太話も出てきていました。ちょっと考えればそんなはずねえだろと気づくものだと思うのですが、そのネタで騒いでるアカウントのクラスタを見ていると見事に左翼、反ワクチン、反原発(ALPS処理水海洋放出反対)、日本共産党といったワードと親和性が高いので、まあそういう人たちのネットキャンペーンなんだろうと思います。
マイナンバーカードや紙の健康保険証廃止も同じ箱に入る形になっていますが、最近、この手のネタが目立つようになってきたのはSNSでの政権批判ネタがいままで以上に発信力強化されてきた面が強く、また、自民党が右派を中心に政権擁護の論陣を張ってくれていた岩盤支持層の喪失により抵抗力が弱まってきていることが背景にありそうです。
ただ、記事にも書きましたが、マイナンバーもインボイス制度も子育て支援も、基本的にはどの調査でも高齢者や所得の低い人、独身の人は支持が低くなる政策ばかりです。これらは岸田文雄さんが悪いというよりは状況がこうである限り「国民の負担を増やして公共サービスを維持する高福祉高負担」か「政府は最低限のことをやり民間や家庭に負担してもらう低福祉低負担」かの究極の二択に迫られます。
これは、例えば今回のこども家庭庁が言葉を尽くして丁寧に説明しても、子どもに関連した支出は常に独身者など子無し世帯や高齢世帯による反対に見舞われ、有権者は「自分のことはもういいから(子育てが終わっていたり子どもを儲ける見込みがないので血が断絶したりする意味で)出生率改善や子育て支援、教育分野に予算を回してほしい」とはなかなかなりません。
言わば、不人気政策は支持率が低いために広く理解してもらおうと言葉を尽くすほどより不人気になるのであって、むしろ「それが大事だ」と思っている人たちだけに「こういう制度になりました」と宣伝するほうが効果的なのです。
たぶん、その辺のことが分かっていない政治家や行政マンの皆さんが「知ってもらえれば支持してくださるだろう」と考えるところに政策ミスマッチがあるのだと理解するところから始めないといけないのではないかな、と思います。
「重要な政策だけど、その政策の実現のおかげで自分の給付が減ったり公共サービスが削減されるなど不利になる有権者は、その重要な政策に対して常に反対に回る」からこそ、痛みを伴う改革は是なのだと分かりやすい抽象的なテーマで国民に(理解ではなく)協力を求める必要があるのでしょう。
ここが分からないと、政治は割と簡単に指導力不足になったり、政治不信状態になったり、ポピュリズム全盛になったり、リフレ派が夢物語を語ったりすることになるので、やはり注意が必要なのかなと思います。
画像はAIが考えた『問題はこども家庭庁で起きているのに普段の行いが悪くついでに批判されてしまうデジタル庁』です。