「そしていま、リボンを結んで」イベント感想
こんにちは、yuです。
最近はまふゆの母親で恐怖を感じるシーンが多く戦々恐々しています。
奏とまふゆの過去に焦点を当てた「いつか、絶望の底から」に引き続き、今回は瑞希と絵名の過去に焦点を当てたお話でした。
はじめから「ニーゴ」が出来上がっている状態でスタートした異質なユニットだからこそ、それぞれの過去もしっかりと緻密な物語があり、今の個々を作り上げる要因が詰まってて、見どころだらけでした。
1.瑞希
これまで匂わせてきた心残りと問題に遂に踏み込むか?と思いましたが、軽く触れる程度でしたね。
ですが、瑞希が瑞希でいることを諦めかけ、学校に行けず楽しみも見いだせず、追い込まれていったその裏にはしっかりとアイデンティティの問題があることが描かれましたね。
今回瑞希の家庭での在り方の解像度が少し上がった気がしました。暁山家は瑞希が瑞希でいることを両手を広げて受け入れ「瑞希の生き方」を心の底から尊重してくれる。時には背中を押しながらも、瑞希が下した決断を見守るその姿勢がとても良かったです。
そこにありがたみを感じつつも満足はできなかった瑞希にとって、類がどれだけ大きな存在だったかを今回思い知らされましたね。
隣に類がいない屋上は、どこか空虚な場所に変わっていて。いつしか屋上は瑞希だけの場所なんかじゃなくて、類がいたからこそ出来上がった心の拠り所だったんだなと。大好きなアニメは終わってしまい、心を許した友は隣から去ってしまい、優しく見守ってくれた大好きな姉も海外へ旅立ってしまう。楽しい、心地よいと考えていた全てがボロボロに崩れ去ってしまい、瑞希も自身を見失ってしまう。
そんなどこに向かえばいいかも分からない、心が疲弊した中で出会ったのがKの曲だった。
父を作曲家としての人生を半ば殺してしまった奏の、救済を振り撒き、絶望の中に僅かな光が灯された曲は同年代の若者に刺さり、救済をもたらし、瑞希も救われたその一人だった。
2.絵名
絵名の過去も高校入学前にさかのぼる。憧れの学校に受験に落ち、父と師の言葉に呪われ、自分を見失い、画家の父を持っていることへの自負、だからこそ持っていたプライドもズタズタにされてしまう。自分の実力を証明しようとがむしゃらに描き続けるが、満足に完成させることもできなくて。
苦悩の中で、なんとなく投稿した自撮りが絵名に甘い蜜をもたらす。本当に欲しいものではないはずなのに、心の奥底にある承認欲求を抑えることはできなくて。だけど、絵名が証明したいのは、加工で取り繕った己のビジュアルなんかではなくて、『絵描き』であることの矜持と存在証明が本心である絵名はそんな麻酔は一時的な効力でしかなくて、それが猶更現実を突きつけて、絵名の辛さが見えた。そこで絵名が出会ったのが同じくKの曲だった。
ここを読んでから改めて「空白のキャンバスに描く私は」の絵名の強さと決意がカッコよく感じました。
3.瑞希と絵名
Kの曲に心揺さぶられた絵名は曲をイラストに、そして瑞希はそのイラストをMVに。まるで自分の内面を切り出したかのような曲に二人は駆り立てられ、一心不乱に創作の手を動かす。ここの熱量とスピード感に、どれほど心揺さぶられたかを思い知らされました。そして、Kから連絡が届き、二人は初めて直接声を交えて作業をすることに。ここで特に印象に残ったのが、どこか一歩引いて自分の意見を話すことを避けていた瑞希が、絵名の「思ったことはハッキリ言って」っていうようなセリフがとても好きで。その言葉に押され、受け入れてもらえると思わせてくれて、二人で意思疎通しながら一つのものを作り上げ、仲も深めていく様がとても好きでした。
偽りの言葉で褒められても、それは自分を歪めるだけだと知っているから、本気でぶつかってほしい。その熱意のえななんも好きでした。
ファーストコンタクトの際、ようやく自分の絵を認め受け入れてもらえた絵名が前のめりに共同制作に乗り気なのに対し、自分は本当にここにいていいのか、と人と繋がりを持つのに抵抗がある瑞希との対比があった。
自分が大事だと思っていることを隠さなくてもいい。それを受けてくれるニーゴという居場所を見つけられたことが、瑞希が瑞希でいることを諦めないでいられた最大の要因でしたね。
そして、新しい居場所を見つけながらも、また傷ついてしまうのではないかとそこに属することを躊躇う瑞希の背中を押したのは、お姉ちゃんで。
お姉ちゃんが優しく寄り添ってくれたからこそ、瑞希は一歩踏み出すことができた。
お姉ちゃんは、いつか瑞希が再び身に着けることを願ってリボンを渡す。
何より瑞希が守ってくれたものであるリボンを渡した。
それは瑞希が瑞希でいられる心の支えであるようにも感じられました。
最期の瑞希の涙ぐんだ「お姉ちゃんもね!」っていう元気な声がとても刺さりました。
話は現在軸に戻り、改めて瑞希にありがとうと感謝を伝える絵名がとても好きで。あまり想いを言語化することが少ないニーゴでこんな描写が見られたのは珍しくて、良かったです。
4.最後に
長くなりましたが、今回もありがとうございました。
読むペースが速く、次の感想もすぐに書き始めるのでまた近いうちにお会いしましょ~