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秘密証書遺言の選び方と注意点:メリット・デメリットを徹底解説

東京都江戸川区船堀から、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。


はじめに

遺言書にはいくつかの形式がありますが、今回は「秘密証書遺言」について詳しく解説します。

秘密証書遺言は、遺言内容を誰にも知られたくない場合に利用される形式ですが、実際にはあまり利用されていません。

その理由やメリット、デメリットについて理解を深め、あなたに適した遺言形式を選ぶ際の参考にしてください。

秘密証書遺言とは?

秘密証書遺言とは、遺言書の内容を他人に知られることなく、遺言者が自ら作成した遺言書を公証役場で証明してもらう形式の遺言書です。

遺言書は自筆で書く必要はなく、パソコンや代筆による作成も可能です。

遺言書を封印し、公証人と2人の証人の前でその存在を確認してもらうことで成立します。

ここは公正証書遺言の場合と似ていますね。

この形式は、遺言の内容を絶対に秘密にしておきたい場合に選ばれます。

秘密証書遺言のメリット

内容の秘密保持

秘密証書遺言の最大のメリットは、遺言書の内容が遺言者以外には知られないことです。

遺言内容にプライバシーが強く求められる場合や、特定の人にのみ知られたい内容を記載する場合、この形式が適しています。

遺言書の自由度

秘密証書遺言では、自筆以外にもパソコンで作成したり、第三者に代筆を依頼することができるため、自由度が高いです。

これにより、内容が複雑な遺言書でも作成が容易になります。

遺言の存在を保証

遺言書が公証役場で証明されるため、遺言の存在が保証され、後にトラブルになるリスクが減少します。

あくまでも「存在」を保証するだけで遺言書の中身を保証するものではないことを理解してください。

秘密証書遺言のデメリット

公証役場での手続きの煩雑さ

秘密証書遺言を作成するには、公証役場での手続きが必要です。

その際には、2人の証人を確保しなければならず、手続きが煩雑になることがあります。

証人の選定にも注意が必要で、適格な証人でないと遺言が無効になるリスクがあります。

記載内容の確認ができない

公証人は遺言書の内容を確認しないため、記載内容に不備がある場合でも発見されません。

このため、遺言書が無効になる可能性があり、遺言者自身が内容に注意する必要があります。

例えば、本文に押印した印鑑と封筒の綴じ目に押印した印鑑が違う場合や、証人として不適格な人が証人になった場合、遺言書が無効になる可能性があります。

保管のリスク

公証役場で証明を受けた後、遺言書は遺言者自身が保管しなければなりません。

これにより、紛失や破損のリスクが高まります。

また、遺言書が見つからない場合や、家族に発見されないままにしてしまうリスクも存在します。

さらに、遺言書が無効になるケースとして、検認手続きを行う前に遺言書が勝手に開封されてしまった場合もあります。

秘密証書遺言の利用方法

秘密証書遺言を利用するには、以下のステップを踏む必要があります。

遺言書の作成

遺言書を自筆またはパソコンで作成し、封筒に入れて封印します。

公証役場での手続き

遺言書を持参し、公証人と証人2名の前で遺言書が本人のものであることを宣言します。

公証人は遺言書の内容には触れず、封印された遺言書の存在のみを証明します。

遺言書の保管

遺言書は公証役場では保管されないため、遺言者が自身で安全な場所に保管する必要があります。

遺言書が見つかりやすいように、信頼できる家族や専門家に保管場所を知らせておくことが推奨されます。

まとめ

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密に保ちたい方に適した形式ですが、手続きの複雑さや保管リスクなどのデメリットもあります。

遺言書を作成する際は、秘密証書遺言のメリットとデメリットを理解し、自分の状況に合った形式を選ぶことが重要です。

公正証書遺言や自筆証書遺言と比較して、自分に最適な遺言書の形式を選び、安心して相続対策を進めましょう。

この内容が少しでもお役に立てば幸いです。

詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。


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