相続が始まったら?自筆証書遺言を活用したスムーズな相続手続きの進め方
東京都江戸川区船堀、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
はじめに
今回は、自筆証書遺言について、特に相続が開始した後に必要な手続きや、法務局の遺言書保管制度についてわかりやすく紹介します。
自筆証書遺言を準備しようと考えている方、あるいはすでに相続が開始された方に向けて、必要な情報をまとめました。
今後、自筆証書遺言も増えてくると思いますので、参考になれば幸いです。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、遺言者が自分の手で全文を書いて作成する遺言書です。
比較的簡単に作成でき、専門家に頼むことなく費用をかけずに準備できる点がメリットです。
とはいっても、自分の判断で自筆証書遺言を書くと、正しい形式を守らなかった場合には無効となるリスクがあります。
なので、専門家を介して行うことをおすすめします。
以下、自筆証書遺言のメリット・デメリットを紹介します。
1. 自筆証書遺言のメリット
手軽に作成でき、費用もかからない
いつでも自分で内容を変更できる
自分の意志を反映した内容が、そのまま遺言として残せる
2. 自筆証書遺言のデメリット
法的な要件を満たさない場合は無効になるリスクが高い
遺言書を自宅で保管していると、紛失や改ざんのリスクがあります。
相続が開始した後に家庭裁判所で「検認」という手続きが必要(遺言書が適正な形で保管され、内容が改ざんされていないことを確認するため)法務局で自筆証書遺言保管制度を利用した場合を除く
法務局の自筆証書遺言保管制度のメリット
近年、法務局では「自筆証書遺言書保管制度」が導入されました。
この制度を利用すると、自筆証書遺言を法務局に預けることができ、家庭裁判所での検認が不要になります。
これにより、遺言の内容が改ざんされるリスクや紛失の心配がなくなり、安心して遺言を残すことができます。
相続開始後の手続きについて
法務局に遺言書が保管されている場合、相続が開始すると相続人には法務局から通知が届きます。
この通知に基づいて、相続人は遺言書情報証明書を取得し、それを基に遺産分割や各種手続きを進めることができます。
家庭裁判所での検認が不要になるため、手続きがスムーズに進むのが特徴です。
実際の体験談
ここでは、自筆証書遺言にまつわる相続手続きに関わる際の経験、事例を紹介します。
ある方が法務局に遺言書を保管していたケースでは、相続人にすぐに法務局から通知が届き、遺言書情報証明書を取得してスムーズに相続手続きを進めることができました。
家族内で遺産分割のトラブルもなく、迅速に名義変更や銀行口座の解約手続きを完了できた事例があります。
一方で、別のケースでは自宅で保管されていた遺言書が紛失してしまい、結局相続人全員で遺産分割協議を行わなければならず、手続きが大幅に遅れてしまいました。
このようなトラブルを避けるためにも、法務局での遺言書保管制度を活用することを強くお勧めします。
相続開始後に必要な手続き
相続が開始すると、まずは遺言書の有無を確認することが重要です。
遺言書が法務局に保管されている場合、以下の手続きが必要です。
1.遺言書情報証明書の取得
相続人は法務局からの通知を受け取り、遺言書情報証明書を申請します。
この証明書が発行されると、それを基に不動産の名義変更や銀行口座の解約、その他の遺産分割手続きが行えます。
2.遺産分割手続き
遺言書の内容に従って遺産を分配します。
遺言書に記載されていない財産については、相続人全員で話し合い、遺産分割協議書を作成します。
3.不動産の名義変更(相続登記)
遺言書情報証明書や相続関係説明図、遺産分割協議書(遺言書に記載のない財産がある場合)を基に、相続登記を行います。
不動産を取得した相続人の名義に変更する手続きです。
まとめ
自筆証書遺言は手軽に作成できる一方、保管や手続き面での課題もあります。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を活用することで、相続開始後の手続きがスムーズに進み、トラブルを防ぐことができます。
相続手続きに不安を感じている方は、ぜひ法務局の制度を活用し、早めに司法書士や専門家に相談することをお勧めします。
相続手続きでお困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
この内容が少しでも参考になれば幸いです。
詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。