相続手続きは放置しないで!遺産分割10年ルールと早めの対応が重要な理由
東京都江戸川区船堀、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
はじめに
相続が開始した後、特に手続きを進めず放置している方も多いのではないでしょうか。
しかし、相続手続きを長期間放置すると、将来大きな問題が生じることがあります。
本記事では、相続手続きを放置してしまうリスクや、遺産分割に関する法改正について、わかりやすく解説します。
相続手続きの放置が招くリスク
相続手続きをせずに放置しておくと、いくつかの大きな問題が発生します。
まず、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きができず、相続財産が凍結される状態が続いてしまいます。
特に不動産は名義を変更しなければ売却や賃貸ができず、親族間で管理の問題が生じることがあります。
また、長期間放置すると、相続人間でトラブルが発生する可能性も高まります。
例えば、時間が経つにつれて相続人が増えたり、相続人間の関係が変わってしまい、意見がまとまらなくなることがあるからです。
さらに、相続税の申告には10か月以内という期限があり、これを過ぎると延滞税や加算税が発生します。
相続手続きを進めないことで、余計なコストがかかることも考慮に入れておく必要があります。
遺産分割の法改正とは?
遺産分割に関しても、最近大きな法改正がありました。
これまでは、遺産分割を長期間放置しても大きなペナルティはありませんでしたが、今回の改正によって、相続開始から10年以内に遺産分割を行わないと、法定相続分で自動的に分割されるというルールが導入されました。
これは、相続人間での争いを防ぐための措置であり、10年という期限を設けることで、相続手続きを早めに進めることを促進する目的があります。
この10年の期限内に、家庭裁判所に遺産分割の請求を行っていれば問題ありませんが、何も手続きをしていないと、自動的に法定相続分での分割が強制されます。
たとえ、相続人間で話し合いが行われていたとしても、期限が過ぎると法定相続分に基づく処理が優先されるため、注意が必要です。
早めに手続きを進めることの重要性
相続手続きは複雑で時間がかかることが多いですが、早めに行動することで多くの問題を未然に防ぐことができます。
まず、相続税の申告期限や、遺産分割の10年ルールを意識し、手続きを遅らせないことが重要です。
遺産分割協議を早めに行い、相続人間で円満に解決することで、将来のトラブルを避けることができます。
また、相続財産を適切に管理し、名義変更を行うことで、財産の価値を守ることもできます。
相続手続きを円滑に進めるためには、専門家の助けを借りることも大切です。
司法書士は、相続に関する書類作成や名義変更手続きをサポートしますし、弁護士や税理士と連携することで、相続税の申告や遺産分割のトラブルにも対応することが可能です。
司法書士の体験談
実際に、私が担当したケースでも、相続手続きを放置していたために後々大きな問題に発展した例があります。
ある家族では、相続が発生した後、相続人の間で特に大きなトラブルはなく、遺産分割協議を後回しにしていました。
しかし、数年後、相続人の一人が亡くなり、さらにその子供たちが新たな相続人となり、話し合いが複雑化してしまいました。
最初に相続が発生した時点で手続きを行っていれば、スムーズに遺産分割が進んでいたはずですが、放置していたことで結果的に多くの時間と費用がかかってしまったのです。
こうしたトラブルを避けるためにも、早めに相続手続きを進めることが重要だと実感しています。
もしくは相続開始したら何か問題が起きそうであれば、生前の相続対策を講じるなど、相続人が疲弊しないような対策を早めに講じることも大事になります。
まとめ
相続手続きを放置してしまうと、遺産が適切に分割されず、相続人間でのトラブルが発生するリスクが高まります。
また、遺産分割の10年ルールにより、放置しすぎると法定相続分で自動的に分割されてしまうため、注意が必要です。
相続が発生したら、早めに手続きを進め、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
相続手続きに関する疑問や不安がある方は、ぜひ司法書士や専門家にご相談ください。
この内容が少しでも参考になれば幸いです。
詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。