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「おひとり様相続」の問題と対策法:今から始める安心な相続準備

東京都江戸川区船堀、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。


はじめに

日本では近年、「おひとり様」と呼ばれる配偶者や子どもがいない人の相続問題が増えてきました。

特に一人で暮らしている高齢者が増えるにつれて、相続の問題が複雑化しています。

今回は、おひとり様相続における特徴や問題点、そしてその解決方法をわかりやすく解説します。

おひとり様相続とは?その特徴

「おひとり様相続」とは、配偶者や子どもがいない方の相続手続きを指します。

おひとり様には、相続人が遠い親戚だけというケースも多く、問題が発生しやすいのが特徴です。

近年、このような形態が増えている背景には少子化や核家族化、結婚しない選択肢の増加が影響しています。

また、おひとり様の場合、生前にしっかりとした計画を立てないと、親族が遠方だったり疎遠だったりするため、遺産分割の協議や手続きが難航することがあります。

おひとり様相続の問題点

問題点を具体的にあげていきます。

1 相続人が特定しにくい

おひとり様の場合、法定相続人が非常に限られています。

さらに、法定相続人が疎遠であったり、所在が不明な場合も少なくありません。そのため、相続人の特定が難航するケースが多いです。

2 遺産管理の負担

配偶者や子どもがいない場合、遺産をどのように管理し、誰に渡すのかを決めるのが難しい点も問題です。

例えば、自宅や車などを持っている場合、これを売却するのか、残すのかといった判断が生前に決まっていないと、残された親族に負担がかかります。

3 葬儀や埋葬の手配

相続人が遠方に住んでいる、または疎遠な場合、葬儀や埋葬の手配がうまく進まないことがあります。

事前に葬儀や埋葬についての具体的な指示がなければ、親族がどう対応するかで困惑することが多いです。

4 遺産が国庫に帰属するリスク

親族が誰もいない、もしくは疎遠で相続手続きがされない場合、遺産が最終的に国庫に帰属することがあります。

財産が本人の希望に反する形で処理される可能性が高いです。

おひとり様相続の解決方法

おひとり様相続の場合、どのように解決していけばいいのか、紹介していきます。

1 エンディングノートの活用

エンディングノートは、葬儀や財産の希望を記しておけるツールです。

具体的な希望を書き込むことで、残された人が迷わず対応できます。

例えば、財産の分配や処理の仕方についても希望を記しておくことで、親族が安心して手続きを進められます。

2 遺言書の作成

遺言書を作成することは、最も確実な方法です。

遺産の分配方法や財産の扱いについて自分の意思を明確に示すことができます。

また、特定の相続人がいない場合でも、友人や信頼できる団体に遺産を譲ることも可能です。

ただし、法的に有効な遺言書とするためには、専門家(司法書士や弁護士)に相談することが重要です。

正しい手続きを踏んでおくことで、遺言書が法的に無効とされるリスクを防ぐことができます。

3 任意後見契約の活用

任意後見契約は、認知症や判断力が低下したときに備えてあらかじめ後見人を選んでおく契約です。

特に配偶者や子どもがいない場合、信頼できる第三者に財産管理や身上監護を依頼することができます。

この契約をしておくことで、認知症などで判断が難しくなった場合にも安心です。

自分の意向に沿った生活を続けられるようにするため、あらかじめ契約しておくことをおすすめします。

4 家族信託の活用

家族信託は、生前に信頼できる家族や友人に財産管理を任せる制度です。

家族信託により、自分が亡くなった後の財産の分配方法を決めておけるため、スムーズに財産管理を進められます。

家族信託を活用することで、相続手続きがよりスムーズになりますし、家族間のトラブルも未然に防ぐことができます。

専門家と相談して、自分に合った信託内容を組み立てましょう。

まとめ

おひとり様相続は、親族が遠くにいる、または疎遠な場合、手続きが複雑になりがちです。

しかし、エンディングノートや遺言書、任意後見契約や家族信託といった対策を活用することで、相続手続きのトラブルを防ぎ、スムーズな相続が可能となります。

「おひとり様相続」の問題を未然に防ぐため、早めの準備を心がけましょう。

少しでも不安を感じたら、専門家にご相談ください。

この内容が少しでも参考になれば幸いです。

詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。


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